シドニーFC戦~予選リーグ突
2024年11月7日 AFCチャンピオンズリーグ2 グループステージ シドニーFC vs サンフレッチェ広島 Jubilee Stadium
リーグ戦を大詰めにいる中、ACL2でオーストリアまで行くというのはなかなかにハードなことだった。それを踏まえてスタメンはGK大迫、右CBの塩谷を除いてサブメンバーで構成された。が、その中には満田はいるしマルコスもいる。実力的には試合に出ておかしくない選手だ。そういう選手にしてみればやっと巡ってきたチャンス。チームの中心となる活躍をしてチームでの序列を上げたいはずだった。
ところがシドニーの選手のレベルが高いだけあってなかなか上手くいかない。ボールが取れない。そして相手のプレスを掻い潜れない。もはやこれは個々のアピールというよりまずはこの試合を無事に終わらせなければならない。勝てればいいがそれが難しいとなると引き分けでもいい。とにかく負けさえしなければグループステージ突破が見えてくるのだった。
そんな中、満田が右サイドのポケットに入り込む。GKの前を抜けるグラウンダーのボール。ガラ空きの逆サイド!そこに入り込んだマルコスが打った。が、威力のないストレートボールはGKがキャッチ。ああ、マルコスならもっと弾むシュートが打てるはずだろ。やはり長いリハビリ期間はプレーの鋭さを奪ったのだろうか。試合の中でもあまり目立ったプレーはできてないような気がするのだった。
それに引き換えシドニーのボール扱いの上手さが目立つ。プレスに行けば逆を取られ人数を掛ければ縦パスを入れられる。そして守備に追われる展開が続くことで重心が低くなる。バイタルエリアに守備が偏る。だがそんな狭い場所でさえ切り抜けていきラストパスを送るとシュート。完全に崩されたと思った先にはGK大迫。鋭い反応で足を伸ばしブロック。ああ、救われた。大迫じゃなかったらまずやられていただろう。
この劣勢の中、急造3バックはよく耐えている。松本大弥も志知も相手に食らいついている。そして辛抱の末にカウンター。満田に入り前を向くも遠目からのシュート。GKが前に出てたからの判断だろうが精度があまりにもなかった。そこが相手に威圧感を与えるまでにもいってないような気がするのだった。
そんな低いボール支配率の中ではなかなかパスが通らない。それでも相手の低い位置でのショートパスにプレッシャーを掛けると取り切る。満田が受け左サイドからペナルティエリアに侵入。逆サイドへ振ると飛び込んだのは柏。ボールを捉えた。が、枠に飛ばない。。絶好のチャンスだった。あれを決められないと厳しい。もはやこの試合、引き分けなら御の字だろう。主力を温存してるだけにそれでも結果としては価値があるだろう。
ところが後半も進んでくると主力の中野を入れてきた。ある程度守備固めの意味合いもあるだろう。そんな中野へも相手のプレスが入る。右の低い位置で追い込まれた。だがここで粘りを見せ相手を出し抜き縦へ抜ける。右サイドを駆け上がる。絶好のカウンターは得点にこそ繋がらなかったもののレギュラー組のレベルの高さを感じさせる。そして加藤、ピエロスという攻撃の主軸までピッチに出すのだった。
その瞬間である。左サイドに出たボールを追い越す動き。最終ラインの志知がオーバーラップを見せるとそれに呼応した縦パス。フリーで抜けた志知。左足でクロス。鋭い弾道が飛ぶ。ニアに飛び込んだのは加藤。ヘディングを放つとゴール隅に入れてしまったのだった。
陸次樹、陸次樹、陸次樹!ここまで我慢して我慢して温存してきた加藤は出場して間も無く決めてしまった。これがレギュラー組の力。が、それを引き出したのは志知のクロス。出場機会に恵まれていない志知はアシストという結果を残したのだった。
久々にスキッベ監督の采配が当たった。だがまだ勝った訳じゃない。事実、ここからシドニーの怒涛の攻撃が始まる。技巧的なフェイントで茶島を抜き去り折り返し。ダイレクトシュートはGK大迫のファインセーブ。その後も決定的なピンチを最後の砦として防ぎ切ることで試合終了の笛を聴くことができた。勝った、勝てた、勝てたこれで4勝0敗。これでグループステージ突破が決まったのだった。
大きな勝利。リーグ戦2連敗の萎んだ空気を変えることができた。加藤が久々にゴールできたというのも大きい。やはり勝利こそ一番の薬である。残されたリーグ戦の3試合。この勝利がいいシーズンの終わり方に繋がってくれることをただただ祈っているのだった。