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〖本紹介〗あずかりやさん

こんにちは。12回目の投稿です。

私は秋になると、ほっこりした内容の小説を読みたくなります。
穏やかな日常を描いた作品や、人の温かさに触れられるような作品など。
紅葉の風景や、肌寒い秋の季節には、ほっこりした小説が合う気がして。🍁

今回紹介するのは、そんな読書の秋にぴったりのこの本!


〖あずかりやさん〗  大山 淳子

【あらすじ】

裏表紙より

【おすすめポイント】

①ありそうでない、でもあったらいいのになと思えるあずかりやさん

「あずかりやさん」のルールは3つ。
○1日100円でなんでも預かってくれる
○料金は前払いで、予定より早く取りに来ても、差額分の返金はない
○期限を過ぎても取りに来なかったら、預けたものは店主のものになる

店主は目が見えないため、預けたものを見ることはできません。つまり、秘密を漏らされることもないということです。

あずかりやさんの使い方は人それぞれ。
預けるものも日数も人によって違います。

この本の中に出てくるも、様々なものを預けに来ます。

自転車、オルゴール、大事な書類。などなど。

本当は捨てたいけど、自分で捨てるのは気が引けるものを預ける(最初から捨てるつもりで取りに来ない)人もいます。


レンタカーとか図書館とか、何かを借りられるサービスはたくさんあるけれど、自分のものを人に預けるサービスってなかなかないですよね。

でも、もし近くにあずかりやさんがあったとしたら、皆さんも預けたいもの、預けたかったものがあるのではないでしょうか。

私は中学生の頃、1度だけ数学のテストで見たら気絶するくらいの点数を取ったことがあります。笑

その時は、なかなか親に言い出せなくて、通学バックの奥底にくしゃくしゃにしまって、ひたすら「数学だけまだ返ってきてないんだよね〜」って1週間言い続けました。
まあ1週間後に普通にバレるんですけどね。
そもそも、いつもは良い点数だったらすぐに言うから、1週間隠してる時点でバレてるよって感じなんですけど😅

この時に近くにあずかりやさんがあったら、私は迷いなく数学のテストを預けて、二度と取りに行かなかったと思います。笑

てな感じで、ありそうでない。でもあったらいいのになと思える、絶妙なドラえもん感?がとっても好きです。
自分だったら何を預けるかを考えながら読むのも楽しいと思います!


②「もの」視点で書かれた描写

この本には特別収録を含めた7章のうち、「もの」視点で書かれた章がいくつかあります。

最初の章も、まさに「もの」視点で書かれているので、読み始めた時に語り手は誰なんだろうと思いながら読み進めました。
語り手が分かるまでの描写がほんとに素晴らしくて。

ん?語り手は人じゃないな?➡️もしかしたらこれが話してるのか?➡️あ!やっぱりそうだ!

みたいな感じで、だんだんと語り手の正体が分かってくるのが面白いです。

「もの」が語っているからこそ、店主の良さが伝わってきて、それがこの本のほっこり具合をさらに深めている気がします🍵



③それぞれがものを預けた理由が深い

先ほど、私だったら数学のテストを預けたかったとお話しましたが、この本にはそんな単純でバカな人は出てきません。笑

それぞれがさまざまな想いを込めて店主にものを預けます。
個人的には、自転車を預けに来る少年のお話が1番好きです。このお話も「視点」に注目です!
自分も、自分の持ち物を大切にしようと改めて思うことができました。

章が別れているので、一見それぞれが別々のエピソードのように思えますが、実は1冊を通して全てが繋がっていて。
あの時のあれがこれだったのか!とか、あの人がここで出てきたのか!ってことがたくさんあるので、ぜひ登場人物を覚えながら読み進めて欲しいです!

所々で、店主が目が見えないという設定が効いてくるのもすごいなと思います。
店主の目が見えないという設定があってこその1冊だなと。


ちょっぴり切なく、でもほっこりできる、とにかく温かいお話です!

人とものを大切にすることを改めて教えてくれる秋にぴったりのこの1冊。ぜひ読んでみてください!

以上!【あずかりやさん】の紹介でした!

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