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日本人に「堪忍袋」があるのと同じでブラジル人にも「袋」があるんです…。w
まずはこちらの漫画をご覧下さい。
![](https://assets.st-note.com/img/1695537160992-mwXeJ8TGsE.png?width=1200)
解説なしでは
「んっ?!?!」
ですよね…。w
なので解説しようと思います。w
👍👍👍
壁に寄り掛かっている男性は
「今日はそんな気分じゃない」
と伝えるのに
「Hoje tô sem saco pra isso」
【オージ・トーセンサック・プライッス】
と言っています。
これは直訳すると、
「今日はそのための袋がない」
になるのです…。w
「saco【サッコ】」
👆ほぼ「ク」
というのが「袋」なわけですが、
例えば
「もう沢山だ!」、
「もう嫌になった!」
「もう我慢できない!」
といった場合は
「Estou de saco cheio!」
【エストウ・ジ・サック・シェイウ】
(直訳:「私はもう袋がいっぱいだ!」)
と言ったりするのです。
ほぅら、「堪忍袋」みたいですよね!👀
(緒が切れるわけではないですけどね…。w)
ただ、
日本語の「袋」が「堪忍袋」ならば
ポルトガル語の「saco」は
「忍耐袋」とでも言うべきものです。
というのも、「saco」とは
相手にイライラして𠮟りつけるか否か…とかではなく、
自分が何かをするに際して
それをするだけの「忍耐力」というか「気力」というかが
あるか否かという話に用いられるもので、
また、そこから派生して、
そんな「『忍耐力』や『気力』を要する事」、
つまり「面倒なこと」をも指すのです。
ですから
「Não tenho saco para fazer isso!」
【ヌンテーニュ・サック・プラファゼーリッス】!
(「そんな面倒なことするのは嫌!」)
などという表現も存在しますし、
面倒だけれどやるという場合には、
「Ai que saco!」
【アイキサック】
(「なんて面倒なの?!」)
《直訳:「なんという『saco』だ!》
などという表現が飛び出したりもするのです。
❇❇❇
ところで今回の漫画は、
ブラジルのポルトガル語(伯葡語)の
ハチャメチャぶりが光る(?)作品なので、
もう一度貼り付けた上で
表現等の説明をさせて下さい。
⇓
![](https://assets.st-note.com/img/1695647169690-wQyZvPVTuH.png?width=1200)
「E aí !」: 【イーアーイー】と読みます。
そして厳密には「?」を付けて、「E aí ?」とし、「で?」と
相手に返事を促したりする表現なのですが、友達同士の場合は
「やぁ!」といった挨拶としてもよく使われます。
「Mano」:【マーノ】は「兄ちゃん」。実兄をこう呼ぶ人も実際います。
👆 鼻音ね♪
「お姉ちゃん」の場合は、勿論「Mana【マーナ】」です。
👆 勿論鼻音ね♪
「Bora」: 【ボーラ】。
👆 開口音。「バ」と言う時の口の形で「ボ」と言ってね!
これに動詞の原形で「○○しに行こうや!」といった表現に
なるのですが、これは「Vamos embora【ヴァーモス・エンボ
ーラ】」の略で、外国語としてポルトガル語を学ぶ場合は、
当初「『Vamos embora』とは『帰りましょう』という意味
です」と習う人が多いこともあり、7才でブラジルに渡った私
でさえ、最初の頃は「帰りましょう」と言いながらどこかへ
行くのは変だと感じたのを覚えています。w
「Ali」: 【アリッ】と読みます。「あそこ」という意味です。
「Aqui【アキッ】」(ここ)
「Aí【アイッ】」(そこ)
「Ali【アリッ】」(あそこ)
なので、日本人にはわりと分かり易いです。(英語のように
「there が『そこ』だったり『あそこ』だったり」というよう
なことはありません。✌
「Não」: 【ナゥン】
英語で言うところの「ノー(No)」ですね…。
ただ、ポルトガル語の「Não」の場合は英語の「not」の役割
も果たすので、その場合は、それに続く動詞の一部のように、
【ヌン○○】といった感じに発音します。
「Tô」: 【トー】。これは状態を表す「estar【エスタール】」動詞の
一人称単数・現在形 (estou【エストウ】)の「トウ」の部分)
です。
ラフな会話では皆、「estar」動詞の「tar」の部分しか言いま
せん。
「sem」: 【セン】。「com」が "with"、「sem」が "without" です。
(ちなみに 100(百)を意味する「セン」は「cem」です。)
「saco」: 【サッコ】(ほぼサックと聞こえる)。本日の主人公である
「saco」は本当にただの「袋」という意味です。結果、男性
の下半身にある「袋」のことも「saco」と言うので、上で
説明したような表現以外で「saco」と言ったら、笑われた
などという経験をしたなら、それは変な連想をしてからかわ
れたのだと思って下さい。💦
「pra」: 【プラ】。これは「~に」、「~へ」、「~のために」などと
訳される前置詞の「para【パラ】」の、会話をしている際の
発音に似せたもので、チャットや漫画などでは頻繁に使われ
ますが、無論正式ではないので、作文などには使わないよう
お気を付け下さいね♪
「isso」: 【イッソ】(概ね【イッス】と発音)。「それ」という意味
です。 「これ」は「isto【イストゥ】」というのですが、
【イストゥ】と【イッス】では【イッス】の方が素早く楽に
発音できることから、会話ではなんでもかんでも【イッス】
で済ませてしまう傾向がありますが、これも文法的には NG
です。むしろそのせいで、本来の「これ」と「それ」の違い
はともかく「isto (これ)」はフォーマル、「isso(それ)」
はインフォーマルだと断言する人も少なくないようです。
よって、作文でどっちかな?と悩んだ場合は「isto (これ)」
にしておいた方が点数に響きにくいかと思われます。w
「Te empresto um【チンプレーストゥーン】」( 一個貸してあげるよ):
「empresto【エンプレーストゥ】」は「emprestar【エンプレスタール】」
動詞の 一人称単数・現在形です。
「emprestar【エンプレスタール】」動詞は、ここでは「貸す」という意味
ですが、実はこの動詞、ここ ( https://kotobank.jp/ptjaword/emprestar ) に
記されているとおり、 「貸す」という意味のみならず、「借りる」という
意味も兼ね備えている 「曲者」です!👀 (この問題については、いつか
改めて記事にしますね♪)
「Te empresto」となると、「君に」/「お前に」という意味の「te【チ】」
があるため、「君に貸す」話だと理解できるわけですが、この「te」は、
目的格代名詞なので、文頭に出て来るのは、文法的には間違いです。
多少なりともブラジルのポルトガル語(伯葡語)に馴染みのある方なら、「でも、皆使っているじゃない!」、「これが間違っているなら『Te amo』(「愛してる」)はどうなるの?」等々思われるかもしれません。
それでも残念ながら、文法をきちんと心得た教師であれば、文中の「会話」として以外、つまり作文の本文に「Te」から始まる文があれば、修正する
ことになります…。(とりわけポルトガル人を初めとする欧州葡語話者の
教師がこのような文を見た日には総毛立つこと間違いありません。w)
てなわけで、
今回は
非常にブラジル人らしい言葉遣いだけれど(だからこそ?w)
お堅い国語の先生や欧州葡語話者が
最も嫌う要素がテンコ盛りな漫画を扱ってみました!w
本日もお読み頂き、まことにありがとうございました!
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/117279484/picture_pc_b36ca43e53082510ac22e8ecab5c39d9.gif)
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