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#02 米国で普通のサラリーマンが、金融資産「100万ドル」(約1.5億円)達成するまで

W-9からW-2へ: 1万ドル→10万ドル

日本での1億円と同様、アメリカでは『ミリオネア』(100万ドル)が一般の人々の資産目標として語られます。私は2015年に5千ドルだけ持って仕事の当てもなく渡米し、2024年5月に金融資産100万ドルを達成しました。貯蓄も投資も全くしていなかった私が、地道に米国の金融知識を学び、この目標を達成できました。普通の人がコツコツと積み上げて100万ドルを達成することは、他の人々の励みになると思い、Noteに書くことにしました。前回の投稿では、渡米から1万ドルの金融資産を築くまでの過程をまとめました。

ちなみに、見出しのW-9とW-2は、就労時に提出する書類の名称で、雇用形態によって異なります。W-9フォームはフリーランスや契約社員向けで、W-2フォームは正社員向けです。前者は自分で納税する必要がありますが、後者は会社が給与支払い時に税金を控除します。今回は、渡米後にフリーランスの仕事から正社員になるまでの過程を簡単に紹介します。

ほぼ実態無しのスタートアップから大手企業へ

2015年12月(失職)

渡米後すぐに見つけたスタートアップの仕事は、予定していた投資を受けられなかったため、2ヶ月で同じ給料を払えないと言われました。しかし、他の仕事も掛け持ちしており、スタートアップにいる間にもエージェント経由で大手金融機関からの仕事の誘いもあったため、あまり悲観はしていませんでした。(大手金融機関のオファーを断った際、エージェントから電話越しに怒鳴られましたが、スタートアップのオーナーとの関係を尊重し、夢を追いかけてしまったために断ってしまいました。結果的には、エージェントの判断が正しかったのですが。)

2016年1月(仕事探し)

新年早々、別のエージェントに連絡し、仕事の紹介を受け始めました。紹介といっても、適した仕事の内容がメールで定期的に送られてくるだけでした。その中から一度に7件の面接を受けることにしました。

数日で7件も面接を受けると、さすがに事前に優先順位をつけてしまいます。その中の大手メディア会社は、前の面接が長引き遅れそうになり、最悪面接に出なくてもいいやと思っていました。しかし、オフィスに入ると非常に未来的で、面接時にFacebook社と機密プロジェクトを担当していると聞き、興味が一気に湧きました。面接の反応も良かったので、絶対この仕事だと当日は確信しました。実際には私は二番手だったようで、数週間後に第一候補者が見限られ、私が試用期間に参加することになりました。時給は55ドルでした。

アメリカでも正社員に即採用されるより、3ヶ月や半年契約社員として働いた後、正社員にという流れがよくありますが、この仕事の話もそうでした。どんな形であれ、日本でも聞くような大手会社で働けることとなり、なんとなく米国の生活も様になってきたかなと思いました。

2016年6月(正社員に)

当初は3ヶ月の試用期間後に正社員になる予定でしたが、勤務先からエージェントに支払う金額などの交渉が必要だったため、少し時間がかかりました。正社員としての年収は12万5千ドル(当時のレートで約1,375万円)でした。日本の会社員時代と比べると倍以上だったので、単純に嬉しかったですが、ニューヨークの相場では中の上位だと思います。

正社員と契約社員の米国での違いについては、また別の記事でまとめたいと思いますが、基本的には時給換算で契約社員の方が高いことが多いです(その分、健康保険などは自分で賄わなければならず、仕事も流動的になります)。私の場合は正社員の方が時給換算でも高かったです。おそらく、エージェント経由の契約社員の場合、その経費がなくなる分、交渉やパフォーマンス次第では珍しくないことだと思います。

契約社員のW-9からW-2のフォームを記載して正社員になる訳ですが、健康保険、確定拠出年金、税金などが先に引かれるので入金金額はどうしても小さくなります。後でよく理解しますが、納税の事とか考えるとW-2契約の方が楽ですが。

確定拠出年金401(k)と預金口座(Savings口座)

