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RISEのプロデビューまでたどり着いたおじさんのお話

RISEナンバーの試合
超満員の聖地、後楽園ホールで
46歳のオヤジが立たせてもらった。

RISEプロデビュー戦で気合が入っていたものの
試合結果は残念ながら2R KO負けだった。

ただのおじさんが、プロのリングに上がれただけで
烏滸がましくて、ちょーありがたい話なのに 
生意気な俺は心底、悔しくて悔しくて 
ここ数日、まともに眠れやしない。


・・・実はこの後楽園に立ったのは初めてのことじゃないんだ。


俺が大学生3年生の秋に一度立ったことがある。

今回はそんな話を書くことにする。


苦学生として過ごした大学生活

俺が入学して間もないころに
バブル経済が弾けた影響で父が経営していた会社がつぶれた。
そして父が会社をつぶしたことを母からこっそり聞かされた。

そこで俺はなぜか強がって学費も生活費も
自分でやると啖呵を切ってしまった。

本当は、全寮制男子高出身だったから
女子と絡めるサークル活動とか部活がしたかった。
そんな甘酸っぱい青春にあこがれて大学に来たはずなのに
気が付けば ただの苦学生となってしまった。

アルバイト三昧生活が始まった。
学費も生活費も稼ぐとなると、もはや大学にいる時間よりも
バイト先にいる時間のほうが長いフリーターのような生活をしていた。

チェーン居酒屋のバイトもやり過ぎて、気が付いたらバイトリーダーになっていたし、気が付いたら神奈川エリアで時給が高い3番手に入っていた。

俺は苦学生がしたいんじゃなーーーい!!
青春がしたいだぁぁ!!


ようやく見つけた青春

こんな思いを秘め続けたある日、
バイト仲間がキックボクシングを一緒に始めないか?って誘ってくれた。

お!青春が出来るじゃん!
うれしかった俺は、二つ返事でキックボクシングジムに入会した。

女子はほとんどいなかったものの、友人たちと切磋琢磨して
汗をかいてやるキックはそれはそれで楽しかった。

どんどん昇級テストをクリアしていくうちに、気が付いたら
プロライセンスを手に入れていて後楽園ホールに俺は出ることになった。

当時K-1ヘビー級ブームの全盛期とはいえ、格闘技はまだまだ見るスポーツでやるスポーツではなかった。だから競技人口は極めて少なくて多少運動神経があって練習さえすれば、プロライセンスは誰でも取れた。

実際に俺はプロライセンスを取るまでに、練習試合1試合しか
してないうえに、しかも負けてる始末💦
俺がおじさんになってから今まで12試合をしていることを考えると
随分とお粗末なプロ誕生話なわけだよ。

そんなヨワヨワの俺は、プロデビュー戦を前にヒヨってしまったんだよね。
お恥ずかしい話、プロのリングが怖すぎて
試合の一か月前からまともに練習へ行けなくなって
当日を迎えてしまったんだ。


当然結果は負けだ。

実は俺はこの一戦でキックを辞めてしまったんだ。

負傷でバイトに行けなくなることや、就職活動が始まるからと 
もっともらしい理由をつけて、
唯一 俺の青春だったものをいとも簡単にやめてしまったんだ。

つまり、逃げたんだ・・・。


逃げた自分と向き合う時が来た


社会人になって、仕事をしているうちに
俺はいつしか、この逃げた自分を
20年ほど心の底にしまい込んだままにしていた。
もはや覚えてもいないほどにね。

おじさんになって数年前にキックを再開した。
きっかけは友人からの誘いだ。

酒ばっかり飲んでだらしなくなった体を少しでも鍛え直せればいい、そんな目的だった。別にキックである必要はなかったが友人がキックを選んだ。
何となく再開しただけだから、もちろん、練習試合にも出るつもりもなければ、当然プロのリングに上がる目標なんてあるわけじゃない。

でも、やってるうちにあの逃げた自分を取り戻したくなった。

俺が逃げたことなんて、もはや誰も覚えちゃいないだろうけど
心の深い底にしまって無かったことにしていたけど、
確実に、俺だけはあの逃げた自分を覚えていた。

逃げた自分とは向き合わなければいけない時が来たんだ。

それから25年が経って、
俺は再び、この後楽園ホールに立つことが出来た。









そして また 負けた。。




この挑戦による負けで何を失い何を得たのか?


今まで戦ってくれたRISE VOAのおじさんたちを
俺は勝手に代表して負けてしまった。
この結果は俺がまだまだ弱いって言うことを証明した。

所詮はおじさんが上がるリングじゃない。
レベルが低い。



俺への評価を失った。



それでも
25年前の青春から逃げた自分を取り戻せた。
そこと向き合うことが出来た。

更に、めいいっぱいの悔しさと新たな挑戦目標を得た。


もっとも得られたのは
鍛えてくれた、トレーナーや選手たち、ジム関係者
リングに立たせてくれたRISEさん
理解を示してくれた社員
サポートしてくれた家族
応援してくれた友人たち

愛情をこれでもかと感じさせてくれた。

応援に駆け付けてくれた社員と家族
試合後のFacebook投稿のコメント欄

俺がこの負けで失ったモノ(俺の評価)のちっぽけさ
なんてどうでもいいぐらい得たもののほうがはるかに大きい。

そう実感した。


挑戦させてくれて、ほんとに皆さんありがとぉぉぉ~!!
控えめに言って最高だぜ!!


俺はまだまだやるよ!!
また 応援してね~


追伸:
今回、思いが強すぎて
久しぶりに下ネタが一つもない文章になってしまった。。。

このRISE179 に出て、前日計量、記者会見、本番前の控室などで、若い選手たちと触れ合って思ったけど、みんな強くて素直な良い子たちばかりでした。日ごろ痛みやケガが伴う競技なだけに、人の痛みが分かる子たちなんだろうね~

そんな親目線でつい見ながら、いつも練習に付き合ってくれた
試合前の松本天志選手に、興奮のあまり、まかり間違って
「〇いし!!頑張れ!!」って言ってしまった。 
ごめんなさい。。。