川崎戦~満田の同点ゴール
2024年6月29日 川崎フロンターレ vs サンフレッチェ広島 Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu
スタジアムまでの道は人でごった返していた。ブルーインパルスのイベントに帰り客ともろに鉢合わせた。皆が駅の方面に歩くのをぼくは逆を行く。ただそれは一時のこと。夕方に近づけば段々とそれはスタジアム目掛ける人の方が上回っていくはずだった。
9連戦の最後。締め括りとして勝っておきたい。順位的にもここで勝つか負けるかによって今シーズンが決まってしまうというターニングポイントでもある。勝ちたい、勝ちたい、勝ちたい。だが川村、野津田が移籍した穴を未だに埋める目処がついてないのだった。その為のキーマンとしては満田があげられる。今シーズン、未だPK以外でのゴールがないだけにゴールにはこだわりたい。逆に満田が以前の輝きを取り戻すと今後において大きな勢いをもたらすことができるのだった。
スタメンにはその満田の名前がありワントップにヴィエイラが入った以外は前節と同じだった。東、松本泰志の2ボランチ、ポジションの変更もなしである。ところがこの固定メンバーがどうにも機能しないのだった。
ロングボールを蹴ればヴィエイラは収めきれない。そして高い位置でプレスをするもヴィエイラにはスピードがない。ボールに喰らいつけば喰らいつく程剥がされ中盤に入れられてしまう。そして右サイドのスペースに出されるとマルシーニョが飛び出す。ドリブルで縦を切り裂く。塩谷、中野がそこに対応すると中が薄くなる。シュートコースを塞ぐと縦を抉る。単独で守備を切り裂くと川崎の選手は次々に湧き上がる。パスを回されマークに行くと逆を突かれる。その度にゴールへと攻め込まれて行くも最後はDFの奮闘によりクリアに漕ぎ着けるのだった。
流れが悪い。どうにか押し上げをはかろうと後ろから繋いでいくと泰志が中盤の底から縦に入れる。だがこういうパスが悉くカットされてしまう。もはや泰志のパスはパターンが読まれていてわざとスペースを作ってるようにも見える。だが泰志も相手の縦パスをカットすることでゲームを組み立てようと持ち上がる。が、この瞬間にプレッシャーを受けることでボールロスト。相手にとっては高い位置からのカウンター。ゴールに突き進む。ボックスに入るとシュート。が、これをGK大迫食い止める。が、収めることができずこぼれ球になるとそこに詰め込んだマルシーニョ。ゴール真正面からシュートを叩き込むのだった。
失点。前半の内にやられてしまった。どことなくヌルいプレスにボールの取りどころを見出せず警戒していたマルシーニョは止められない。後手後手の処理。前に繋ごうにも中盤に刺せないのだった。
早く追いつきたい。だけど松本泰志の縦パスは見事にカットされまくる。まるでその為にわざとスペースを空けてるかのよう。蟻地獄に誘い込まれてる。そこで右サイド満田とボランチ東をコンバートさせる手を打ってきたものの大きなへな変化は見られなかった。とりあえずは前半点差を広げさせたくない。そして無事追加点を許すことなくハーフタイムを迎えると後半頭から交代があるのは想像ついたものの誰が入るのかは検討もつかないのだった。
後半、交代を告げられたのはヴィエイラだった。そして入ったのは18歳中島洋太郎である。まさかまさかでこのタイミングで入れてきた。懸案のあったボランチに入り満田がアタッカーのポジションに入る。百戦錬磨の川崎相手に中島がどれだけできるか。ただこの負けてる状況では荷が重いのではというのが正直な感想だった。
どんなプレーをするのか中島を注視してたつもりがいつの間にか忘れてしまってる。ポジション的に目立たないというのもあるだろう。が、目立たないというのは逆に言うと破綻してないと言うことである。むしろ後半に入って前線が活性化してきた。ボールが前に運べる。相手陣地でボールが回せる。あとは仕留めるだけ。疲れの見えてきた加藤と新井をピエロスと越道に代える。ピエロスが最前線で身体を張るが競り合いはほぼファールになり裏に抜けたと思ったらオフサイド。いいとこまでは行くものの勿体無いプレーが多い。その間、川崎は小林悠を入れカウンターから際どいシュートを浴びせる。やはり小林は厄介だ。その為にももっと攻撃の圧力を強めたい。そこで切り札としてマルコスとエゼキエウを投入したのだった。
東と松本泰志を下げたことでもはや守備のことなど考えてはいない。確かにこのまま点が取れなければ負けてしまうのである。攻撃重視のメンバーではあるがここから前への推進力が高くなる。川崎のクリアにはDF陣が弾き飛ばし前線でボールを拾う場面が増えてくる。そこから一気にけし掛けたいものの中央を固められてるだけにパスを左右に散らすだけになってしまう。どこから中へ入れたい。満田がバイタルエリアの密集地に入れるとエゼキエウが外にドリブルで逃げようとしつつヒールで落とす。そこに走り込んでた満田。勢いそのままダイアゴナルのシュート。DFに当たった。が、それでコースが逸れたことによりGKチョンソンヨンも反応できないゴール隅に入っていったのだった。
同点。ドワーっと立ち上がったアウェイゴール裏。イケる、イケる、イケる。応援の声がヒートアップする。前線へとベクトルの向きは変わらない。早いタイミングで縦パスが入る。ここで仕掛ければと言う場面が訪れる。が、決まってエゼキエウが持つとスピードダウンが起きてしまう。それどころかボールの処理を誤りカウンターを受ける。なんでエゼはいつもいつもそんなプレーをしてしまうんだという悲嘆を感じるも応援の後押しは止まらない。カウンターから完全に崩された場面も小林悠のシュートが枠に入らなかった。その時も応援の圧に押されたのだろうと勝手に思い込んでしまうのだった。
あと一息、あともうちょっと。僅かに届きそうで届かない。ゴールまで5m、3mまで近づきながらも最後が決まらない。そんな勝ち越し点のことばかりしていた時、カウンターによりゴールを脅かされる。DFの必死な戻りと粘りで食い止める。そしてここから逆にカウンターというとこで笛が鳴った。タイムアップである。なんと間の悪いタイミングであった。その笛に両サポーターから大きなブーイングが起こるのだった。
1-1引き分け。15本シュートの内枠内3本である。相変わらず決定力がない。この日もこれは決まったかと思った場面で入らなかった。入らない、入らない。本当に入らない。ただそれでも満田が流れの中からやっと今シーズン初めて決めたのは収穫だった。真のストライカーは欲しい時に取る選手である。その本当に欲しい時に取ってくれた満田は輝かし勝った。今までも満田が決めれば勝てた試合があった。満田さえ活躍できれば制することができた。
結局この試合でも川崎には勝てることはなかった。でも終盤に追いついた粘りと力強さ。そして中島の更なる起用への期待が相まってアウェイゴール裏の熱量は高まるばかりだった。こういう競った試合を制することができるのではないか。そんな希望を見出すことができた。勝てなかった不満はあるものの充足感に満たされたまま帰路に立つことができたのだった。
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