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東日本橋(旧米沢町)御幸通り界隈

スローリー余話
街の”なりたち”#48

2023年、70年ぶりに最大人口を更新した東京都中央区。東日本橋『御幸通り』に面した「日本橋中学校」も生徒数の増加が見込まれ予定では来年2025年から建替え工事がはじまります。明治期にこの場所には「千代田小学校」という小学校があり関東大震災で焼失しましたが震災復興事業により鉄筋コンクリート建ての新校舎が竣工。現在の『御幸通り』という名称は1930(昭和5)年に当時の天皇陛下による復興帝都巡幸が行われたことに由来します。その後、東京大空襲により小学校は閉校しましたが焼け残った鉄筋校舎の骨格を使った補修工事により中央区立久松中学校が開設し統廃合を経て現在の「日本橋中学校」となったと通りの記念碑には記されております。この通りが『御幸通り』と呼ばれる遥か前1872(明治5)年に創業した『あひ鴨一品』の名店はシンプルな美味しさで令和の今も私たちを出迎えてくれています。(以下2024年3月発売『東京Slowly² vol.3』より)

誰も真似できないシンプルな美味しい理由
あひ鴨一品 鳥安


温和な笑顔の五代目ご主人・渡辺秀次さん

1872(明治5)年創業。初代は秋田佐竹藩江戸留守居役をつとめた渡邉大助。刀を捨て新時代の職業として選択したのは「相鴨一品」。以来、両国橋西詰でかわらず「あひ鴨一品」で営まれている。メニューは唯一『相鴨すき焼きコース』のみ。前菜、お吸い物、ささ身と季節のひと皿にはじまりメインのすき焼に。熱々にした鉄鍋に、相鴨の脂をのせるとジイジイという音とともに食欲を搔き立てる美味しい香り。そこに分厚く切った胸肉をじっくりと焼くと溢れる旨み。おろし醤油でいただく至福。ささ身やももレバーなどの部位が投入される間に椎茸や葱などの野菜が加わる。相鴨も美味しさはもちろん旨い脂をたっぷり吸った野菜各種もこれまた絶品。あひ鴨一品が絶品になる至福の時である。相鴨を鉄板で焼くシンプルな調理法は150年以上続く誰にも真似できない美味しい理由だ。

あひ鴨一品 鳥安
〒103-0004 東京都中央区東日本橋2-11-7
03-3862-4008
営業時間:17:00-22:00
定休日:日・祝

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