創業エントリ/SlidePlusを創業しました
こんにちは。SlidePlus株式会社Founder/CEO、宮城 新(Shin Miyagi)と申します。初めてのnote投稿です。
2024年2月末で8年2ヶ月勤めたSansan株式会社を退職し、SlidePlus株式会社を設立しました。退職報告はFacebook・Xに投稿し、お客様をはじめSansanで一緒に過ごした仲間、上司、Globis同期から多くのコメントを頂戴しました。
初めての方にも読みやすいよう、「起業」を人生の選択肢の一つとして取り入れた私が「何者なのか」を創業エントリでは記したいと思います。
経歴
2009年に大学を卒業した私は、2016年にシリーズC調達直後のSansan株式会社に入社しました。Sansanでは、セールスとしてSMB(中小企業)領域からキャリアをスタートさせ、その後約6年間エンタープライズ(大手企業)領域に従事し、約5年間領域の責任者を務めます。
当時は「働き方改革」という言葉が流行っている時代で、追い風に乗るように「名刺管理サービスSansan」は大手企業に次々と導入されていきます。その後「請求書受領サービス:Bill One」がローンチされると、Sansanのお客様へ勧め、電帳法改正の後押しもあり、Bill Oneもエンタープライズ企業に導入いただきました。
エンタープライズセールスの醍醐味は2つあります。
①誰もが聞いたことのある日本を代表する企業に旗を立てることができる
②自らの提案により、高単価案件を創出できる
2019年、Sansanは当時のマザーズ市場(現:グロース市場)にユニコーン企業(時価総額1,000億円以上)として上場を果たしました。ユニコーン企業のシリーズC〜IPO間にエンタープライズセールスとして向き合った経験は、何ものにも代えがたいキャリアを形成してくれました。
その後、エンタープライズ領域のインサイドセールス東日本のマネジメントとして、企業データを活用した未開拓マーケットへの戦略立案と執行、若手メンバーのトレーニングプログラムの開発に携わらせていただきました。
退職する約1年前、代表の寺田へ起業する旨と当時のビジネスプランを壁打ちさせてもらい、相談の上Sansanのビジネス開発室(Bizdev)へ異動します。当時2年でARR(年間経常収益)37億円を達成した「Bill One」の新規ソリューションの企画開発、投資案件のデュー・デリジェンスに関わらせていただき、セールスのみならず、俯瞰的に事業を達観しつつ足元では毎日小さな仮説・検証を進めていく経験を積ませてもらいました。
他方、2020年10月から通学していたグロービス経営大学院を2024年に卒業し、MBAを取得。オンライン・オフライン合わせて1,000名を超える同期にも恵まれ、会社外の世界で経営に必要な知識・スキルを切磋琢磨できる環境で学んできました。
毎日コツコツと努力を積み重ねてきた日々だったと思います。これが私の経歴です。
何者なのか
Sansan・Globisの卒業後、「起業」のキャリアを選択した私でしたが、自問自答したのは「私は何者であるのか」という問いでした。
ここからは少し振り返りを...
