#9ニューヨークシティマラソンゴールへ!
練習では30キロまでしか走っていない。
ここからは久しぶりの未知の世界。
ランナー仲間からのアドバイス通り、持参してきたカフェイン入りのスポーツジェルを飲む。
カフェインにうまく働いてもらって、「自分はまだまだ元気!」と思い込ませる作戦。
そろそろマンハッタンに別れを告げるべく、4番目の橋になる
“Willis Avenue Bridge“を渡る。
目の前に広がるのは、ブロンクス地区。
段々と日が傾いてきた。
夕方といえば、一日のうちで一番エネルギーが枯渇している時間。
そんな時間帯に、きれいな夕陽を眺めながら、ブロンクスの街並みをスロージョギングしている。
なんという巡り合わせだろう。
この時間にこの場所を走っていることが、今まで想像できただろうか。
これは現実なのか、まぼろしなのか。
これからも生きていく中で、思いもしなかったような場所に身を置く事があるだろうし、普段は見られないような出来事に遭遇する事もきっとあると思う。
それと同時に、毎日の何という事もない日常が、実はとても有難いものだと身に染みる。
何はともあれ、フルマラソンに挑戦したいと思えるくらいは身体が丈夫で、海外マラソンに参加するために、様々な準備を後押ししてもらえる環境に自分がいる事に、感謝の気持ちが溢れてくる。
さあ、そろそろ最後の5番目の橋Madison Avenue Bridge(マディソン・アヴェニュー・ブリッジ)を渡り、マンハッタンに戻る時間。
真っ暗にならないうちにゴールを目指したい。
応援してくれるのは、当日だけではない。
出発前までにも、気にかけて声をかけてくれる人たちがたくさんいて、心の底から嬉しかった。
走り終わった後に使うように、効き目のある湿布をくれた方。
今まで知らなかった、文明堂のVカステラをくれた方。(とても美味しくて、走る前から食べてしまった!)
そして、「6大マラソンを制覇したい!」という私の戯言にお付き合いくださり、完走するたびにstar☆のシールを貼っていけるように、手作りの台紙をくださった方。
感動で涙が滲んだ。そして、何だか背筋がシャーンと伸びて、制覇するために困難なことがあっても、言い訳はしないぞ~!と気合を入れなおす。
バナナが置いてある給水所にたどり着き、ようやく固形物を口にする。
そして、ひたすら走る。
走っている間、こうしていられるのは、みんなの協力、そして自分の今までの積み重ねだと感じて、こみあげてくるものがある。
そして自然に足が前へと前へと動く。
少しずつでも前に進む。自分のペースをくずさない。
そんな姿を見てくれている周りの人と自分とが、一体感を醸し出している!
ついに40キロまで来た!
今まで必ず立ち寄っていた給水所は、もうここからはスルー。
あとはラストスパート!
足がどうなっても良い!(良くはないけれど、そういう気持ち)
最後は、“Don't stop me now” by Queen を聴いて、駆け抜けるつもり。
スマホを取り出すと、何と!そこにいたバンドが、この曲を演奏し始めた。
良く分かってるなぁ~!もう!!
エネルギーが、かき集められた状態。
ぐんぐん進み、5:30のぺーサーを追い越す。
前にいるランナーたちを、ことごとく追い越す。
最後の直線距離を、ただただ、ひたすらダッシュ!
そしてFinish lineが目に飛び込んできて、ゴール!!!
やった~!!!
ネットタイムは、5時間27分15秒。
6時間を切れて、本当に本当に良かった!
今後の最難関、ボストンマラソンのことを考えると、6時間以内で走る事が出来れば、出走権付のツアーに申し込める。
このNYCマラソンが、世界6大マラソン制覇の最初の1歩になった事に、
心の底から安堵!!!
ふらふらと歩きながら、メダルを首からかけてもらう。
金色でピカピカしていて、結構重い!
そして、身体が冷えてしまわないようにポンチョをもらえる。
手渡してくださる女性が、「着せてあげるわね」と、よろよろの私に着せてくれて、マジックテープなども留めてくれた。
優しい~(涙)
ランチも食べないで、口にしたのは、水とスポーツドリンク、スポーツジェル、バナナ、持参したカステラのみ。
フルマラソンは、プチ断食に他ならない♪
リカバリーバックをもらえるので、全て食べ尽くす。
温かいお風呂に入り、いただいた湿布を、足の全て覆いつくすように張りまくる。
翌日、意外なほど、筋肉痛が感じられなかった。
まだ、脳が興奮気味なのか?!
そして、ほどなく “Abbott World Marathon Majors” からメールが来た。
“Congratulations ,You've earned a new star!”
(おめでとうございます。新しい☆を獲得しました)
“1 down, 5 to go”
(1つ完了、あと5つです)
きちんと反映されていたようで、またまた安堵の気持ち。(続く)
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