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港区 虎ノ門界隈

スローリー余話
街の”なりたち”#30

虎ノ門交差点にある「虎の像」

交差点にある「虎の像」は「虎ノ門」という住所表示になった後に記念碑として建てられました。もちろん江戸時代にこのあたりに「虎の御門」があったことに由来します。この街も「虎ノ門ヒルズ」のステーションタワーが2023年にオープンしさらに外堀通りに面した「虎ノ門一丁目東地区」の再開発もはじまり、かつて財務省や文科省など霞が関の官庁に出前をしていた蕎麦屋や町中華があった街の姿は大きく変わっています。2023年7月には日比谷線虎ノ門ヒルズ駅の運用もはじまっています。

そんな大きく変わる街で”昭和”の時代からずっと変わらず”売切れ御免”の「元祖・豆大福」の名店があります。

安心感溢れる”豆大福”

虎ノ門 岡埜栄泉本店

安定の美味しさ『豆大福』

1912(大正元)年に創業し虎ノ門の現在地で営みをはじめたが1948(昭和23)年、名物『豆大福』のはじまりは新橋演舞場で販売されていた「豆餅」に「あんこ」を包んで欲しいという演舞場の要請によって産まれたという。その後、歌舞伎役者や政財界人の間で「美味しい」と評判になり、その方たちの”お使い物”として重宝されてきた『豆大福』は今も手土産や差し入れなどの注文が後を絶たない人気商品である。高度経済成長期には毎日100~200個を注文するお客さまもあったという。まさに剛毅な伝説を持つ『豆大福』。初代から引き継がれた技と良質な原材料へのこだわりは三代目のご主人に伝承され、毎日早朝から『豆大福』が製造され、開店からお客さまが途切れることはない。

もうひとつの看板商品『栗饅頭』

昼過ぎには完売してしまう『豆大福』の人気の秘密は、その美味しさのみならず、ひとつ食べた時の十分な満足感にある。六個箱詰めされた紙袋を手渡された瞬間の心地よい重さは「いただいた」「お渡しした」という贈られる側、贈る側双方に”安心感”をもたらす手土産である。
また近隣の会社を定年退職しても定期的に訪れるお客さまも多いというエピソードは「たまに食べたくなる」安定の美味しさを提供し続けている証しであろう。周辺の再開発は進み新しい顧客も増えるなか虎ノ門・岡埜栄泉の『豆大福』は今日も安心感溢れる存在感で店頭に並んでいる。

虎ノ門 岡埜栄泉本店
住所:東京都港区虎ノ門3-8-24
電話:03-3433-5550
営業時間:月-金 9:00-17:00
土 9:00-12:00
定休:日・祝

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