つい先日見つけてしまった誤訳
つい先日、たまたま見つけてしまったんです…。
それはおそらく CD の歌詞カードの画像でした。
「どこか隅っこに居場所を見つけて、
そこに座ってギターを奏でる」
てな歌詞のブラジルの歌の歌詞なのですが、
なにせ歌詞なものですから、
「どこか隅っこ、僕のギター」
みたいなぶつ切り並列節で、
訳した人が「隅っこの居場所」と
「小さな可愛い歌」を取り違えてしまって(!)、
「歌があり、ギターがあり...」
みたいな訳になっていたんです…。
一瞬、「んっ?!」
と思ったのですが、すぐに
「なるほどねぇ~、そういやぁ、紛らわしいかも!👀」
と思いなおしました
というのも、
「cantinho(【伯:カンチーニュ】、欧:【カンティーニュ】)」とは、
「canto【カントゥ】」という単語に
「小さい○○」、「可愛い○○」、「○○ちゃん」
といったニュアンスを出したい場合に付ける
「-inho」という接尾語が付いたもの
(そう、ロナウジーニョ(Ronaldinho)の語尾と同じヤツ!w)
なのですが、
問題は、「canto【カントゥ】」という単語です。
「canto」という単語には、
「隅」とか「角(コーナー)」という意味と
「歌声」または「(鳥などの)鳴き声」という意味があり、
場合によっては「歌」と訳されることもあるのです。
ただ、「歌」と訳されるのは、
ある種結果論とでもいうか、
要は日本語にする際に
「歌声」や「鳴き声」より自然な文になるからということで、
本来の「歌」という意味のポルトガル語は
「canção【カンサゥン】」というのです。
そして現地で
「小さな歌」、「可愛い歌」というなら
「cançãozinha【カンサゥンズィーニャ】」であり、
「cantinho(【伯:カンチーニュ】、欧:【カンティーニュ】)」
といえば、
「(隅っこの)小さな居場所」という意味だと、
きちんと棲み分けがなされているのです。
が、
なにせ「歌う」が「cantar【カンタール】」なので、
語尾だけ変えて「canto【カントゥ】」としたら
「歌」だと理解してもらえるとなれば、
多くの日本人が
ポルトガル語で「歌」は「canto」だと覚えているとしても
頷けますし、
とりわけボサノバなど、
「歌」から入ったという人が多いポルトガル語のこと、
「cantinho」なんて表現を見たら、
当然のように
「『小さな可愛い歌』ってことね!」
と「閃いて」しまうというワケです!
パチッ☆-(^ー’*)bナルホド
実は、
ブラジルで育って
フツーにそれらを区別してきた私の場合、
そんな思い違いの仕方があるとすら思ったことがなく、
この誤訳は
ある意味「目からウロコ」だったのです…。
で、
改めて考えてみたら、
「他にもこういう間違いをする人っていそう!」
と思ったので、
備忘録的な意味も含めて
記事にしてみました。
本日もお読み頂き、まことにありがとうございました!
☝
「cantinho aconchegante」(心地よい居場所)と検索したら、
こんな「居場所」が見つかりました♪