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#14 憧れの芸術家③-トミ・ウンゲラー-

前回に引き続き、好きな芸術家(アーティスト)について書こうと思います。また、そこから私にとっての、理想の作家像を少しずつ考えてみたいと思います。

全4回で各作家さんの紹介のあとに、自身の感想やエピソードを添えて書いてみます。


今回は3回目で、「トミ・ウンゲラー」さん。


・トミ・ウンゲラーさんについて

1931年フランスのストラスブール生まれ。1956年にアメリカに移住し、画家・漫画家・絵本作家や広告美術など幅広く活躍。ヘラルド・トリビューン賞、国際アンデルセン賞画家賞等を受賞。主な絵本に、『すてきな三にんぐみ』(偕成社)、『ぺちゃんこスタンレー』(あすなろ書房)、『へびのクリクター』(文化出版局)、『ゼラルダと人喰い鬼』(評論社)などがある。

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・少年時代、米国時代、隠れ家、の3つの時代に分けて紹介

少年時代
 父方のウンゲラー家は数世代前からストラスブールに住む時計職人の家系で、母方は繊維業を営む二人の家系に末っ子として生れた。しかしトミが4歳のとき父親が敗血症で亡くなり、一家は母方の工業地帯のあるろジェルバックで22歳まで暮らすことになる。
トミのパーソナリティは、芸術と文学の雰囲気に満ち 家庭環境のなかで、のびのびと形成された。 見識の高い愛 書家であった父親は、大蔵書家でもあった。これがトミを本好きにするのに大きな役割を果たしたのだろう。トミー は幼い頃から父の本に親しんだ。 初めて手にした絵本はペン ジャマン・ラビエのものだった。 冬の長い夜には、母親がドイツ語圏スイスやライン地方の昔話を語り聞 かせ、ルートヴィヒ・リヒターの 「家庭歌曲集』に載っている古い民謡を、ピアノで伴奏しながら歌ってみせたそうだ。
 トミの少年時代の大きな歴史的事件と言えば、第二次世界 大戦である。 この戦争を見守るトミの心境は、怖さよりも好奇心が勝っていた。同時に、戦争へ深い嫌悪 感を抱いたことが、60年代の反戦ポスターにつながっていき、 ファシズムを憎む気持ちは、政治を批判する上でのメインテー マのひとつとなった。 アルザス人であることの辛さを知ったの もこの時代だった。戦争中はナチスの教化を受け、解放後は フランスの学校教育を受けたからだ。

米国時代
 トミはニューヨークを、夢が実現しうる、偏見のない自由な 地として思い描いた。他の大勢の人がそうであったように、彼もまた、1956年、原稿やデッサンを携え、60ドルをポケットにこ この地に降り立った。夢は1957年に実現した。 絵本 「メロップス 一家、空へ」がハーバー&ブラザーズ社から出版され、また たく間に成功を収めたのだ。
諷刺画や広告といった多様な分野でもすぐに活躍するように なった。

諷刺漫画家として、早くも1958 年から「エスクァイア」 「ライフ」 「ショー」 「フォーチュン」 「ハー パース」「ホリデー」といった雑誌の仕事をするようになる。 本 では『アンダーグラウンド・スケッチブック』、『ホリプル」、「心筋 梗塞』 『結婚の内側」がニューヨーク時代の諷刺画の代表的 作品である。

隠れ家(カナダとアイルランド )
 カナダのノヴァスコシア、そしてアイルランドへと移り住むな かで、 トミの人生観は変化した。 金銭や成功よりも大切な物が あることを思い出したのだ。 その一つが、家庭を築くことだっ した。 この時期の、 自然を題材にした一連のデッサンは、それま でには見られなかった愛情に満ちている。 アルザスを離れて 以来、暮らしていた都市では接することのできなかった自然 や、 手作業の楽しさを再発見したのだった。
 子どもの本の仕事はこの頃一時的に中断し、1997 年「フリックス」で再開、1998年 『トレモロ」、1999年 「オット - 2000年 「青い雲」 と続けて出すことになる。

