セレッソ戦~交代メンバーの的中

2024年8月11日 サンフレッチェ広島 vs セレッソ大阪 エディオンピースウィング広島


 開始間もない時間、GKキム・ジンヒョンのロングフィードがサイドでルーカス・フェルナンデスに通った。サイドをえぐりクロス。ゴール前にレオセアラ。が、ヘディングはDFの寄せもあり枠に飛ばさせなかったのは幸いした。セレッソの外国人選手3人でフィニッシュまで持って行ったのは突出した能力を見せつけられた。

 そんな個のレベルの高さに加えセレッソは組織だった守備を構築する。ワントップに入った加藤にはなかなかいい形でボールが入らない。ある程度後ろでは持たせてくれる。だけど中はガッチリと固められた上にサイドに振ったら速い寄せがある。付け入る隙がない。更に迂闊に前にチャレンジすると奪われた後が厄介である。なかなかボールが奪えない上に前線へ繰り出すと為田のようなドリブラーもいる。そして登里がオーバーラップから高速のクロスを入れた時、やられたと覚悟した。が、この時味方が詰めることができずゴール前を素通りしたことで安堵の息を吐くのだった。

 そんな鋭い攻撃により勢いを増したことでサイドからのドリブルをどんどん仕掛けてくる。そして右を切り裂きペナルティエリアに突進しようとするとこで中野がカット。早いタイミングで縦に出し速攻。満田がゴール前へのフィード。ファーに流れて東のシュートはDFのブロック。だがこのこぼれをここまで上がってきた中野がシュート。枠には入らなかった。が、自身が奪ったボールを預けることで自らシュートまで行った中野のプレーは圧巻だった。ただそれだけにここまでやっても枠にシュートが行かないことに守備の固さを感じざるを得なかった。

 一進一退。そんな言葉が当て嵌まる前半だった。前をむけば失点のリスクができ下がっていれば攻撃の糸口が掴めない。ベルギーから復帰した川辺が先発しただけにもっと違いを出せるかと思っていたものの流石に一人選手が入った程度では大勢には影響しないようだ。その為、打開策として後半から守備的ボランチの塩谷を下げワントップにヴィエイラを投入した。これによりターゲットができる。膠着状態を打破するのには正攻法な交代だった。

 そして早速その機会が訪れる。右サイド新井に入ると早いタイミングでクロス。ゴール前でヴィエイラ合わす。が、枠を逸れていく。最高のクロスと最高のタイミングだった。これを枠に入れられない。前半、加藤も完全なるフリーの状態で打ったヘディングシュートを決めきれなかった。切り札として出したはずのヴィエイラが切り札になってない。むしろ前線での守備がぬるいことでセレッソにやりやすさを与えてる。とはいえ他にFWはいないので頼るしかないだった。

 ここで川辺と新井に交代を告げられトルガイと越道が入ることでペースを上げようとする。が、満田の果敢なるプレスが行き過ぎを見せタックルが完全に遅れて入ってしまう。うずくまる鳥海。前半で1枚カードを貰ってるだけに正直2枚目も覚悟した。ただここは注意だけで済まされたことに安堵する。でもやっぱり危ない。満田にいつ2枚目が出てもおかしくはない。そう判断したスキッベ監督は満田に代え中島を投入。この緊迫した場面で18歳の選手を入れるというのは何とも違和感があったものの仕方のない処置だった。

 ところがこの中島が交代間も無くイエローを貰ってしまう。一体何をやってるんだ。これでは交代した意味がないではないか。そしてそんな時に今度はヴィエイラは倒れてしまった。また脚を痛めたようである。これにより途中出場にも関わらず負傷途中交代である。そして投入されたのがまたしても若き17歳の井上愛簾であった。まだ実績のない選手に頼らないといけないのだった。

 中盤で中島にボールが入ると素早い寄せでセレッソが絡め取りに来る。それを不可解にすら感じる足技ですり抜けて味方に渡すと右サイドの越道に出る。縦に行くと思いきやワンタッチで中央へのダイアゴナルパス。スルスルすると上がってきた松本泰志の足元へ流れるもスルー。愛簾が受けるも前を向けず落とすとトルガイ。前にはセレッソの壁。が、次の瞬間その厚く重なった壁のほんの隙間にスルスルスルとシュートが放たれるとそのままゴールの隅に潜り込んで入ったのだった。

 何が起こったのかわからなかった。あれだけDFの人数の揃ってるとこに打っても入る訳が無い。そんな固定観念を打ち破るシュートが決まったとこに沸きあがった。決まった、決まった、決めてくれた。トルガイ、凄い、凄すぎる。やはりヨーロッパのトップリーグでプレーしてた実力は伊達じゃなかったのだった。

 これで先制することができた。当然セレッソは点を取りにくる。またしても右サイドから仕掛けてくる。越道が対応して相手クロスをブロック。ゴールラインを割りCKかと思いきやゴールキックの判定。これでセレッソの攻撃を着ることができたのは救われた。そしてGK大迫のキックに加藤が頭で前線へとフリック。右サイドで相手選手の前に出るも果敢にも愛簾がそこへ競る。先に触ることができ前に繰り出す。ゴール前へ向かってグラウンダーのクロスを流す。ゴール前で受けたトルガイ。シュートモーションに詰めるDF。フェイントでずらし、キックフェイントでずらす。そしてシュート。2人、3人と詰め寄ったにも関わらず逆と取り決めてしまったのだった。

 決まった、決まった、決まった。トルガイ2ゴール。そして愛簾の2アシスト。流石に決まった。この時間での2点差にもはや確信めいたものがあった。実際この後チームは更に前を向き追加点を狙っていった。もはや誰もが結果を残したい。そんな野望に満ちた時間となったもののやはりセレッソも一方的に崩れることはなくこのままスコアは動くことなく終わったのだった。

 予定外の交代もあった中、交代した選手が結果を残した。采配は当たったとも言えるしそれができるだけのメンバーが揃った。特にトルガイのゴール前での落ち着きはチームに新たな武器となり得るものだった。そして若い越道、中島、愛簾がメンバーに食い込んできている。そこに新陳代謝が産まれそうな予感があるのだった。

 開幕以来怪我人が多く、その都度悩まされてきたのだがそれがいい循環になりつつある。新スタジアムの空気はそれを後押ししている。後半戦も試合が多くあるだけにこの勢いを続けていきたい。トルガイのゴール前での落ち着き、これを他の選手が吸収してくれるとチームとしてもう一段上のレベルにいけそうな気がするのだった。

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