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二度目の張子

先日、張子のお面を初めて自作しました。イラストレーター佐々木一澄さんが描く鳥取張子のお面「ぬけ」を写したもの。制作の模様はnoteで綴りましたが、和紙をケチったのと、乾燥が充分でなく、ぺちゃんこな平面の失敗作になってしまいました。

で、悔しくて、情けなくて、すぐにリベンジ。二度目のトライでは広島県福山市「常石張子」の古い虎🐯のお面を写しつくることに。じつはコレ、Swimsuit Departmentの郷古さんがおそらく骨董市で掘り出したもの。工房先代の宮本夆一さんが1977年に手がけたお面は表情が抜群に緩く格好良く、唯一無二の表現。これを見い出した郷古さんの審美眼に唸りつつ、実物はすでにSOLD OUTだったため、ただただ残念に思い指をくわえてONLINEストア上の画像を何度も観ていました。同じお面はたぶん二度と手に入らない。ならば、自身で写しをDIYしてみようということに相成りました。

手法は初回と同じく、「日本シブカワ百科事典」の記事を参考にダイソーで材料のほとんどを揃えてチャレンジしました。まずは、写したい虎🐯のお面画像を見つつ紙粘土で型を成形。

刷毛で紙粘土を濡らしながら表情の肝となる眼や鼻、口の造形をなぞっていきます。

そして快晴の天日でしっかり乾かします。裏面も忘れずに、入念に。直射日光ではヒビが入る場合もあるそうですが、気にしません。水で薄めた紙粘土で修復すればいいんです。

型をビニールラップで覆います。口など凹凸部もビシッと密着するよう包むのがポイント。

型の上からちぎった和紙を刷毛で濡らしながら貼り付け、その上から補強の役割で新聞紙を貼り重ねます。そして乾燥。この作業は夜になってしまったのでドライヤーでよく乾かしました。初回のミスを学習し、紙がカチカチになるくらいまで熱風を当てます。

さらに和紙を10層ほど貼り重ねました。層が厚いほど丈夫になるので、ここは焦らず根気よくたっぷりと。

またまた充分と乾かしたら、型からお面を外します。左が型なのですが、なんか眼と口のかたちと深さが違う。ビニールラップを密着してないと、こうなっちゃうんです。うーむ、きれいに剥離できたからまぁ良しとしよう。

二度目はお面を立体的に成形成功。やったー! 完成目前の高揚感でワクワクしつつ、お面づくりの華といえる絵付けへ。オリジナルの画像を確かめ、確かめ、アクリル絵の具で表情を描いていくのは楽しいけれど緊張。

じゃーん、出来上がりました。早速、居間北壁の虎コーナーにディスプレイ。

オリジナルに似せようと奮闘したものの、まるで別物の顔に。なんていうか稚拙さが前に出ちゃっている。

何が違うんだろうと、オリジナル画像のディテールを観察し直して、口まわりのかたちを変更し、おでこの盛りを増したり。この修正作業を通じてオリジナルの造形がいかに虎の特徴を良く捉えているのかに気づかされました。メキシコのフォークアートっぽいポップでユニークな絵付けに眼が眩まされますが。

これが型で修正したバージョン。ほんの少しオリジナルに近づけましたが、まだまだ差が大きい。それは宮本夆一さんのてらいのない純朴、素朴で無意識な筆使いと、それを真似ようと意識し過ぎた自分の拙い筆運びの違い。どうしたらこんな線を自然体で描けるんだろうって途方に暮れました。それは繰り返し繰り返し絵付けを重ねた夆一さんの熟練が成せる技なんでしょう。

とうていそっくり写すことなんてぼくには無理。あっさり諦めて現実を受け入れ満ち足ります。北壁の失敗作と向き合うように、居間でいちばん眼がいく場に飾り、日々眺めながら自分の至らなさを想い重ねていくとしましょう。

#張子DIY
#常石張子

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