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「aさん」が「aちゃん」に変わるまで。

⚫︎はてなブログで書いた記事を移行したものです。
 2024年1月24日投稿


「aちゃんはどんな内容の話を読んでみたい?」と聞いてみたら

「私に会うと決めた理由」と返ってきた。

かわいい。知りたがりでかわいい。
(きっとそれを読みたいのはあなただけだよ…。)
と思ったけどここは私の備忘録としての役目があるので、恋人の希望に応えるという大義名分を掲げ思い出し書きをしようと思う。

冒頭に書いた「aちゃん」が自分に会いたいと思った理由を聞きたいと言ってきた(そうは言ってない)私の恋人です。かわいいね。


セクマイが恋人を作る手段は、セクマイ用のアプリかTwitter(セクマイの輪)を使うかに二分していると思う。それか2丁目に行って知り合うか。
たまに「恋人は元ストレートです」という猛者がいてびっくりする。ストレートの子を落とすなんて漫画の中だけの話だと思ってた。超人・スーパーアルティメットレズすぎる。
そんな人達にこそ、警察ばりに尋問してお話を聞いてみたい。(いつか聞かせてね、そこのお二人。)

私は叶わない恋に挑む技量も鋼の心も持ち合わせていないので、はなから恋愛対象は「女の子を好きな女の子」
同じく同性愛者であることが、わざわざ口に出して条件にあげることの無い第一条件だった。

その第一条件を満たすために作ったTwitterのアカウントで出会ったのが「aさん」。

#セクマイさんと繋がりたい
もはや親の顔より見た。通行手形みたいなもの。(見覚えのない人、さてはモグリだな?)
私もこのタグを使うことで、セクマイの輪を広げることができた。

aさんのTwitterには「歯並びでも見ていってください。」と書かれていたので
「歯並びのオタクなので、是非見て帰りたいです〜!」と送り私たちはフォロワー同士になった。

Twitterは一対一の会話が求められるアプリのように、「お名前は何ですか?」「お休みは何をしてますか?」とアキネイターのごとく質問を繰り返さなくても、相手の性格や暮らしが何気ないツイートから想像することができた。(深淵をのぞく時、深淵もまた…)

Twitterで見ていたaさんは、平日の朝に"今日履いてるスニーカー"のツイートをするか仕事終わりに"今日あったこと"を1〜2個ツイートし、休日は映画やアニメを見て過ごしていた。(え、監視しすぎじゃない?ストーカーだったのかな?取り調べ室行った方がいい??)

バリバリのコロナ禍、緊急事態宣言中だったこともあり大体の人がそのように過ごしていたかもしれない。

沢山のツイートが流れていくタイムラインの中で、目に留まりこの人のこと気になるな〜に変わっていった理由の一つが興味のある映画が似ている。だった。

私はハッピージャムジャムとは程遠く、ポップな映画を当たり前に享受できるほど明るい性格に育たなかった。映画にしろ小説にしろ陰鬱とした話が好きだった。暗ければ暗いほど肌に合ってた。「はい、よかったね。」というお涙頂戴結末もいらない。
(百合は別、女の子は明るく楽園のようなところでキャッキャしてて欲しい。そのまま閉じ込めてしまいたい。)

「重い映画がすき。」という私の呟きに
「私も胸糞映画大好きです!」とリプが来ていた。
その流れでどんな映画が好きかを話し、事実に基づいてる映画や邦画が好きという情報を知ることができた。
aさんは私よりさらに胸糞、グロ、スリラー系が好きだった。
(実はaさんに感化されて呟いたってことはここだけの秘密にするね。だって話してみたかったんだもん。)
この映画好きかもしれないです。と勧めてくれた時は光の速さでNetflixのマイリストに登録し週末に見た。
もちろん、もっと話してみたくて。

そんなある日、いつものように朝食を食べているとテレビから『空白』という映画の宣伝が流れてきた。これ面白そうだなと思っていたら
「最近は『空白』って映画が気になってます!」とaさんからリプが届いていた。


えっ?運命???
運命、感じていいかな??

(きみゆき/ももいろクローバーZ)


好きな映画の系統が似ていれば、同じ映画に興味を持つのは至極当然のこと。
それでも宣伝を見て、aさんも好きそうだなぁ…なんて考えたりしていたから何だかとても嬉しかった。

日増しにaさんのツイートを気にするようになっていた。私はもうaさんのファンだった。
aさんは時々何か物申したそうな呟きをした。(最悪じゃん)

これが会いたいなと思った二つ目の理由。
日々のツイートが面白かった。

ただ一つ感想を呟くというよりは捻りを入れ、ネタに昇華して呟いてるところが好きだった。
ユーモアのある人は魅力的に映る。
毎日何か呟いてるかな〜と見ていた。(深淵)
ブラックユーモア風味なので、面白いと思うかは人によると思う。私にはドツボだった。

