退廃レディとジャックポット
カジノで今月の生活費を擦り仕方なくフロアの隅でタダ酒を煽っているとバニーに絡まれた。『お前は賭け事に向かんからはよ家業継げ』『私にはカジノの金庫を奪う策がある』だの仕事もサボりくだを巻いていたが、気を遣わないので酒の相手には悪くない女だった。だが次のバイトに行くと言い女は急に帰ってしまった。
そんな訳で俺はカジノを出てフラフラと大阪都で最低の歓楽街、違法合法の娼館が並び客引きに溢れる旧堂山町に来たのだった。金はまた親から借りるしかあるまい。
「おっさっきのボンクラ!」
妙に聞いた声に目を遣ると、先の女が看板を持ち今度は黒フリルのメイド服で立っていた。
「お前…次のバイトって」
「呼び込み。私には客付かんって」
お前と違って働いてんねん、と吐き捨て女は俺の腕を掴んだ。
「アンタが客になってくれる?サービスしたげる」
◇
「なぁ普通は部屋に直行するもんやぞ」
金を渡した後、俺達は何故かパチ屋に来ていた。
「焦らした方が興奮するやろ」
確かに煙草を咥え台に向うメイドの姿は唆るものがあった。
「おっレディやんか」
安スーツの男が嫌らしい笑顔を浮かべ近寄ってくる。
「仕事サボって玉遊びか?諦めてうちの店にきいや、世話したるで。それこそ体中…あん?」
男がレディの肩に触れるのを見た俺は気付くとその手を払い退けていた。
「チッ。安岡ァ!台に残っとる玉アンタにやるわ、借金から引いとき!」
レディは俺の袖を掴み逃げるように出口に向かう。安岡は動かず俺を睨んでいた。
「アイツに嫉妬?あかんで金で買った女にそんなん」
ちょっと可愛かったけどな、そう言いレディは笑った。
「ほなお楽しみと行こか」
◇
安宿に雪崩込みドアが閉まる間もなくレディの顔にしゃぶりついた。相手も俺を求め舌を絡ませる。そのままベッドに倒れ込み、抱き合い突き放しながら互いの服を剥いでレディの秘部に手を伸ばすとそこに
「!?」
しかし今の興奮を前に最早性別など些細な事だった。
(続く)
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