”銀座の西”界隈
スローリー余話
街の”なりたち”#24
外堀通り(通称:電通通り)に面したあたり”銀座の西”界隈は、関東大震災後の区画整理により江戸期からの町名「西紺屋町」「元数寄屋町」「南鍋町」などが「銀座西〇丁目」という町名に変更。その後その町名は1965(昭和40)年以降の住居表示変更まで続きます。1952(昭和27)年開始したNHKのラジオドラマ「君の名は」の舞台にもなった「数寄屋橋」が外堀川の埋立にともない1957(昭和32)年に撤去される頃は「銀座西」という町名だったのです。また、あの宝くじ売り場「西銀座チャンスセンター」が入る商業施設「NISHIGINZA」は外堀川埋立後に開発された高速道路下の活用施設として1958(昭和33)年に「西銀座デパート」として開業しました。
そしてあのシュークリーム「クリームパフ」や「リーフパイ」で全国的に有名な洋菓子店『銀座ウエスト』の名前は「銀座」の「西」で開業したことに由来するといいます。(以下、2023年10月発売『東京Slowly² vol.2』より)
甘い誘惑
銀座ウエスト クリームパフ
1947(昭和22)年、銀座7丁目外堀通り沿いに創業した地で今も続く老舗洋菓子店。創業当時は高級レストランとして開業したものの間もなく都の条例による「価格が高い」との理由でやむなく喫茶部門のみで再出発したいう。喫茶開店当時からクラシックが聴ける“落ち着いた”お店として多くの著名人に愛されてきた。中でも女性作家の林芙美子は当店が開店以来発行している「風の詩」という週刊冊子に読者から投稿される作品の選者を無償で引き受けていたほどに当店を愛好していたという。「実はこの席は永六輔さんの指定席だったのです」と語る社長の依田龍一さん。まだ有楽町に新聞社があった時代には多くの作家の原稿執筆の場所であり会議室でもあったのだ。
ゆっくりと“クラシック”を堪能する
今も変わらぬ落ち着いた空間でいただくのは3種類あるシュークリームの中から、たっぷりの生クリームが愉しめる『クリームパフ』。厳選された材料で丁寧に作られた美味しさは子供の頃の特別な日の贅沢な記憶を呼び起こすスイーツだ。薄いシュー皮につつまれたカスタードクリームの大きなシュークリームとの選択は大人の判断が求められる悩ましい決断だ。バターをはじめとする食材にこだわり熟練の職人によってつくられる『ウエスト』のお菓子とコーヒー、そして店内に流れるクラシック音楽と清潔感溢れる白いテーブルクロス。今日も『ウエスト』は変わらず“クラシックな美味しさ”を提供してくれている。
銀座ウエスト 銀座本店
〒104-0061 東京都中央区銀座7-3−6
tel:03-3571-1554
営業時間:月~金 9:00〜22:00土・日・祝 11:00~20:00
休:年末年始