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カクヨムコン8参加レポ 読者選考突破ありがとう&これからも頑張るぞ

カクヨムコン8の結果が本日発表された。

拙作『婚約破棄から始まる転生悪役令嬢の宗教改革』は読者選考を突破したものの、残念ながら編集部のお眼鏡には適わず、落選となった。

受賞の有無を問わず同じ賞レースに挑戦した書き手の皆さん、作品を楽しんでくれた読者の皆さん、そして編集部や関係各所でお仕事としてカクヨムコンに携わった皆さん、お疲れ様でした。

この記事ではカクヨムコン8を通して私が何を感じていたか、何をしていたか改めて振り返ってみようと思う。

総括 あざとさは薄いメッキのようで

私としてはもちろん受賞を目指していたし、タイトル付けやエッセンスもかなりあざとかった自覚がある。

今回の作品で題材にしたのはイギリス宗教改革だ。宗教改革の主たる要因だったヘンリ8世の妻キャサリンの人生をオマージュし、強く自立した女性として悪役令嬢の文脈で描いたファンタジー。

面白くなるという確信があった。宗教改革はドラマ性に満ちているが日本のフィクションではあまり扱われていない。新奇性とドラマ性の両立は十分、あとはエンタメとして仕立て上げる腕次第だった。

ただ、戦記や伝奇の性質が強くなる都合上、どうしても消費カロリーの重い作品になってしまう。政争を描かずに宗教改革を描くのは無理だ。

Web小説の魅力のひとつは手軽さだと私は考えていて、本作の重さはプラットフォームそのものと相性が悪い。

なんとか細かな部分で読みやすさを補えないかと工夫した。悪あがきと言ってもいいかもしれない。

タイトルやタグをキャッチーにし、キャラクター小説らしさを強調した。面白い戦記というやつはキャラクターの魅力だけで読んでいても不思議と読めるものだと思うし、本作もそうできればと思った。

本作のヒロイン「オレリア・アルノワ」は異世界転生の要素を取り入れつつ、単なる転生者ではないことを匂わせている。キャラクターを気に入って続きが読みたいと思えるような設計に挑戦した。

しかし、そういったあざとさのメッキは万全な状態で覆いきれてはじめて面白いものになる。半端に剥がれたメッキほど見苦しいものはない。

今回はなるべくしてなった落選だと受け止めている。序盤の駆け足感がキャラクターの魅力を損ね、没入感を薄めさせてしまった。情けない話だ。いずれ丁寧に加筆したものを完結させて、改めて本にしたいと思う。

学んだこと① 連載という難しさ

私は普段公募をメインにしている。体調にも生活にも波があるし、そのコントロールができない以上連載にも影響してしまうからだ。長期の定期連載というのはあまり得意ではない。

今回は体調の波だけではなく、親族が通り魔被害にあったこともあってかなり自分のコントロールが難しかった。これは言い訳だと笑われるかもしれないな……。

調子のいいタイミングで一気に仕上げるスタイルを取っている私にとって、「話数」という未知の分割方式を前提としたマラソンはかなり辛かった。

連載形式の作品ではある程度同じ文量がコンスタントに供給されることを期待されている。週刊マンガ雑誌に近い。最初から単行本を前提とした尺の使い方ができないというのが意外と足かせになった。

慣れていないプラットフォーム、慣れていないフォーマット。不慣ればかり、不調ばかりの環境で初めての挑戦としては結果を残せたほうなのかもしれない。

学んだこと② 読者に門戸を開け

連載期間中、文字形式での応援コメントやレビューをほとんどいただかなかったのが最大のプレッシャーだった。

読まれていないわけではなく、レビュー評価も応援のハートも増えていく。それにもかかわらずコメントが送られてこない。これはかなり怖い。読者が何を楽しんでいるのかわからないからだ。

連載形式に不慣れなことも合わさって、「何を評価されているのか」への怯えが私の中に生じてしまった。

おそらくこれは作品に「言及しづらさ」があったのではないかと思っている。応援コメントもレビューも公開される形でコメントを残す必要があるわけで、一時的に読者が「参加」することになるわけだ。

私自身を読者と仮定して読みなおした時、「作者はここを面白いと言われて嬉しいのか」という躊躇いが生じるのがわかった。半端にメッキがかかっているせいで売りがわからない。褒めていいのかどうか。

コメントどうこうに関わらず、「何が売りなのか」をはっきりさせられなかったのは私の落ち度だ。面白いと思わせたいものを読者に叩きつけられなかった私の負け。

学んだこと③ 省カロリーにいきたい

これは書き手である私自身もそうだが、重たいものを娯楽として消化するのには相応の余力がいる。書くのも疲れるし、読むのも疲れる。

エンタメ作品は読み手がいて初めて成立する。私は自分のエゴで作品を書くが、それはそれとして書くものをエンタメに昇華させるための努力を惜しまない、つもりだ。

その点、今回は努力で補えるほど軽い題材ではなかった。少なくともライトノベルレーベルで出せるクオリティのエンタメまで持っていくには割いた労力では不足していた。

次の挑戦ではもっとカジュアルに楽しめる、しかし私らしい題材に挑戦するつもりだ。今回の挑戦で見えたものがあって、Webで書きたい題材がどんどん湧いてきている。

次も頑張るぞ!

今年中に1本は大きな公募に作品を投げるつもりだ。それが片付き次第、次回のカクヨムコンについて検討してみようと思う。

実を言うとプロットはもうある程度組み上がっている。ただ、今回の結果を受けて調整を入れなくてはならないなと感じた。いくらか草稿段階で下読みをしてもらうのも視野に入れたほうがいいかもしれない。

ずっと創作をやってきて、今は久しぶりにただ書いているのが楽しいという時期に入ってきた。楽しいから「頑張るぞ」と言える。いいことだ。

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睡沢夏生
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