Sansanのキャリアを通して見てきた景色は、「あの企業様でも導入いただいています」と水戸黄門の印籠を翳すかのごとく話すと、オセロの角を取ったように大手企業へ導入が決まっていく世界でした。入社当時は、「名刺管理から営業を強くする?」と商談では言われ、展示会では「個人情報売ってんだろ?」と揶揄されたSansanが、次々と導入されていく世界は、会社全体で「世界を変えよう」と唱えていたことを少しずつ実感させてくれる体験となります。
そんな私にとっての「世界を変える」は、将来娘たちが大人になった時、名刺交換が「Sansanしましょう」と動詞になっていることでした。
Googleは「ググる」。Uberは「ウーバーする」。 著名なITサービスは動詞です。
普通に考えると「BtoBで?」は百も承知なのですが、Sansanは各々の理想に向かって真剣に働ける環境でしたし、採用面接で盛んに候補者の方へ伝えていました。
余談ですが、後から聞くと、入社メンバーの決め手は「経営→役員→現場責任者」の3者が同じように「世界を変える」と言っていたからだと。よく耳にしていました。
Globisでは3年半お世話になりました。Globisには学長:堀さんが提唱する「創造と変革の志士」という言葉があります。
この言葉に惹かれてか、Globisでは「創造」系の科目を主軸に、その周囲をファイナンス、カスタマージャーニー、デザイン思考で固め、経営に必要な知識を蓄えてきました。
ビジネスは再現性だと言います。Globisでの学びを深めていくにつれ
「Sansanに"再現性"はあるのか?あるとしたらどんな要素なのか?」
「Globisの学びをどのようにアウトプットすれば社会に価値提供できるのか?」
この2つの問いを解く方法を探すように成りました。
そう、この問いを解くベストな方法が起業でした。
そして”私”だから解決できる社会課題はなにかを探すようになりました。
SlidePlusについて
起業家として"社会課題"を考えた時、私が注視したのはセールス領域です。日本のBtoBセールスは先進国の中でも、生産性が著しく低いことが特徴です。
why is japan sales productivity so low japanese.pdf (mckinsey.com)
本来セールス職は尊い仕事だと考えています。
なぜなら、毎日、薄皮を重ねるかのごとく「商談・メール・電話」を繰り返し、顧客/社内関係者を巻き込み、オーケストラの指揮者のように全体をコントロールし案件をまとめ上げていく。大型案件の申込み日の直前1ヶ月間はアドレナリンが出て眠れもしない程、センシティブなコミュニケーションと交渉が続く日々。毎日の地道な努力と人間性が半期末・期末に咲き誇れるかが試される職業だからです。
受注が決まった瞬間は高揚感が高まる瞬間で、まるでスタジアムの歓声に包まれるかのように感じます。
その尊いと(私は)感じるセールス職ですが、残念ながらテクノロジーが進んだ今でも、上述の通り"生産性が低い"と言われています。
"生産性が低い"とは、インプット(投下した労力・時間)に対するアウトプット(成果)を上げられていないことを示します。
これらを裏付ける原体験は私がエンタープライズセールスでマネジメントしていた頃にもありました。
ほとんどの真面目なセールス担当者はオフライン・オンラインのハイブリッド環境で商談を実施し、商談の合間には緊急性が高い案件の処理や簡単な資料送付を行っています。30分単位で打ち合わせが入るのも珍しくなく、比較的落ち着いた夕方以降に日程調整や重要なメールの返信、提案資料作成・顧客追客を実施しています。
しかし、心の声は
「明日提案が3件あって資料作らなきゃ...」
「相談したいのに上司帰っちゃってるよ...」
「誰か似たような資料作ってたりしない?」
「あ、お客さんの追客もしなきゃ...ちゃんと検討してくれてるのかな」
属人化された提案準備・追客を放り出すことはできず、長時間労働という手段で図ってしまう構図。
これが”生産性が低い”原因だと考えます。
そしてユーザーインタビューを突き詰めていくと、セールス職に蔓延る特有の固定観念がありました。
代表的例としては
「顧客ファーストでなければならない」
「メールは即レスでなければならない」
このような固定観念が先行した環境に、セールス担当者は身をおいています。
長時間労働という問題は、セールス担当者が心に蓋をしてしまい、眼の前の仕事に没頭してしまう事に本質的な課題でがあると考えます。
そこで私たちは提案準備による忙しさからいつしか自分の心を亡くし、必要なことに時間を作れるようセールス担当者をサポートするプロダクトとして「SlidePlus」を考案しました。
ミッションは「心躍る瞬間を届ける」です。
画一的な労働環境をリニューアルすることで、個人は創造力を発揮し、企業は競争力を増すでしょう。そのために私たちは「営業の働き方を"スマート"に」する仕組みを広め、自分の心と向き合う時間を提供します。
これまでの営業DXは「どの企業の誰が」顧客となり得るのかをメインに提供し、管理するSFA/CRMが先行してきました。私たちは事業数値を作っていくセールス担当者の”心”にフォーカスしたDXサービスを提供します。顧客管理・案件管理でもない、「提案管理サービス」としてSlidePlusは創業します。
最後に
このnoteではセールス担当者が輝くためのコンテンツを発信していく予定です。まずは私の経験でもあ「エンタープライズセールス」×「MBAスキル」でセールスを論じてみたいと思います。1契約でARR6,000万〜1億円まで獲得した経験から「価値」を提供するセールスノウハウを記していくつもりです。
もし興味があれば、引き続き覗いてみてください。
長文となりましたが、ここまでお読みいただき、ありがとうございました。