正体を隠すため仮称ハセガワで始めたアカウントですが小説の投稿や他のサイトへのリンクを纏めとこうと思います。名前は……バッティに戻そうかな。ややこしい真似をしてしまった。尚今後こちらのアカウントを使ってnote記事を投稿することはありません。 このアカウントで書いた逆噴射小説大賞2020参加作品のまとめ https://note.com/sleepingninja/n/n9e05d994d7e6 主に逆噴射小説大賞2018・2019に参加したnote https://no
800字の冒頭だけで勝負するパルプ小説の祭典【逆噴射小説大賞】、その2020年度のエントリー期間が終わりました。今年は4本の小説を無事投稿することが出来、予想以上にスキやコメントを頂いています。本当にありがとうございました。 さて記憶が新しいうちに投稿作4本の振り返りを残しておきたいと思います。基本的に自分用のメモ書きですが『この人は書く時にこんなこと考えてるんだなぁ』等ちょっとでも面白いと思ってもらえたら幸いです。 総合 逆噴射小説大賞は特殊な形式の賞なのでアプロー
「ヤス、見たかさっきの男」 「あー何か最近TVに出てる漫画家ッスよね。連れてた女、可愛かったけどまだ小さいッスよ、やっぱ漫画家ってロリコンなんスかね」 そんな話してるんじゃねぇよ、そう言い詰所のドアを開く。 「見廻り終わりま…って灰崎さん!お疲れ様です!」 「タカ、何も異常は無かったな?」 灰崎龍吾は壮年の偉丈夫で、今回のオークション会場の警備を任された敖竜会の実質的トップ、つまり俺のボスだ。現役の武闘派でもある。 「ハイ、流石にこの競売で悪さする奴はいないで
新卒で編集者となって上京し、初めて担当する大物作家が北白川先生だった。本格ミステリの旗手として、また社会派の文学人としても名を馳せる先生に初めてお会いする今日、僕は大変に緊張していた。 「講冬舎から参りました吉田と申します。先生が復帰されると聞き編集部一同大変喜んでおります」 「うむ…」 病に倒れ世間から離れて久しい先生が長編に挑むに当たって希望したのが我が講冬舎、それも若い編集者と一緒に…と言うことで僕に白羽の矢が立った。闘病生活以降先生に会うのは僕が初となる…
カジノで今月の生活費を擦り仕方なくフロアの隅でタダ酒を煽っているとバニーに絡まれた。『お前は賭け事に向かんからはよ家業継げ』『私にはカジノの金庫を奪う策がある』だの仕事もサボりくだを巻いていたが、気を遣わないので酒の相手には悪くない女だった。だが次のバイトに行くと言い女は急に帰ってしまった。 そんな訳で俺はカジノを出てフラフラと大阪都で最低の歓楽街、違法合法の娼館が並び客引きに溢れる旧堂山町に来たのだった。金はまた親から借りるしかあるまい。 「おっさっきのボンクラ!」
ゴードンはあまり酒を口にする方ではなかったが、時折仕事が上手く行かない時や何かをじっくり考える必要がある時には今のように書斎に籠もってウイスキーを飲むのだった。家族も心得たものでそんな時は部屋に近寄らない。 ◆ 昼、新聞社の仕事が休みで家族と憩う彼に来客があった。よれきった灰色の外套を着て現れたハロルドは、実際十数年来の友人の貌は酷く不健康そうで目が血走っており、その様に不安を覚えたゴードンは家の中に案内せず玄関先で話を聞くことにした。 「議員のロムニーに『ミダス