Netflixからオファーは来るか (1)
手元にメモがある。遥(はる)さんが、ボクに誤送信したメールの添付ファイルをプリントアウトしたものだ。
いや、わざと送りつけてきたのかもしれない。バイト代3万円がボクに支払われていないのは遥さんもたぶん知ってるはず。遥さんだってお金もらってないかもしれない。
ただ、メールを受け取った後、遥さんや茶木九一郎事務所とは連絡がとれなくなった。
メモを公開したらまずい気もした。けど、あれから半年たっても作品ができたという知らせはない。ないどころか、茶木さんは雲隠れ。許せない! なのでnoteにあげることにした。どうせ、作品が発表されてないなら、変態さんたちの身バレもないだろう。
ひょっとしたら、これ読んだ人からのサポートがあるかもしれないし。
茶木さんの説明では以下の内容の動画が完成すれば、けっこうもうかるはずだった。
なんと女装娘対象のSM。初めての女装。先輩女装娘とどろどろのからみ。女装娘とS女様のからみ。露出、羞恥プレイ、公開調教、緊縛、鞭……
そうロングテール。女装娘主体のマニアックな作品は、ボリュームゾーンを狙っても無駄。でもネット配信ならば世界中で同じような性的指向の持ち主がみてくれるはずだった。そんなターゲットも集まればそれなりの数になる。世界へ向けての発信なのに映像主体で言葉は少ないから翻訳料はあまりかからない。
うまく仕上がれば、ドキュメンタリーにも力を入れてるNetflixが買うかもしれない、と茶木さんは大真面目に付け加えた。
今思えばそんな話に乗った自分が甘いといえば甘い。だれが、そんなものお金払って見るかっ。以下、3万円分の怒りをこめてメモ全文、いや一部を掲載するが、ここで若干の状況説明。メモだけだと意味不明の部分も多いだろうから補足する。
五月さんというS女さんと女装娘(美優さん)との日記を、茶木さんがネットでみつけてわずか3日の交渉の末、取材OKをとりつけた。
五月さん、美優さんのお二人は、女装希望の羊さんとネットで知りあった。お二人の活動範囲は東京とその周辺、羊さんは札幌住みなのでネットで公開調教をしていた。
羊さんがリアルで上京することになり、せっかくだからカメラも回すことに。6月9日朝から10日夕方にかけて30時間以上撮影した。
このメモはほぼ2カ月後の7月7日、撮影した映像のなかから使えそうな部分をつなぎ合わせて、それを見ながら作品完成に向けてみんなが話したときの言葉を逐一文字にしたと思われる。映像のやりとりを文字起こしして、台本?のようにしたのがこのメモというわけ。
登場するのは五月さん、美優さん、羊さん(このためにまた上京?)、茶木さん、遥さん。
おそらくメモは遥さんが書いた。
残念ながらボクは映像を見ていないが、照明や音声係として、ほとんど現場に立ち会った。
未成年者だったら、あとあとまずいことになるかもしれないと言われ、ボクは成人であることを証明するために学生証をコピーして渡している。
なお、肝心の一番エロいところをボクは見てない。撮影NGということで、茶木さん、遥さん、ボクは閉め出され、五月さんが撮ったはず。
ボクは運転手という約束だったけど、いろいろやらされた。
バイト代は3万円だったが、今も払われていない!←これ大事。
事務所は茶木さんが一人で運営してた。茶木さんは元どこかの制作プロダクションで働いていてテレビや映画の仕事をしていたらしい。遥さんはそこの社員じゃなくて、個人事業主として、事務所の仕事をしていたらしい。実態は茶木さんの事務所の社員だが、社会保険とかいろいろめんどうなので、そういうことにしていたらしい。
大体こんなところだけど、疑問や改善点などあれば、コメントお願いします。答えたり書き直したりします。
そんなわけで、時々差し替えするかもしれませんが悪しからず。
以下、台本のようなメモです。シーンごとにまとまっているので、適当に分割して、つまんないところは削って上げます。誤字脱字は本文のまま、ボクの責任ではありません。メモ全文を希望の方は要相談。
なお、本文と写真はまったく関係ありません
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シーン1 カラオケボックス-自己紹介、初メイク、初女装
羊さん前泊。ホテルでピックアップしてこのカラオケボックスに。五月さん、美優さんと初顔合わせ。茶木がコンセプト説明。五月さんからスケジュールなど。ハンディカムと一眼で収録。神尾はアルファードで待機。
初対面のごあいさつ。(中略) なぜかみんな奇妙なくらいニコニコしている。
茶木
そろそろ本題に入りますか。
で、本当に邪魔にならないようにしますから。目立たないよう、あたしのハンディカムで撮るようにします。あ、食事とかアップシーンは一眼を使うかも。
アルファードも移動用に用意してます。お衣装とか道具、いくらでも積めますよ。
あっ、そうそう。車だと痴漢プレイとか、リモコンとか全然面白くないかもしれませんけど(笑い)
羊さんリラックスしました? 無理ですよね。五月さん、美優さんとも初対面だし。えっ。緊張する? けど、ま、それもリアルということで。目線入れたりもできますから、ご安心ください。
でも、ほんとにラッキーでした。取材どころか撮影まで許可していただけるなんて。
五月
いきなり取材ですもんね。いろいろ迷ったんですけど、最後はこの娘たちに判断させました。あ、まだ羊はまだ娘じゃないか。ふふっ。これから娘にしますから。
(註:このとき羊さん男の服装=B面というらしい)
エロいことって、ほかの人たちに見られるって普通はいやじゃありません? はっきり言って変態プレイでしょ。
この娘たちもすごく恥ずかしいって。ほんと、口では言うんですよ。
でもね。口先だけ。羞恥とか露出とかって、アカの他人にみられるからいいらしい。
わたしなんて、美優に海だとか、ランジェリーショップだとか、人目につくところに行きたいとかせがまれてつきあうの大変。
わたし、根っからのインドア派ですから。外、出歩くのめんどくさい。
しかもこの可愛子ちゃん高身長でしょう。どこにいたって目につくの。
今回の企画って、女装娘にとっては、どストライクゾーンに絶好球がきたみたいなんです。ふふっ。
わたしは反対だったんですけどね。この娘たちのおねだり許しちゃった。
(中略)
五月
今回はこんなスケジュールでいいかしら? (以下聞き取れず)
じゃ、まず、ここで着替えようか。
(註:羊さん上着、ズボンを脱ぐ。男物の下着)
美優
下着から換えないとね。写真では羊の下着女装を何回かみてたけど。本物、楽しみよ。
羊
恥ずかしいです。
(註:羊。男物のシャツ脱ぐとブラ。パンツのしたにショーツ。みんなわざとらしい驚きのリアクション)
五月
やっぱりそのかっこうで着たんだ。
(註:羊。ぐるりとゆっくり回る)
美優
あれれ? それ染みじゃない?
(註:ショーツのアップ。あの辺に染みあり。効果音かナレ入れる?)
五月
いきなり会ってこれだもん。
美優
でも、ヌーブラしてない!
五月
美優じゃないんだから。初心者がいきなりヌーブラだったら楽しくない!
(続く)
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