見出し画像

Tokyo Slowly Story #10

江戸東京料理と甘いもん #2

登場人物:
アツコさん
私立大学英文科の講師。2年前に米国人の夫と死別。
実家は神田淡路町の魚屋。浅野温子似の62歳。市谷在住
ダテさん
都立高校の社会科教師。なぜか独身。実家は神田淡路町の酒屋。
サンドウィッチマン伊達みきお似の62歳。神田在住

2023年12月2日土曜日午後5時半。
神田まつや

ダテさん、いつものように入口から覗くと
ラッキーなことに空席が。土曜の夕方、この時間に
空席があることが珍しい「神田まつや」。
まずは、お約束の「御酒」と「わさびかまぼこ」。

先日マンションのエントランスで会った小学校の
同級生ルミさんから、
「今週末、この近くでアツコと会うのよ」
と声をかけられたの思い出す。
「まさか、いないよな・・」などと周りを見渡す。
別に会っても問題ないが、35年ぶりの再会に
このスエットパンツじゃな。と心のなかで独りごつ。
「焼鳥」とともに「御酒」をもう一本。

いくら子供のころから過ごした街といえ
「還暦過ぎがスエットでは恥ずかしい」などと
反省の一杯。

「さあ、ちゃちゃと食べて退散しよう」


「せめてデニムだな」と思いながら締めの「もりそば」。
ごちそうさまでしたと店を出て速足で帰宅。

「別に会っても構わないけど」とまた心のなかで
独りごつ。

(語り部)緒川 マチヒコ
「人生のやり残し」を集めて紡ぐ。自称・バーター職人(62歳)