隅田川と言問橋
スローリー余話
川と橋と美味しいもの#31
約1ヶ月ぶりの「川と橋と美味しいもの」です。
関東大震災の復興事業として1928(昭和3)年に竣工した『言問橋』。その名前の由来は平安時代の歌人・在原業平が詠んだ歌に因んだと言われているなど諸説ありますが、明治のはじめに現在の墨田区向島で開業していた『言問団子』が人気であったことから、この界隈を俗称として「言問ケ岡」と呼ばれていたという説もあるそうです。『言問橋』の向島側の「牛嶋神社」には、自分の身体の悪い部分と同じ箇所を撫でると快癒するという「撫牛」があり古くから多くのひとの信仰を集めていたといいます。
そして「牛嶋神社」の対岸・台東区花川戸には雷門近くから一昨年に移転リニューアルオープンした明治初年に創業の『すき焼 ちんや』があります。
(以下、2023年7月発売『東京Slowly² vol.1』より)
美味しさを受け継ぎ
一層拡がる「心に残る思い出」
浅草
すき焼 ちんや
1880(明治13)年に、東京・浅草の地に料理屋として創業、1903(明治36)年に、すき焼きの専門店となり、その料理へのこだわり、味、クオリティから、日本を代表するすき焼き店として名を馳せてきた『ちんや』がWDI GROUPに暖簾を継承し花川戸の地でスタートして一年余り。『ちんや』名物の「適サシ肉」ならではの、赤身の旨味と脂の甘味のバランスと、そして熟成による香りの良さが絶妙な『すき焼き』や『しゃぶしゃぶ』の美味しさ。そして、かつての風情を感じられる調度品などはそのままに『ちんや』の「美味しい理由」はしっかりと受け継がれている。
一昨年春の再開とともに多く訪れた何世代にも渡るお客さまに加えて、最近顕著に多いのが海外からの観光客。特にSNSなどを通じて『ちんや』を知りネットで予約される顧客だと言う。「靴を脱いで座敷にあがるというのも抵抗がないようです」と語る支配人の××さん。これも体験型観光が好まれている証しなのだろう。さらに顧客が多様化する中でベジタリアンやビーガンの方もおり、突然の「お肉が食べられない」という要望にメニューにはない「野菜だけのしゃぶしゃぶ」で対応した事もあったと言う。世代を超えて愛されてきた『ちんや』が「心に残る思い出」の場所として世界中のお客さまに認知されようとしている。
ちんや浅草本店
〒111-0033 東京都台東区花川戸2-16-1
tel:03-3841-0010
営業時間 月~金11:00~15:00 16:30~22:00
土・日・祝 10:30~19:30
(精肉店は10:30~19:30)
定休日:無