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背反問題の解決:こちらを立てればあちらが立たず
前の記事で紹介したTRIZ(トリーズ:発明的問題解決理論)で、一般的に最も良く知られている考え方・ツールは、「発明原理」と呼ばれるものです。
「発明的問題解決理論」というくらいなので、TRIZは「問題」とその「解決」を扱う理論です
元々TRIZを研究した旧ソ連の人たちは、膨大な特許や技術文献を調査して、世の中には”どんな種類の問題があるか”や、”どんな解決のやり方があるか”を調べました(分析した特許の数はなんと250万件!)
彼らの結論のひとつが、「革新性の高い課題解決の多くは、背反問題を解消することで実現している」ということでした。
背反(矛盾、対立、トレードオフなど言い方は色々)とは、システムのある特性を良くしようとすると、別の特性が悪くなってしまう...つまり「こちらを立てれば、あちらが立たず」のことです。
![背反特性](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/23379893/picture_pc_f4844ff1eb807db897552042b1592def.png)
例えば、「持ち運びし易いように軽量化したら、強度が足りなくなった」、「スクリーンに投影された情報を見やすいように部屋の照明を暗くしたら、手元のノートの文字が見づらくなった」...等々。
背反問題について、TRIZ研究者たちが発見したことは
・背反問題を妥協せずに抜本的に解消しようとしたとき、革新的な課題解決が生まれる
・妥協しないためには、今までと違う何か新しいやり方(解決策)を発想することが不可避、だからこそ新しい「発明」に繋がる
・そうであれば、新しい課題解決のチャンス(機会)を探している人は、積極的に背反問題を探すべきだ
ということでした。
でもここまでなら、「何も250万件の特許を読んだり、分析しなくても分かるんじゃない?」と思われるかもしれません...たしかに。
しかしTRIZはここで終わりません。TRIZ研究者たちは、膨大な特許事例の分析を通じて、背反問題の解決について、次のことを調査し、その結果を体系化したのです。
・業種や分野の枠を超えて、そして時代を超えて、技術者たちは(技術分野には限りませんが)どのような特性の背反に取り組んいるのか?
・業種や分野の枠を超えて、そして時代を超えて、背反問題の解決には、どのような発想の着眼点が使われているのか?
例えば、「軽量化しても、強度が悪化しないようにしたい」、これは、50年前も今も、そしてロケットの設計でも配送用の梱包材の設計でも、文字通り業種や分野や時代を超えて取り組まれている背反問題でしょう。
もし今、「軽量化と強度の背反」に取り組もうとしているなら、TRIZを使うことで、「それだったら、こんな着眼点と、あんな着眼点で発想するといいよ。なぜなら今までも多くの技術者たちがこうした着眼点からアイデアを出して、その背反を解決しているから。こんなふうにね」というアドバイスを貴方の耳元でアドバイスしてくれるのです。
「発明原理」をはじめとするTRIZ発想ツールと、TRIZによる課題解決プロセスについてはこちらを見てください。