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夏のお出かけにまつわる、過去の振り返りとこれから

すごく久しぶりに新幹線にひとりで乗ってます。
すぐ帰ってくるけど(夕方以降、体調を崩すことが多いので)、リノベーション作業中ずっと楽しみにしていたイベントです。

名古屋の文具女子博ポップアップストア!
年末に開かれるパシフィコ横浜のための予習です。

昨日までリノベーション作業でバタバタしていて、仮住まい先に移ってまだ数日ということもあり、眠りが浅い日々です。だめだめにならないよう最低限寝て、この暑さなので日傘+凍った麦茶+inゼリー、あめちゃんをバッグに入れてバッチリです。


10年近く前になるでしょうか、多忙すぎて不眠症とパニック症を患いました。その時は本当に眠れなかった。身体はくたくたで寝たいのに頭の底がやけに冴え渡り、嫌なことばかり想像してしまって、すやすや眠る彼の隣で震えていました。

彼にも相談して、翌朝近所のメンタルクリニックへ。そもそもこうなる1年前くらいからまともに電車や飛行機に乗れなくなっていました。
引き金はやはりといおうかわたしらしいといおうか、仕事の上でのトラブルです。
とあるシリーズを出してくれていたレーベルさんが、ある日突然業務を畳むとおっしゃったのです。その時わたしは次の巻のゲラチェック中でした。

デビューしてまだ数年の頃なので、やる気はあっても実績が伴わず、新人作家の原稿(しかも他社から一度出たもの)を引き受けてくれるところはそうありません。
いまは、昔の原稿を出し直すのもかなり増えましたよね。なんなら、電子書籍でも出せるし、読んでくださるひとの数も増えた気がします。
出版は不況続きですが、読者さんはちゃんと存在しています。紙書籍か電子書籍かの選択肢は増えました。動画やゲーム、サブスクというカルチャーに追いやられている面も否めないけど、出版社もなんとか模索しています。

他業種から見ると、出版社はあまりに閉鎖的で昔ながらの縦社会でパワハラモラハラが横行し、ワーカホリックしか生き残らない……みたいなところがあります。
わたしも典型的なワーカホリック。仕事のために生きてきたと言っても過言ではありませんでした。

でも、その仕事で夢を絶たれて打ちのめされ、車に乗ってスピードが出たとたん、心臓がばくばくしていまにも死ぬのではないかというとてつもない恐怖に襲われました。

最初は寝不足だと思ってたんですよね。メンタルクリニックに行こうよ、たぶんパニック症だよと友達にアドバイスされても、当時のわたしは過労で入院したことはあっても、メンタルを病むなんて……と自分の弱さをひどく恥ていました。お医者さんになにを言われるか怖かったのもあり、1年以上放置して仕事にのめりこみ、同人活動に励みました。

夜になると、出してもらえなくなった本をどうすればいいのかくよくよ悩みます。親しい担当さんも気の毒に思ってくれましたが、当時はほんと、めちゃくちゃベテラン作家でも出し直しをあまりしていなかったのです。


A社から出せなくなったシリーズを他社に持ち込む、もしくは同人誌やKindleで出すということもほぼない時代。
このまま諦めるのかと絶望しました。
この時、もう一社さんと仕事していましたが、そこでもまだまだわたしはこれからの作家なので、数が読めません。

書くことで身を立てようと強く自分に言い聞かせてきたからこそ、デビューのチャンスもいただけたけど、世界には圧倒される実力者がゴロゴロいます。
もうみんな面白い!すごい!不況ながらもいまよりはもう少し本が売れていた時代でしたから、書けるひとはどんどん書いてどんどん売り出してもらっていました。

なのに、いきなりストップがかかったわたしはフリーの雑誌編集を続けながら、頓挫したシリーズをどうにかできないかとあがいていました。

煌めく才能があるわけじゃない、ただ愚直に書いていただけです。あまりに仕事にのめり込むわたしを「ちょっと怖いよー他にも楽しいことあるよー」と言ってくれるひともいました。
わたしは書くことをなにより優先したかったのです。二度、過労で入院しても、退院したらすぐに取材に飛びました。

自分が必要とされたい。
なにか形にして残したい。

なにかを得るためには他の大事なものを犠牲にするのか。
ずっと考えていました。

なにかを犠牲にしてまで仕事を選んだというのではなく、ただもう書いていたい、書いて読むあいだはすべて忘れられるからのめりこみました。
もしなにかを犠牲にしたというなら、健康と人間関係です。

