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『戦慄怪奇ワールド コワすぎ!』は集大成であり新次元

9月9日の残暑厳しい昼下がり。 私は自宅より電車で片道1時間強かかる大型ショッピングモール内のシネコンへと足を運んだ。 根がインドア派の私は遠出をあまり好まないものの、こと映画に限っては時間も交通費も惜しまない。 況してやそれが約5年間待っていたコワすぎ!シリーズの最新作なのだから北の果てでも南の果てでも向かっていただろう。 今回の『戦慄怪奇ワールドコワすぎ!』は続き物でありながらも色々な理由で本作のみでも楽しめる、その世界を知れる作りにはなっている作品なのだが、その前にコ

    • 『ファルコン•レイク』から見出す青春の毒と蜜

      夏という季節と青春は強く結ばれている。 照りつける太陽、光を反射して輝く水辺、シャワーのような木漏れ日が差す森、そしていつもより寂しげな夕闇。 夏を象徴する言葉からは細部は違えども皆似たような景色を浮かべているんじゃないだろうか。そしてその景色にいる貴方は今より幼い姿ではないだろうか。 『ファルコン•レイク』はいわば私たちの心の奥底にしまわれた夏の原風景を鮮やかかつ残酷にリペイントしたような映画だ。 ある夏、13歳の少年バスティアンは一家でカナダの避暑地を訪れる。そこで待っ

      • 第一回邦キチー1グランプリ『ジョーカー・ゲーム』

         (クラスの女子がSPY×FAMILYの話で盛り上がっている姿を横目で見る部長)  (部室へ向かう途中でも男子生徒達が同じくSPY×FAMILYの話で盛り上がっているのを見かける)  部長「すごい人気だな……あのアニメ」  邦キチ「何のアニメの話でございますか?」  部長「何って……あれだよ、今度映画化もされる……素性を隠して一般生活をしながらスパイ活動する」  邦キチ「えっ!あのアニメの映画が公開するのですか?」  部長「邦キチも流石に知ってたか。何でも劇場版は原作にはな

        • ロリスの私的映画レビュー『バイオレント•ナイト』

          私はかなりのインドア派だ。 何を急にと思われるだろうがまあ聞いてほしい。 正確には外には出るインドア派、とでもいうのだろうか。外に出かけること自体は嫌いじゃないのだが、その行き先は水族館だとか映画館だとかの屋内娯楽施設ばかりだ。海水浴だとか登山だとかはもう何年行ってないことだかわからない。 そんなだからいわゆるレジャー施設と呼ばれる場所の知識もまるでない。私の中のディズニーランドの最新アトラクションは未だにタワー・オブ・テラーだ。(今調べたらタワー・オブ・テラーはランドじゃな

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          9本

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          ロリスの私的映画レビュー『きさらぎ駅』編

          例の如くふと思い出したように、忘れてませんよと取り繕うようにはじめる映画レビュー。 本日は6月3日公開の『きさらぎ駅』のお話。 きさらぎ駅の名前を聞いた読者諸兄姉の中には、やれやれと溜め息をつく方達も多いのではないだろうか。 原典(というのが正しいかはわからないが)は大手ネット掲示板の2ちゃんねる(現5ちゃんねる)内のオカルト板に投稿された都市伝説。 ある女性が乗っている電車がまるで駅に停らないことを不審に思い、掲示板へ書き込み助言を求める。(女性はオカルト板住人の勧めもあ

          ロリスの私的映画レビュー『きさらぎ駅』編

          2021年 これは良かった! 映画3選

          さて、2021年ももうすぐ終わりですね。 となれば、今年も2021年に私が観た映画の中でこれは良かった!と思ったものを備忘録がてら挙げていかなきゃ終われない、終われないとも。 例のごとく自身のエモーションに完全服従したチョイス3選なので石は投げないでほしい。 リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様 まず紹介したいのがこの大人気テニス漫画『テニスの王子様』の完全新作3DCGアニメ。 テニスの王子様って何ぞや?という方に簡単に説明すると、

          2021年 これは良かった! 映画3選

          ロリスの今観返したい映画レビュー『ファウンド』編

          何事も無かったかのように再開する映画レビュー。 今回の作品は『ファウンド』。 私自身が観たのはつい先日のことなのだが、観終わってすぐに「もう1回観たい!」と思ってすぐさま2周目に入ったくらいには気に入った作品なので熱量が残っているうちに感想を書き記しておこうと思う。 さて、レビューに入る前に本作がどのような刺さり方をするのかをあらすじと一緒に先に述べておこうと思う。 主人公は12歳の少年マーティ。 ホラー映画鑑賞が好きないじめられっ子の彼は家族の秘密を覗くのが趣味。 母の秘

          ロリスの今観返したい映画レビュー『ファウンド』編

          ロリスの今観返したい映画レビュー『ジョーカー・ゲーム』編

          日本の実写映画は駄作、という風潮はまだまだ根強い。 気持ちはわかる。 残念ながら原作の媒体が何であろうとも、原作の強みを残した実写映像化は決して多いとは言えない。 それでも日本人はどういうわけか実写映画が好きなのだ。 http://www.eiren.org/toukei/index.html こちらは日本映画製作者連盟が出している2020年の興行収入10億越えの作品ランキングなのだが、見て頂きたい。 1位の鬼滅の刃の圧倒的なパワーに目がいくが視線をグッと下げてもらい、続く

