ステロイドについて
ステロイドの基本的な事についてまとめてみます。自分でも正しい理解をした上で用いる事が大切だと思います。
ステロイドとは
ステロイドは、本来は副腎で産生されるホルモン
体の中でコレステロールから合成される
副腎には外側の皮質と内側の髄質がありステロイドは、副腎皮質から作られるために副腎皮質ホルモンとも呼ばれるヒトではコルチゾールというホルモン。
このホルモンは体の恒常性を維持するのに大切で、体がストレスに曝されたときに産生される
どうして効くのか?
細胞内に入ったステロイドは、細胞質内にある特異的な受容体(グルココルチコイドレセプター:GR)と結合する
このGRは体の中のすべての有核細胞(核を持った細胞のこと)に発現されており、ステロイドが細胞内に入ってくると複合体を形成して核内に移行する
次に、この複合体がある遺伝子の特定部位(グルココルチコイド・レスポンス・エレメント:GRE)と結合すると、下流にある特定の遺伝子発現が増えたり、減ったりすることになる
その結果、ステロイドの作用が発揮される
作用
ステロイドに対するレセプターはすべての有核細胞にありますので、ステロイドは体中に作用することができる
その中でも特に注目されているのが、非常に強い抗炎症作用と免疫抑制作用
ステロイドは、炎症に関係するサイトカイン、プロスタグランジンなどの産生を強力に抑制したり、リンパ球の機能を抑えることによって、非常に強い抗炎症作用と免疫抑制作用を発揮する
糖代謝、脂質代謝、骨代謝などにも作用するために、糖尿病、脂質異常症、骨粗鬆症などの副作用が起こることになる
電解質代謝にも関係するため、体内へのナトリウムの貯留を介して高血圧を引き起こしたりもする
朝に多く飲む理由
ステロイドホルモンは1日の中でも早朝に作られる
人間の体は生命の維持に必要なホルモンを朝のうちに作っておき、ストレスなどに対処しようとするのでステロイドも朝に多い量を飲むのが普通
ステロイドを朝だけ飲むのには、もう一つの理由があり、このほうが副腎からのホルモン産生を刺激できるから
いつも朝、昼、夕と同じ量のステロイドを飲んでいると、血中濃度も一定に保たれるため、副腎の機能は抑制されてしまう
再燃しない維持量を長期間服用する
ステロイドは当初は大量に用い、その効果が出たら漸減する
膠原病では、初回量を大体4週間前後続け、症状および検査結果の改善を確認したら徐々に減量します。これを漸減と言う。
減量のスピードは病気の状態にもよりますが、2~4週間ごとに初回量の5~10%前後を減量する。
これ以上減らすと再燃してしまう、あるいはこの量さえ飲んでいれば再燃しない、というぎりぎりの量を長期間服用し、これを維持量という。
ステロイドホルモン産生調節のメカニズム
生体にストレスがかかると、脳の中の視床下部から下垂体を刺激するホルモン(CRF)が出る
下垂体はCRFに反応してACTHと呼ばれるホルモンを生成
このACTHが副腎皮質を刺激すると、副腎皮質ステロイドホルモンが産生される
そしてステロイドホルモンの血中濃度が十分に上がると、視床下部に作用してCRFの産生を抑える
その結果、ACTHが出なくなり、そしてステロイドホルモンの産生も抑制される
これはネガティブ・フィードバック機構と呼ばれる生体の調節機構
ステロイドを急にやめれない理由
ステロイドを長期に服用していると、この「視床下部―下垂体―副腎皮質」の働きが抑制され、やがて副腎皮質は萎縮してしまう
ステロイドを勝手に減量すると、体はもはや副腎皮質からホルモンを作ることはできないので、膠原病などの症状の再燃が起こることになる。このような減量に伴う症状の悪化を「反跳現象」と呼ぶ。
このような状況でステロイドの使用を勝手に中止してしまうと、副腎皮質ホルモンの急性欠乏症状が起こる。
最初は「体がだるい」、「熱が出る」程度ですが、ひどくなると血圧が低下し、ショックに陥って死亡することもあります。これは医学的に離脱症候群と呼ばれる状態。
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