浅草 伝法院通界隈
スローリー余話
街の”なりたち”#26
浅草寺の本院「伝法院」は国の名勝に指定されている庭園や重要文化財に指定されている客殿や書院がありますが一般公開はされておらず不定期に公開されています。面する『伝法院通』は「仲見世」と交わる商店街。和装小物や伝統工芸品など観光客に人気の土産物店が並ぶなか、連日11時の開店から客の絶えない、あの独特の色合いと美味しさの『天丼』の名店があります。(以下、2023年7月発売『東京Slowly² vol.1』より)
“この一杯を食べたい“
世代を超えて愛される天丼
浅草
大黒家天婦羅
1887(明治20)年創業、浅草・伝法院通りのランドマークと言っても過言ではない名店「大黒家天婦羅」。看板メニューは『海老天丼』。最高級のごま油を使い、カラッと揚げた海老天をご主人自ら調合する秘伝のつゆにくぐらせ、炊き立ての白飯の上に盛り付ける。フタをしてから少し蒸らしたそのお味は、濃厚にして旨味たっぷり。甘辛のつゆが染みたごはんと一緒にいただく天丼は、まさに珠玉の一杯。「うちは何世代にも渡って通ってくださるお客さまが多いんです」と語る五代目ご主人の丸山力三さん。コロナ禍、デリバリーを始めなかった理由をこう語る「この空間で召し上がっていただくのが『大黒家の天丼』なんです」。屋号に「家」とあるように、三代目が戦後復員後まもなく建てたという本店は、誰しもが懐かしさを共有できる「家」である。これこそが世代を超えて愛される美味しい理由なのかもしれない。
大黒家天婦羅・本店
〒111-0032 東京都台東区浅草1-38-10
tel:03-3844-1111
営業時間:11:00~20:00
定休日:なし