ここで過去のツイートを引用したいところだけど、風評被害の可能性も考え断念した。

質問箱で性格の悪さについて聞かれてた時は笑った。

三つ目の理由は、着ている服がかわいい。だった。
たまに載せてくれる写真に写る服装がかわいかった。私自身ファッションに興味はなかったが、自分が着る服と見て可愛いと思うことは別だった。ときめくような、こんな女の子良いな〜と思う服装だった。
aさんはいつも好きなものを着て、好きなスニーカーを履き自分の気分を上げているように見えた。
こだわりを持っている人は強い、それだけで他と違って見えた。(今は全身ユニクロでよくない?ってよく言ってるけど、そんなところも好き。)

思いついた大きな理由はこの3つ。
だからと言って急に「はぁっ、会いたい♡」まで感情が乗るかというと、そうではない。そんなスピード型レズになれてたら私はもっとパワフルだった、きっとレインボーシートを敷いて道のど真ん中歩いてた。

好きなこと以外超出不精。
アイドルを追っかけてる時以外、足枷でもつけられてるんじゃないかと錯覚するぐらい足取りが重い。

それでも同じ映画を見たいと思ってることやおすすめしてくれた映画を見たりして、1週間に1回はリプをしていたと思う。
結局物を言うのは数、積み重ねだった。

いつだか私の好きなアニメをaさんが見ていたので
「私もそのアニメ好きです!そのアニメ見てるなんて、aさん推せます…。(一般人を推すな)」とリプを送った時
「このアニメ面白いですね〜!推してるのは私ですよ笑」と返ってきた。

沸いた。

嬉しくてスクショして保存までした。相手の常套句に踊らされているのは分かっていたが、別にそれでもよかった。元来オタ気質なので、推されるより推すことのほうが楽しい。

ちなみに私は会う2ヶ月前にリプで「aさんと会う前の日は髪の毛をショートにします〜。」と伝え、ガチでショートにして会いに行きました。
(それってもう好きじゃん!って思うじゃん?それはそうなんだけどもう少しお話しするね。)

この時すでに、この人と会話するのが楽しい!もっと知りたい!のフェーズに入っていた。

しかし、たかがTwitter。
日常は透けて見ることが出来るが、結局相手を想像するにとどまりいくらスクロールしても画面から出てくることはない。

「姿は見えないのに言葉だけ見えちゃってるんだ。」(天ノ弱/GUMI) の状態。

言葉しか見えない、実態があるようでない。
女の子はもちろん女の子というだけでめちゃくちゃ可愛いが、声や表情・仕草が加わることで細部に可愛さが宿る。
この人がどんな話し方をするのか、どんな仕草をするのか知りたくなった。だから勇気を出してDMを送ることにした。(まじで勇気出したよ…まじで快挙だよ…。讃えてほしいくらいだよ…。)

そこからは話が早かった、いつ会いますか?と聞かれたので一刻も早く会いたくて(もう好きじゃん)
11月の1週目を指定した。
そこから会うまで約3週間、毎日DMで会話した。
ここではアプリさながらの一対一の会話が必要になった。「休みの日は何してますか?」「普段何を聞きますか?」「女の子鑑賞会したいですよね。」「缶ビールで好きなラベルは?」と。
毎日返信が楽しみだった。人生にログインボーナスを貰ってる気分だった。おすすめされた曲はソッコー聴いた。おすすめしてくれたネトフリのドラマもその日から見始めた。

そうだった。私は好きなもの人に対しては超行動派だったことを思い出した。言葉が行動に勝つことは無い。行動が伴ってこそ言葉に効力が現れる。
相手のことを知るには相手の好きなものを知ることが1番の近道、だからすぐに行動し示した。
(後々恋人に聞いたら、すぐ聞いてくれて嬉しかったけど好きなのは伝わってなかったよ。と言われた。伝わってないなら行動してないのと同じ。でも行動の機会は1回切りじゃ無いはずだから、対した問題じゃない。ちょっと、いやかなり凹んだけど…。)

DMでの印象はTwitterのリプライとさほど変わらない、丁寧で相手の話をよく聞く人だなと思った。私が質問し相手も質問をしてきた。
色々な話をするけど踏み込んだ話を一切してこなかった、セクマイにありがちな質問(察してほしい)をされてたらゲンナリしていただろう。
私は宗教上の理由で禁止されているので誰も聞いてこないでほしい。マジで。

話していて私が1番良いなあと思ったのは、DMに移動しても変わらず呼び方が「zooさん」だったこと。私にとって心地よい距離感が続いた。

そして私は会う三日前に美容室に行き、髪をショートに整え、のちに恋人となる「aさん」に会うことができた。

仕事終わり、DMで「今から向かいます!」と送り飛び乗った電車。いつもより手すりが揺れてるように感じた。

待ち合わせ場所は新宿駅のライオン前。
aさんは青色のパーカーを着て立っていた。

緊張で心臓が口から飛び出そうだった。

横断歩道で信号が変わるのを待ちながら、少しだけ会話をした。

「そういえば名前はなんていうの?」
「〇〇です。」
「かわいい名前だね。私は〇〇って言うんだけど好きなように呼んでね。」

この日から「aさん」は「aちゃん」に変わった。

「好きすぎて付き合いたいと思えない」と思い始めたのはもう少し先の話。

またいつか。

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