人間失格-太宰 治 /S&S OPEN TALK #41
四国にあるセレクトショップ SLOW&STEADY ではオープン直後から、お客様からの相談窓口として、LINE@を利用しています。
その内容は、商品在庫の確認から始まり、商品ご購入後のアフターケアに至るまで多種多様です。しかしそんな中「これは多くの方も同じお悩みをお持ちのはず」と感じるご質問も少なくありません。さらにそういったものほど短文では返しづらいのが正直なところ。
そこでこのnoteにて「マガジン」という形で回答させていただくことで、そんな魅力的なご質問の数々をピックアップさせていただければと思います。
名付けて『OPEN TALK』今週はこんなメッセージを。
おすすめの1冊
先日の好きな曲の記事がとても面白かったです。これも洋服とは関係ないですが、私は本を読むことが大好きで、積読が毎月5冊づつは増えている状況です。ぜひおすすめの本など、お教えください。(徳島県/poteto)
読書家と呼べるほどではないにしろ、僕も比較的読書が日常にあるほうです。
少し前は僕も月に10冊と掲げていましたが、今は現実的に月5冊程度は必ず読むようにしています。
そこで注意しているのは、ジャンルを限定しないこと。無意識に選ぼうとしてもつい興味のあるジャンルやタイトルばかり読んでしまうもので、そうするとどうしても考え方は偏ってしまいます。そこで話題作なども含めて、意識的にランダムに選ぶようにしています。
そこで今回は、この数ヶ月で読んだ本の中で特に良かったと思える本をまとめて数冊ご紹介!と思ったのですが、一冊の紹介が長くなりそうなので、今週はあえてこちらの一冊のみをご紹介させてください。
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人間失格/太宰 治
日本人なら知らない人はいないであろう名著です。
最近になって不意にもう一度読み直したのですが、太宰治がこの本を書き上げた1ヶ月後に入水自殺し、遺体で発見されたのが39歳の誕生日。
虫の知らせではないですが、自分が39歳のうちにもう一度読んだ方がいいと啓示をくれたのかもしれません。
有名なフレーズ「恥の多い生涯を送ってきました」から始まるこの小説は、物心ついた頃から他人と自分の感覚の違いに翻弄され続けた主人公、葉蔵を通して、作者自身の苦悩や思いを綴ったもの。
自分が人と違うことを見透かされないよう振る舞っていた葉蔵でしたが、物語が進むにつれ、本性を周りに晒すことで、上手く振る舞っていた頃以上の不安や葛藤を抱えて、三人の女性に支えられながらも悩み苦しむ姿。
所々に垣間見える主人公の絶望感や、人生を終えようと思っている言い回しなどが、作者本人の心情まで巡らせてしまい、なんとも言えない読後感を覚えます。
奇しくも今の僕と同い年である太宰治が、命を燃やし書き上げた一冊。
時代が変わっても「普通」という実は意味のわからないフィルターを身に纏うことが、まるで義務であるかのように話す人たちは少なくありません。
初版1948年ですので、70年以上経っても、人が葛藤し苦悩する源泉は変わらないことを思い知ります。
僕はこの本からいつも「自分らしく生きる力」をもらいます。
太宰治という方は「普通」からすればかなり破天荒で大層な変わり者だったはず。それを裏付けるように、"決して褒められた人じゃない人間"として語られることも多い作家ですが、葛藤し苦悩するなかで自分の人生を燃やし尽くした生き様は、僕などは目標に向かい走る活力として、大いに刺激を受けて止みません。
すでに読んでいる方も多いかと思いますが、何かに向けて走り続けたい人、または自分らしさに悩む経験のある方にはぜひお勧めしたい一冊です。
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今週は、以上です。
ここでは、あくまで僕の答えられる範囲内にはなりますが、このマガジンを使って、皆様からお寄せいただく「洋服に関するご質問やお悩み」を、ざっくばらんにご紹介しております。
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