
【architecture】窓学|4×4の住宅|安藤忠雄
明石海峡大橋を眺める瀬戸内海沿いに建築家安藤忠雄氏の設計した『4×4の住宅』はある
明石海峡大橋の兵庫側のJR神戸線の舞子駅から歩いて数分のところにある住宅だ
私は少ない情報を元に一目見たいと思い、建築雑誌の写真の明石海峡大橋との位置関係から想定して探し出して訪れた
この住宅は雑誌『CasaBRUTUS』の企画で《建築家があなたの住宅を作ります》と言うもので、兵庫の工務店が安藤忠雄氏の設計を受けることになった
敷地は海沿いの小さな敷地で奥行きは6mほどしかない
しかも建築家は当初敷地の大きさを間違えて認識しており、まさかこんなに使える面積は狭いとは思わなかったそうだ
しかし条件が厳しければ厳しいほど燃えるのが建築家の本能というもので完成した建築は瀬戸内海を眺める望遠鏡のような建築だ
4×4の平面が1階から3階まで立ち上がっている
ここに下から水回り、寝室、書斎がある
3階まではあまり海側に開口がないのも憎らしい
そして最上階は四角い箱が1mだけ海側に迫り出しているのだ
周り階段をぐるっと回ると前面には眩しいばかりの瀬戸内海が広がっている
遠くには淡路島が望める
この階段のつくりも間違いなく計算済みである
(図面はこちらのHPより引用)
海側は全面ガラス張り
瀬戸内海を自分のものとするかのようなパノラマは最高の光景である
たった4×4の広さしかないLDKであるが、ある意味海も含めてしまえば壮大な建築である
この住宅、普段は絶景を楽しめる最高の住宅であるが、台風の時はそれはそれは怖いだろう
波が押し寄せる時も恐怖だろう
でも自然とはそういうもので、時には恐ろしいものである
そのかわり絶景を手にすることができるのである
建築家はそんなメッセージを残している
自然と対峙するということは時に自然の脅威に晒されることもあるのである
当たり前だが忘れてはならないことを建築家は発信しているように思う