日本橋小舟町
スローリー余話
街の”なりたち”#18
江戸の街を支える”物流の要”だった東堀留川と西堀留川は関東大震災後の復興計画や戦後の都市開発によって埋立られましたが江戸時代から昭和の初めまでこれらに隣接する場所は多くの”ひと”と”もの”で賑わっていました。現在の日本橋小舟町一帯は江戸期から多くの商店で賑わう商業の盛んな街でしたが、明治期になると安田銀行(のちの富士銀行、現在のみずほ銀行)が小舟町に設立されるなど近代国家のビジネス街に進化しました。今も歴史ある会社や商店が多い『日本橋小舟町』には長年愛され続けている『日本橋 舟寿し』があります。(以下、2024年3月発売号『東京Slowly² vol.3』より)
小舟町で旬を食す
綺麗な寿しと日本料理
ネタよし、技よし、気持ちよし
日本橋 舟寿し
1951(昭和26)年創業。初代から受け継いだ江戸前寿しに加えて厳選した旬の食材を使った季節料理も愉しめるコース料理なども人気の名店。その顧客層は幅広く近隣の住民から企業で働く人々などお祝い事の会食や商談などで利用されることが多いという。江戸前の穴子やキス、小肌などは東京湾で上がったものにこだわり「お客さまには日々最高の魚を提供したい」と語る三代目のご主人・二永展嘉さん。奥様の実家であるお店に入るまでは百貨店のバイヤーとして働くビジネスマンだった二永さんは、その持前のお人柄と仕事ぶりが評価され日本橋料飲組合の青年部「三三四(みよし)会」の会長にも選出され、現在は日本橋料理飲料組合の会長も務めている。
そんなご主人の実直な姿勢が板長はじめ全てのスタッフにしっかりと浸透しているのもお店が愛される美味しい理由。寿しネタへのこだわりに加え季節に応じてシャリの温度にも気を配り、さらにはカウンターでの接客も『舟寿し』ならではの心地良さ。刺身や寿しだけでなく季節料理を愉しめる『寿し会席』もひと品ひと品に細かな気遣いが感じられるホスピタリティある美味しさだ。慶事の会席『祝い膳』にはもちろん鯛が主役。一尾の鯛を幽庵焼・味噌漬け・塩焼と三種類の味を愉しめるような工夫を凝らしている。そんなひとつひとつの丁寧な仕事が『舟寿し』の美味しい理由だ。古くから商人・職人が集まり、今では働く人に加え新築されたマンションの新たな住民も増えた小舟町の美味しい寿しは“ネタよし”“技よし”“気持ちよし”と三拍子揃った名店だ。
〒103-0024東京都中央区日本橋小舟町11-2
03-3661-4569
営業時間:11:30-14:00L.O. 16:00-21:30L.O.
(土曜は10名様前後で要予約19:30L.O.)
定休日:日・祝