
【architecture】窓学|駒沢の住宅|長谷川豪
建築家長谷川豪氏設計の東京の住宅街に建つ住宅
『駒沢の住宅』というタイトルで発表されているように駒沢にある大きな公園の近くにある住宅だ
散々この大きな公園の周りを探し歩いて見つけたときは周囲の住宅と馴染んでおり特別な印象は持たなかった
外壁にはユーカリの板材が用いられているのが特徴的だ
ユーカリは耐久性に優れているというが、数年経つとやはり痛みは否めない
これを味と捉えるか傷と捉えるかは住みて次第である
さてこの『the 家』といった三角屋根に大きな窓が付いた駒沢の住宅であるが、まさに子どもに家を書いてとお願いすると書いてくれそうな単純な形である
絵本にも出てきそうな見た目であるが、この住宅は正面にある大きな窓から出来上がっている住宅である
つまりこの大きな窓の一点勝負の建築と言っても過言ではない
住宅街の中にありながら唯一自然を感じる事が出来るのが正面の敷地にある竹林であった
そこからの景色や光を取り込む窓として一点勝負の大きな窓を設けたのだ
この窓は人の目線よりちょっと高い位置から設けてあり、ジャイアント馬場さん並みの高身長の人は別格だが、道ゆく人とはかろうじて視線が合わない高さに設定してある
道ゆく人からは不思議な大きな窓は注目の的であるが、見えてもナナメウエの目線で室内の壁や天井である
逆に室内からは高いところにある大きな窓から切り取られた空をナナメウエの目線で眺めることができる
少し窓から離れると道路向かいの竹林の木々を眺めることができる
1階の天井高さは3.6mほどもある高い天井だ
この面積は決して広くないが大きな体積を持った空間に大きな窓からの光が差し込む
また1階の天井は格子状になっている
そんな怖い床は嫌という声が聞こえてきそうだがそこは住み手次第である
2階のバルコニーから差し込む光を1階までナナメに格子の床を通して落とす仕組みである
伏線的に太字にしてみたが、この住宅でヒントにしているのは『ナナメ』の目線や光の入り方である
建築家の長谷川豪氏は初期の作品でこの『ナナメ』の可能性を建築に取り入れている
都心部は住宅が密集している為プライバシーを考えると窓の大きさや配置が難しくなる
そこでナナメという角度を用いることで視線と視界にズレを生じさせながら建築と外部を繋ぐことを考えたのである
意外と気づかなかったナナメには時代のナナメ上を行く可能性があるかもしれない