いまわたしは自力で生活できるレベルではありますが、体調をすぐ崩すので遠出が難しいです。
約束も、万が一は前の夜の状態によってキャンセルさせてもらうことがあるので、それを許してくれる方とのみお付き合いしています。本当にすまない……約束を守れなくなる自分を想像していませんでした。

たまたまちょっと頑丈に生まれたゆえの傲慢さですよね……心身をかばいながら生きてらした方のつらさがひとつもわかっていませんでした。
いま、人様の優しさに触れるとありがたくて申し訳なくなりながらも、ホッとします。

仕事は楽しい。本当にそう思う。時代錯誤とかそんなレベルではなく、わたしはちょっと変だと思います。

仕事より楽しいことってなに?とずっと考えてました。
でも伸び悩み、煌めく多くの作家さんに一方的に嫉妬し、いいないいなと呻いた挙句、苦しみながらお作品を拝読した結果、自分の長所を見失いました。
恥ずかしいやつ笑


売れることばかり考えていたさなかにパニック症になり、冷や汗を流しながら仕事を続けていました。なにをすれば、自分は自分を認められるのだろうといつも考えていました。

あの頃、いまよりさらに人様の言葉にすがる反面、信じられなかった自分がいました。
結果はすべて数字です、と言い渡してきたひともいるし、「うちであなたは最低レベルの部数ですよ」と言ってきたひともいるし、「売れたい」と言うと「そのためになにか努力してますか?」と返ってくるのが日常でした。

雑誌の世界がそもそも人気商売の筆頭のようなもので、日々、膨大なデータと数字を目安にします。極論を言えば、売れればお相手の人柄がどうであれフォローしていくし、そうじゃなければあまり手間をかけなくなるひともハッキリと存在する世界です。脅すつもりはなく、書いてお金をいただくことにこのシビアさはつきものです。

褒めてほしい、ちやほやしてほしいと、強烈に、目が眩むほどに思っていた頃を振り返ると、とにかく体力はあったんだなと思います笑
なにがあっても褒めない、なぜなら褒めていい原稿になるかわからないから……とある方に言われたときはさすがにびっくりしました。

いいところは必ずあります。ひとにも原稿にも。
時間をかけて作ってきたものですもん。

もし全体のブラッシュアップをはかるなら、まず長所をプッシュして、その後、改善点を出す……とかじゃないんだ……と落ち込む反面、これは当時まだ雑誌の世界にいたこともあって、一編集として担当ライターさんや漫画家さんの原稿を見る際は、よいところ、直したらもっとよいところを伝えていこうとも感じたことです。

不思議なくらい、めちゃくちゃいい方もいます。失礼な言い方かもしれませんが、お返事をくれる、お互いすり合わせていく、こちらが悩んだことについても意見を出してくれる……ありがたすぎます。

頑張って書いた初稿だからいい原稿なんだよ!ということは商業出版ではゼロに等しく、さらなる手入れを求められます。このステップを踏んでもなお悔しい思いをすることもあります。
書くだけならいろんな手段があります。

お料理を毎日おいしく作るひとが、みんなプロの料理家になりたいわけじゃないですよね。

お料理が好きだから。
おいしいものが好きだから。
誰かに作りたいから。

書くこともそうです。
自分のための楽しさというシンプルさを、かつてのわたしは忘れていました。
武将になりたいんか!と思うほどの功名心に煽られていました笑


結果の数字だけが成功のすべてと信じていたからこそ得たものもありますが、失ったものもたくさん。

なにもまだ始まってなくて終わってもなくて、わたしは常に旅の途上にありますが、そんな中でも書くこと読むことの楽しさ、そして人付き合いによる嬉しさをいまあらためて噛み締めています。
100人のひとがいたら100通りの性格と生活がある。いまこうして、この拙い文があなたの目に触れているとしたら、たくさんの偶然とかすかな必然による奇跡です。お会いできてとても嬉しいです。ありがとうございます。長文ですみません。

始めることより、続けていくことは本当に難度が高いものです。
働き続けることって意外と惰性でもできますよ。わたしから見ると、ご自分の体調や心をちゃんと見守って、休むという選択肢を取れるひとを尊敬します。


仕事で書くというのは他人に評価されてなんぼの世界で、皆さんそれぞれの工夫や努力をしています。わたしみたいに人目ばかり気にする人だけではなく、自分の軸は自分の中に、と外界と一線を引く方も多いです。