妻は時給35ドルの繋ぎの仕事をしながら、仕事終わりに学校にも通い、その甲斐あって、私が正社員になったすぐ後に、大手デパートの年収8万5千ドル(当時レートで約935万円)の仕事に就くことができました。夫婦でそこそこの年収が得られるようになり、ニューヨークでもなんとか暮らせるようになったので、ブルックリンのもう少し良い地域に引っ越しました。

それまで基本的には働いて稼ぐ位で資金運用も何もしてない状況でしたが、401(k)と預金口座の開設はこの頃始めました。

401(k)は米国の企業が提供する退職貯蓄プランで、給与から税引き前に拠出される貯蓄金が投資され、退職後の資金として積み立てられます。税控除等以上に一番重要な点は、企業によっては自分の貯蓄額に応じて追加で拠出してくれる事です。例えば、100ドル貯蓄するごとに5ドルを企業が追加で拠出する、といった具合です。当時はあまりよく分かっていませんでしたが、401(k)含む退職金関連は奥が深いので別で詳しく説明します。基本的には、できる限り早くから、多くの金額を回した方がいいです。

米国の銀行口座には、日常的な支出に使うCheckingアカウントと、貯蓄目的のSavingsアカウントに分かれます。米国では小切手で支払う文化があり、Checkingアカウントは対応していますが、基本的に利息は付きません。一方、Savingsアカウントは利息が高く設定されています。大手銀行だと0.1%等低金利ですが、新手の銀行やオンライン銀行では3%以上の利息が付くこともあります。現金が貯まってきたので、利息3%以上の預金口座は開設する事にしました。共働きだった事もあり、正社員になって半年後には貯金等含め資産は10万ドルになっていたと思います。

生活状況のまとめ (2016年1月〜2017年4月)

正社員になったので生活も安定し、よく分からずも401(k)を始める。

  • 住居: 2300ドル/月 ※当時レートで約26万円(ニューヨークのブルックリン)

  • 仕事: 16年の世帯年収 16万2千ドル ※当時レートで約1,782万円

    • 自分: 本業の年収 12万5千ドル ※当時レートで約1,375万円(年収額は夏の契約時以降 時給35ドル〜65ドルの仕事も少し掛け持ちしてました)

    • 妻: 年収 8万5千ドル ※当時レートで約935万円 (夏の契約時以降)

  • 金融資産: 1万ドル→10万ドル

  • 資産内訳:

    • 普通預金口座 (Checkingアカウント) 30%

    • 預金口座 (Savingアカウント) 60%

    • 確定拠出年金 401(k) 10% 

  • 税金: この頃から妻の同僚の紹介で会計士さんを通してやる様になりました。ただ、当時はそれほど知識も興味もなかったので、必要な情報を渡してサインするだけといった感じでした。

  • 健康保険: 正社員になったので会社のプランに入りました。米国の健康保険は種類が複雑で、別の回で説明したいと思います。

当時の振り返り

正社員になったので生活も安定し、よく分からずも401(k)は始める。

  • 正社員手続きの中で確定拠出年金401(k)を始めましたが、設定等は適当にしていました。それでも、加入して置いて正解でした。特に企業が追加拠出してくれる場合、それを最大限利用するのは必須です。

  • 健康保険は個々の状況に応じて選ぶべきですが、健康に不安がなく高齢でない場合は、高額免責額プランに加入するのが良いと思います。理由は、一般的に月々の保険料が低く抑えられることと、税制上のメリットがある健康貯蓄口座(HSA)を開設できることです。これは別途詳しく説明します。

  • アメリカでは投資の話題が人気ですが、必要なキャッシュをどこに置くかについては意見が分かれます。多くの人は数ヶ月や1年以内に必要な金額は現金で持つべきとアドバイスしています。このため、金利の高いオンライン銀行を開設することをお勧めします。送金はすぐに完了しますし、金利のつかない大手銀行やチェック口座に置いておくのは最低限にするのが良いでしょう。

  • 米国の確定申告の支払い期限は基本的に4月15日です。自分でもできますが、副業や小さな金額でも金利収入などがある場合、確実に会計士に依頼することをお勧めします。数百ドルで依頼できます。

次は、資産が30万ドルになる2020年3月まで説明しようと思います。


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