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【architecture】東京アートミュージアム|安藤忠雄

一切の無駄を排した空間に光だけが差し込む建築

建築家の安藤忠雄氏が2004年に東京都調布市仙川に完成させた小さなミュージアムである

甲州街道に繋がる新たに完成する幹線道路により、三角形や台形、細長いといった不整形な土地が道路沿いに出来てしまった

そこで地域から依頼を受けた安藤忠雄氏は不整形な土地を活かすように沿道に商業施設や劇場、共同住宅、保育園などを設計した

ひとりの建築家がこれほど一体的にひとつのストリートをデザインすることは珍しいと言える

約500メートルに渡って道路の両側に安藤建築がある様は文字通り『ANDOストリート』と言えるだろう

とりわけお気に入りなのが、
『東京アートミュージアム』である

幅3.5m 長さ24mの細長い単純な箱である
勿論安藤建築特有のコンクリート打ちっ放しである

単純な小さな箱には通りの賑わいを伝える地窓や淡い光を取り入れる窓、緑を感じる窓、そして光の存在をアートの一部のように映し出すトップライトなど、それぞれに意味を持った開口が注意深く開けられている

構成は大きなひとつの箱に2枚の床がブリッジのように架けられており、階段を伝って登っていくつくりだ

内部は外の喧騒とは違い、静かな空間である
照明は最小限に抑えられ、暗闇の中に自然光のみが空間に陰翳を与えている

安藤忠雄氏の建築はやはり小さいものがいい

小さな建築に光だけが時間や季節による移ろいを感じさせる

まるで瞑想的であり、構法は全く異なるが日本家屋にある陰翳の美しさが表現されている

あー、ここに住みたいくらい

東京にある安藤建築の中では最もシンプルだが最も魅力ある建築だと私は思っている


ただ、残念なのはこれだけの規模のストリートデザインをひとりの建築家が担ったにもかかわらず、あまり魅力的とは言えないことだ

大型のマンションなどスケール感がヒューマンスケールとはかけ離れているように感じた

また通りに対して建築の内部に引き込むようなデザインが足りないようにも感じた

空きテナントもあり街に溶け込んでいるかというと疑問である

恐らく代官山のヒルサイドテラスのようなイメージがあったはずであるがなかなかそううまくらいかなかったのだろう

ともあれ安藤建築を見るにはうってつけのエリアである!

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