モードとはなにか?/S&S OPEN TALK #34
SLOW&STEADY ではオープン直後から、お客様からの相談窓口として、LINE@を利用しています。 その内容は、商品の在庫状況の確認から始まり、商品ご購入後のアフターケアに至るまで多種多様ですが、そんな中「これは多くの方も同じようなお悩みをお持ちのはず」と感じるようなご質問も少なくありません。さらに、そういったご質問ほど短文では返しづらいのが正直なところで、そこでこの度、そんな魅力的なご質問の数々をピックアップさせていただき、ここnoteにてマガジンという形で回答させていただく、という試みを開始いたします。
名付けて『OPEN TALK』今週はこんなメッセージから。
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「モードとはなにか?」
モードとはなんでしょうか?モード系の洋服屋の店員さんいわく「一番早い洋服」という説明でした。自分でも調べてみたのですがよくわかりません。(LINE@よりM様)
モードとはフランス語で「流行」という意味です。
世界中のブランドがパリコレクションを代表に作品を発表し、そこで毎シーズン生まれる流行、その頭部分のことだと、僕は解釈しています。
ではなぜ「流行」ではなく「流行の頭」と書いたのか?そこにこのモードという世界を紐解く鍵があります。
あなたが「流行」を感じる時とはどんな時でしょう?飲食を想像すればわかりやすく、タピオカ然り「流行っている」と感じた時というのは、すでに店には長蛇の列ができている時です。
前提として、そういう「大衆的な流行」はモードではありません。モードとは、大衆的に広がる大きな流行を産む「源流」とも呼べるものです。
モードの最高峰と呼ばれるパリのプレタポルテ(高級既製服)コレクションは、世界中のデザイナーが自分の身を削り生み出したコレクションを披露する場所で、そこで生まれる「流行の原石」は、各バイヤーの手によって、徐々に大衆へと広げられて行きます。
日本で言えば「COMME des GARCONS」「YOHJI YAMAMOTO」「ISSEY MIYAKE」などを筆頭に「ANREALAGE」「sacai」「kolor」「UNDERCOVER」などが、モード系ブランドとして名の挙がるところではないでしょうか。
その辺りの線引きはおそらく「コレクションを発表しているか否か」ですが、コレクションをしたからモードなのか?と問われれば少し違う気もします。
しかしながら「最先端で革新的」これがモードの定義となっているのは確かで、世界中のファッショニスタの評価に常に晒されながらも、なお自らの中にあるものを愚直に表現する。モードの世界で活躍されるデザイナーの精神力、情熱たるや、僕などが軽はずみに書けるほど生半可なものではありません。
まさに洋服の主戦場。そこでの惨敗は死をも意味し、地位や名誉、洋服人生すらも危ぶまれてしまう危険を乗り越えて、陽の目を浴びて誕生する洋服たち。
ご質問にある、とある店員さんの「一番早い洋服」とは、まさにこういった理由からでしょう。
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蛇足ですが、そんなモードの世界で生まれる流行の種(エッセンス)を簡易的にどこよりも早く、世間に広げるのがファストファッションです。モードとファストファッション、同じ「早い」でも全く意味が異なります。
個人的にはこの構図にとても違和感を感じてしまうところですが、それについてはまたの機会に譲るとして、まとめさせていただくと、「デザイナーが心血を注ぎ生み出したコレクションがしのぎを削り、新しいムーブメントが起こり得る、究極に研ぎ澄まされた世界」それをモードと呼び、激流の中に身を投じ、幾度の生傷も癒えないままに流れに抗い、自己表現を繰り返し続ける人たちを「モードの住人」と呼ぶのだと思います。
他方で「ゆっくり着実に」をコンセプトに、時代に流されないものは何かを考えているのが当店です。
正反対とまではいかずとも、扱っている世界観が全く異なるので、的確にお答えできているか不安ではありますが、一般の方が想像するモード系ファッションは、「モード」ではなく「大衆的」に近いのかもしれません。
最後に、こちらの本をご紹介して、今週は締めたいと思います。
モードの世界で40年以上にわたりご活躍される山本耀司さんの書籍。モードとは何かをわかりやすく解説されていて、非常に読み応えある一冊です。
僕の戯言なんかより、数十倍タメになります(笑)
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今週は、以上です。
ここでは、あくまで僕の答えられる範囲内にはなりますが、このマガジンを使って、皆様からお寄せいただく「洋服に関するご質問やお悩み」を、ざっくばらんにご紹介しております。
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