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日本橋室町 旧本銀町界隈

スローリー余話
街の”なりたち”#47

1911(明治44)年頃の古地図をみると現在の日本橋室町四丁目の千代田区の鍛冶町に隣接するあたりは「本銀(ほんしろがね)町」という町名が記されています。江戸時代、刀の脇差し細工や指物など銀細工の職人たちが集まっていたことに由来する町名だと言われています。関東大震災後の区画整理と町名変更により現在は「日本橋本石町四丁目」「日本橋室町四丁目」「日本橋本町四丁目」になっていますが「本銀(ほんしろがね)通り」という愛称の通りが残されています。このあたりが旧町名であった1869(明治2)年から続く「天もり」「天ざる」発祥の『室町砂場』は「本銀通り」沿いにあります。(以下2024年3月発売『東京Slowly² vol.3』より)

昼からやりたくなる“誘惑の一杯”

室町砂場 日本橋店

1869(明治2)年創業。関東大震災後に町名が室町になり以来『室町砂場』として愛され続けている。明るく元気な花番さんたち出迎えられ、はじめてでも安心して注文できる心持ちになる接遇は伝承の形式。お蕎麦だけでなく受け継がれた力である。『天もり』『天ざる』の発祥の店として有名だが決して偉ぶらず“庶民の食文化”を大切にしている矜持が感じられる。

蕎麦前の『焼き鳥』

更科粉を玉子でつないだ『ざる』は細やかな、くせのない甘みを感じる美味しさ。そして洗練された蕎麦粉の旨みを愉しめる『もり』。どちらも一度は食べ比べるべき一杯である。そして蕎麦前には定番の『焼き鳥』や季節の『おひたし』など、どれも「とりあえず一杯呑みたく」なる逸品。老舗ならではの“誘惑の一杯“のあとには心地良い室町の夜風が待っている。

蕎麦粉の芯だけを挽いた更科粉を玉子つなぎ、コシの強さを甘みが愉しめる『ざる』

室町砂場 日本橋店
〒103-0022 東京都中央区日本橋室町4-1-13
03-3241-4038
営業時間:月-金11:30-21:00 (L.O.20:30)土11:30-16:00(L.O.15:30)
定休日:日・祝