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港区 赤坂通り界隈

スローリー余話
街の”なりたち”#31

港区赤坂は一丁目から九丁目まで非常に広いエリアに渡ります。一丁目は虎ノ門と接するアメリカ大使館やANAインターコンチネンタルホテルのあるあたり、一ツ木通りなどの飲食店が集まる三丁目界隈。そしてTBS放送センターがあるのが五丁目で和菓子の虎屋赤坂店があるのが四丁目。乃木神社は八丁目で六本木の東京ミッドタウンは実は赤坂九丁目といったぐあいです。この住所表記は1960年代半ばに全国的に行われた改訂によるもので、戦前の1937(昭和12)年の古地図によると、外堀通り沿い(現在の赤坂一丁目から三丁目あたり)は「田町」や「溜池」、青山通りに面したあたり(現在の赤坂四丁目や七丁目)は「表町」そして東京ミッドタウンのある赤坂九丁目は今も公園名に名残のある「檜町」という町名でした。

赤坂五丁目交番近く、急こう配で有名な「三分坂」は江戸時代、車を押す人夫に銀三分を多く支払っていたのが名前の由来

江戸時代の古地図には山王下から続く「赤坂通り」(当時の呼称は記されていませんが)沿いは「新町」と表記されており、昭和40年前後の改訂までは「赤坂新町」という住所だったようです。現在は赤坂七丁目(かつては赤坂新町五丁目)には、あのスティーブ・ジョブスからも愛された和菓子があります。(以下、2023年7月発売『東京Slowly² vol.1』より)

名物『赤坂もち』

街に育まれた美味しさ

赤坂青野 赤坂本店

赤坂小学校に隣接する『赤坂青野』は1899(明治32)年創業。江戸時代は神田明神近くで飴屋を営んでいたという。名物『赤坂もち』は戦後まもなく三代目のご主人が「もち」と「きな粉」をひとつの器に入れ風呂敷包みにしたことからはじまった。他にも一個の栗をまるごといれた『一つぶ』という栗饅頭も開発され、そのスタイルは全国に広まった。いずれのアイディアも『赤坂青野』である。刻んだくるみと黒糖が入った「もち」と「きなこ」の織りなす美味しさは「赤坂名物」とも言われる身近な“街の和菓子”である。

場所柄、政財界をはじめ芸能人など多くの著名な常連客も多いが、そんな中でもApple共同創業者スティーブ・ジョブズが米国から注文していたというエピソードが有名だ。「後から知ったのですが」と前置きして「何度かカリフォルニアに送って欲しいという国際電話がありまして直送は出来ませんとお断りしていました」と語る店長の武田さん。この注文主が当人だったと言われている。また「小学校にお迎えのお母さんとお子さんが多く立ち寄られます」と武田さん。近所の小さなお客様も多いという。子供から世界的な著名人に愛される和菓子は、きっとこの街で育まれた”美味しさ“なのだ。

赤坂青野 赤坂本店
〒107-0052 東京都港区赤坂7-11-9
tel:03-3585-0002
営業時間:月~金 9:00〜18:00 土 9:00~17:00
休:日・祝

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