 本、ストラスブール市コレクションによる絵本・ポスター・彫刻(トミ・ウンゲラーの仕事)にて


トミ・ウンゲラーの有名な絵本


・「ゼラルダと人喰い鬼」のあらすじ

森の少女ゼラルダは、お料理が大すき。ある日、町へお使いにいくとちゅう、おそろしい人喰い鬼とばったり出あうが、あんまり腹ぺこだった鬼はたおれてしまう。かわいそうに思ったゼラルダは…。すてきなお料理がいっぱい登場。国際アンデルセン賞受賞作家の傑作絵本。

https://www.ehonnavi.net/sp/sp_ehon00.asp?no=3638&spf=1


・作家の好きなところ、自身のエピソード

 幼いときに凄く好きだった本が、トミ・ウンゲラー作の「ゼラルダと人喰い鬼」でした。幼いときドキドキしながらお母さんに本を読んでもらっていたのを、思い出します。また同時期にグリム童話の「七匹のこやぎ」も好きでした。この二つの作品は似ていて、怖いけど見たい、という感覚を持たせてくれました。この感覚はホラーとは違って、日々意識していなくても食べることにおいて、そうしている食物連鎖や弱肉強食についても、意識させてくれるものでした。
 私たちは鶏や豚などをたべる動物からしたら鬼であり、子供という立場でいうとまだ大人に従う弱い立場であること。ゼラルダとしても人喰い鬼としてもどっちの視点でもみれる面白さがここにはあるように思いました。
 またトミ・ウンゲラーさんの絵本には子供向けであってもブラックユーモアが富んでいて、「ゼラルダと人喰い鬼」の最後のページの絵に、子供が赤ちゃんを見ながら後ろでナイフとフォークを持っているシーンがあるのですが、それもまたクスッと笑えるポイントです。
 少し美女と野獣の物語と似たものを感じますが、絵の生き生きした構図や色合いが唯一無二の絵本に仕上げています。

 
 ちょうど今、絵本のラフ画を考えている時にトミ・ウンゲラーの絵本を見つけました。本に出てくる女の子の純粋さに惹かれました。先入観でものや人を見るのではなくて、本質を見つめる眼差しを育ててくれるお話しだと思いました。絵本のタイトルや表紙も、武器をもってたり、鬼がいますが、必ずしもそれが悪ではないことを教えてくれます。
 道徳的に当たり障りのないことを書くことはそう難しくはないと思うのですが、トミ・ウンゲラーのようにユーモアやダークさを含めたユニークな物語はなかなかに難しく、唯一無二で、作者の哲学的な部分に憧れを感じました。

 物語といえば、twitterとinstagram、noteで漫画をNEZAMEというユニットで制作していました。姉が物語を書いて、わたしが絵を担当していました。タイトルは「悪ガキになれない」です。悪ガキに憧れているけどなかなかなれない女の子の日常を八コマ漫画で描きました。下記にリンクを貼ります。

(アカウントのURLはプロフィール欄にも貼っていますので、よかったらフォローもよろしくお願い致します。)
↓こちらは「悪ガキになれない」その1です。


制作している側からみる作品の輪郭と、それを鑑賞する側とではまた見え方が変わってくるのかもしれません。鑑賞する側から好きなのはトミ・ウンゲラーのようなダークユーモアな作品で、自然と出てくるものは真面目な女の子のお話しだったり…。 そういえば、画家デイヴィッド・ホックニーの言葉で、「自分に深刻になるな、 昨日に真剣になれ。」というのがありました。 わたし自身が自分を見失っている場合ではなくて、作品に対して真剣に完成度の高いものを目指したいと思いました。


最後まで読んでいただきありがとうございました。
Thank you for reading.

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