雑誌の頃、つねに巻頭特集を取れるようにしていたぐらいの功名心に駆られていました。

みんなでひとつの記事を作る現場から、ひとりで作る作家業に転換したときは、意外にも不安でした。もう頼れるひとはいない、ならば自力で売れなくちゃ、と。

毎月かわるがわる誰かが人気作家として登場します。読者さんのアンケート結果も見て、人気順位に浮かれたり落ち込んだりします。
売れたくてたまらないけど、誰かを蹴落としたいわけじゃないのに。あのひとより上がいいとかじゃないのに。矛盾していますが、当時もいまもそうです。

なにを書けば、わたしはより楽しいのか。
満たされるのか。
自分を認めたい気持ちはいまも強くあります。

noteに思いの丈をぶつけていながらなにを言うのだという思いもありますが、SNSの浸透で確実にわたしの性格はバランスを崩しました。
綺麗だと思ってたものがもっともっと素晴らしく見える。それを応援するひとがたくさんいる。

わたしも応援されたい、たくさんのひとに認められたい、いいねされたい……って、もう本当にSNSの申し子ですね笑
キラキラしたイメージを作るのはめちゃくちゃ大変。かわいい、すごいって言ってもらうために必死でした。
いまは、一瞬でも身体の痛みがないことのほうが大事で、それを知ってくれているひとを愛し、仕事していくことが大事。
キラキラしてたいけど、以前と同じじゃなくていい。いま自分が心地よい範囲で手に入るもので十分です。

結果を出し続けた先で必ず記録は塗り替えられるもの。アスリートほどの努力はできませんが、他人にすごいすごい!と言われて舞い上がるばかりではなく、もし結果を出せずにうずくまっていても、この痛みを乗り越えただけすごいじゃん!本当にさ!って自分を信じたい。そして褒めたいし、認めてあげたいです。
いつかすべて終わるならもがきたいし、みっともないこともたくさん言いたい。我慢せず、やりたいことをやれるときにいっぱい。

電車に乗れない、落ち込む、眠れなくなるという極地に至ってはじめてメンタルクリニックに行き、お薬で睡眠を取る生活が始まりました。


今日までのあいだにさまざまな病名がついては消えています。いまのところはぜーんぶ更年期のせいにして、婦人科でホルモン治療してます。


キャリアが途切れる怖さがあり、とくにこれまで休まなかったのですが、それよりたぶんわたしは書きたい欲望が大きすぎて笑
このnoteがまさしくその典型です。

誰が読んでくれるかわからなくても、たった数人でもいいから、とにかく自分の中にあるエンジンを回し続けたい欲望があります。最悪、自分が書いたという事実を自分がわかればいい。

その結果がどうなるか、セルフブランディングをちゃんとしたほうがいいとか、リサーチもしっかり!とか世の中にはさまざまな方法論があり、楽しいものを見るとすぐに浮かれて、わたしもわたしも!てなります笑
飛びつく勢いって大事!本当に!


パニック症は発症から10年以上が過ぎ、ほぼ落ち着きました。どこでも遊びに行けます。
でも、ほんとにちゃんと寝たほうがよいです!
思考力が極端に落ちる寝不足はすべての敵。
ごはんも食べられるだけでいいから、なにか口にしてくださいね。

パニック症に悩む方がいらしたら、暑さ寒さに気をつけて、できるかぎり寝て、食べて、映画観たり読書したり散歩したり、好きなことをしてくださいませ。
わたしはずっと、書く読むこと以外の楽しみを知りませんでした。いま、少しずつ好きなことを集めています。

納期を守ることこそがすべて!という人間関係もまだありますが、もっとゆるくお付き合いできる方も増えました。
仕事することと好きなひとと一緒にいることのふたつが、いまはなにより大事です。
そのためにはもうちょっと健康でいよう……!


あの時、シリーズ出版が途中で止まった本は数年の時を経て別会社から無事に出し直しされ、書いて本当によかったと思えるひとつになりました。途中、同人誌に戻ることもしましたよ!

久しぶりの一人旅で浮かれ、あれこれ書いちゃいました。
ずっと書いていきます。
仕事もするし、しばらくは予定を組んでいます。
でも、もしなにもできない日があってもいいです。生きてるだけですごいんだよと自分に言います。


これから起こるたくさんの出来事、すべて前向きに受け止めますー!なんてできないけど、やだやだ言いながら、自分なりにがんばります💪

また書きます!

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