          ロリスの今観返したい映画レビュー『ジョーカー・ゲーム』編

          ロリスの今観返したい映画レビュー『ハイテンション』編

          前回『ヒルズ・ハブ・アイズ』の記事を投稿した時に触れた『ハイテンション』なる映画。 私はこちらも大好きな作品で、先日改めて視聴したのだがやはり面白い。 そういうわけで2連続でアレクサンドル・アジャ監督作品の紹介をさせていただく。 『ハイテンション』 簡単なあらすじ紹介。 主人公はマリーという名前の女学生。 試験勉強のために友人のアレックスの家族が住む田舎へとやってきた。 アレックスの家族とも挨拶を交わし、明日から勉強するぞ!と決意し床についた深夜。 つなぎを着た謎の男が家

          ロリスの今観返したい映画レビュー『ハイテンション』編

          ロリスの今観返したい映画レビュー『ヒルズ・ハブ・アイズ』編

          映像作品業界にはリメイク・リブートブームの波が来ていると感じる。 私が知る限りでもここ数年で映画はもちろん日本のアニメ、ドラマ作品なんかでも相当な数のリメイク・リブートが行われている。 当時のキャストを再結集して撮られた何十年越しの続編だとか、とっくに連載が終わった漫画のアニメ化だとか。 思い入れの強い作品の続きが時を経て現代に蘇るのにはどうしても期待してしまうが、その期待と同じくらい不安も感じてしまうのがファン心理だろう。 その作品への思い入れが強ければ強いほどリメイク・リ

          ロリスの今観返したい映画レビュー『ヒルズ・ハブ・アイズ』編

          ロリスの今観返したい映画レビュー『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』編

          「終活」という言葉が世間に浸透してから随分と経つように思える。 調べてみると2010年の新語・流行語大賞にノミネートされているとのことなので、私がこの言葉を知ったのも恐らくこの辺りだろう。 一般的には高齢者が急死を迎えた時に備えて残された家族への要求等をまとめておく、というイメージが強いものの……果たしてそうだろうか。 老いも若きも関係なく理想の生き方について夢想する方は少なくない。 その時にそれと対になる理想の死に方がよぎらないという方は中々いないのではないだろうか。 生と

          ロリスの今観返したい映画レビュー『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』編

          ロリスの今観返したい映画レビュー『戦慄怪奇ファイルコワすぎ!史上最恐の劇場版』編

          2020年のオススメ映画まとめを投稿した勢いをそのままに続けて筆を執る。 前回は1年間で観た作品のレビューであるため、あれもこれもと詰め込んで4作品ほど紹介させてもらった。 今後は私自身のオールタイムベストがてら今まで鑑賞した作品の中で特に気に入っているもの1作品に焦点を当てて紹介していこうと思う。 そんな風にコンスタントに映画を紹介しながら書き続け、2021年にも前回と同じように1年の総決算のようなレビューが出来たらいいなという心持ちでまずはこちらを紹介したい。 『戦慄怪

          ロリスの今観返したい映画レビュー『戦慄怪奇ファイルコワすぎ!史上最恐の劇場版』編

          2020年 これは良かった!映画4選

          タイトル通り! 私自身の2020年の振り返りも兼ねて今年観た映画の中で特に良かった、楽しめたという映画を4本ほど紹介しておく。 選出基準は2020年に公開あるいは配信された映画であることの1点のみ。 細かいことは抜きにして私個人のエモーションが楽しい!面白い!と感じたチョイスなので石は投げないでほしい。 へヴィ・トリップ 俺たち崖っぷち北欧メタル! フィンランド北部、何もない田舎の村。退屈な日々を送る25歳のトゥロは、“終末シンフォニック・トナカイ粉砕・反キリスト・戦争推

          2020年 これは良かった!映画4選

          『十三機兵防衛圏』のネタバレ込みの感想

          先日投稿したこちらの記事にも書いたのだがそもそも私はネタバレ込みの『十三機兵防衛圏』の話がしたくてnoteに登録したのだ。それをせずしてどうする、というわけで今回はネタバレ込のただ私個人の心の丈をぶつけただけの駄文を綴っていく。 ※以下、ネタバレ クリア直後の感想 良かった……みんな幸せなようで良かった……。 そりゃもちろん「せっかくテラフォーミング成功したのにエンディングでまた仮想世界かい!」とか「これがありなら最後の戦いって何だったの……」と思わないわけじゃない。

          『十三機兵防衛圏』のネタバレ込みの感想

          『十三機兵防衛圏』を布教したいだけ

          もう発売から4か月以上経ってるのに今さら『十三機兵防衛圏』の話なんて……とは思うのですが、どうしても書きたくなってしまったので書きました。 十三機兵防衛圏はこんなゲーム「隕石に似た大型の未確認物体」と形容された怪獣に街が壊され、逃げ惑う人々。 その人の流れに逆らって1人の少年が街を行く。 行き着いた先の交差点では1人の少女が艶のある所作でロボットを呼び出し、乗り込む姿を目撃する。 一部始終を見届けた少年はポツリと呟くのだった。 「本当に…始まったのか」 もはや古典

          『十三機兵防衛圏』を布教したいだけ