リオで日本人は銃声に気付かなかった話
仕事でリオ・デ・ジャネイロに滞在していたときのことです。
リオと言えば、ブラジル一危険だと言われる町です。
行動を共にするのは10人の「大所帯」でしたが、
まだ長期ステイ先も決まらず、町中のホテルに泊まっていました。
それぞれが部屋に戻り、私は寝る準備をしているところでした。
外で銃声が聞こえたのです。
ブラジル育ちの私は、
「あれま、銃声だわ。リオだしね…」
と思っていると、次いでパトカーのサイレンの音とともに
数台の車が猛スピードで通り過ぎる音が聞こえました。
「あれま、カーチェイスだワ」
と思いつつも、翌日も忙しいので、
「さあ、寝よう」
と、とっとこベッドに入り寝てしまいました。
翌朝。
私ともう二人の現地スタッフとでその話をしているところへ
日本人団員がやってきたので、
「昨夜、カーチェイスしていましたねぇ~」
と言うと、
「カーチェイス?何の話?」
と…。
「ほら、銃声が聞こえたと思ったら、すぐパトカーが…」
「えええ~っ?! 銃声?!?!」
「そう、銃声。聞こえませんでした?!」
「うーん…。ああ、そういえば車のアフターファイアー音を聞いたような」
「それ、銃声ですから!もしかして銃声って『バキューン!』
だとか思っていたりします?!」
「えっ、違うの~っ?!」
・
・
・
その後確認したところ、日本人7人全員が、それが銃声だとは
気付いていなかったことが判明しました。
そうか、銃声を聞いた途端、それが銃声だと気付くのは
育った環境のせいか…。
と、つくづく思い知らされました。
又、「こりゃ日本人、狙われるわナ」とも思いました。
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後日、別のお仕事でご一緒した
海外経験が豊富な方にこの話をすると、
「そうなんだよね。日本人は銃声が乾いた『パン!』って音だと
知っている人が少な過ぎるんだよね。
でもそれって、気付かない日本人もナンだけれど、
僕的に言わせてもらうと、
『カーチェイスだ。さあ、寝よう』って人も
どうかと思うけどなぁ…」
と、笑われてしまいました。>爆
画像: こたつぶとんさん from イラストAC
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別の人に聞いた話です。
アフリカのザンビアで
ある飲み屋に銃を持った強盗が入ってきたんだそうです。
それに気づいて、即座に伏せる人、
テーブルの下などに潜り込む人…。
その中で日本人だけが、
「えっ、どうしたの?どうしたの?」と
立ち上がってキョロキョロ周りを見回した…。
という話が、もはや笑い話として語り継がれているんだそうな…。
*****
ただ、これについては、
『平和ボケ』した私も同じようなことをしてしまった経験があるので、
呑気に笑ってもいられません。
やはりリオでのことでした。
連休を利用して、当時サンパウロにいた
息子に会いに行こうとしたときです。
長距離バスを待っていると、
同じく並んでいた人達が急に後ずさりし始めたので、
「えっ、どうしたんだろう?」と、
それこそキョロキョロしていると、
後ずさり中の現地人のおばさんが
安全な場所まで私の手を引いていってくれました。
で、どうしたのかと聞くと、
「えっ、見てないの?あそこの男が銃を持っているのよ」と。
彼女が顎で示した方向に目をやると、
20~30メートル離れたところで、
酔っぱらいが銃を手に、何やらくだを巻いています。
その男はすぐに静止させられ、
男性数名に連れ去られたので難なきを得ましたが、
私としたことが…。
完全なる『日本人の平和ボケ』です。
でも、「平和ボケ」しているとはいえ、
リオほどは恐くないだけのサンパウロ育ちの私としても、
20~30メートル先まで常にアンテナ張っている
「リオ市民ってスゴイ!」
と思わざるを得ませんでした。
ちなみにその時、
数年ぶりに数日間サンパウロで過ごしたのですが、
既にリオが基準になっていた私の目には
サンパウロが「先進国」に見えました…とさ。
お読みいただきありがとうございました!
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