シドニー戦~海外クラブに勝ち切る

2024年10月23日 ACL2 グループE サンフレッチェ広島 vs シドニーFC エディオンピースウィング広島


 大きい。

 ピッチに入ってきたシドニーの選手は総じて身体が大きく体格がよかった。果たしてこのチームがどんなサッカーを仕掛けてくるか。体格を生かして肉弾戦でくるか。そんな懸念があったものの繋いできた。確実に足元に通してくる。その為パスコースを限定して追い込んでいくもののなかなかボールが取れない。上手い。個々のボールキープが巧み。ターンから一気に剥がされる。ああいうボールの扱い方は日本では見ない。このレベルの高さを見越していたのかACL2において初めてリーグ戦メンバーをぶつけてきたのだった。

 ガツン。球際の競り合いには当然フィジカルを使ってくる。だがサンフレッチェも負けてはいない。トップを狙ったロングボールにも荒木が飛ぶ。高い打点。が、横から入られるとバランスを崩し落下した。笛が鳴りゲームが止まる。立ち上がれない荒木。続行不能と判断され塩谷が準備をしたが、開始早々CBの交代を余儀なくされてしまったのだった。

 DFの右に塩谷が入ることで中央には中野が入った。それにより中野のところからサイドに向けてのロングキックが出る。それにより一旦は追い込んだと思ったシドニーの寄せから一気に裏返ることで混乱を与える。更に塩谷も右サイドの縦へのフィードに新井が裏抜けすする。相対するシドニーの選手はそこまでスピードがなく深く抉るとクロス。ゴール前に詰め寄った選手の頭上を超え逆サイドへ。その落下点で東。地表スレスレで放ったシュートはグラウンダーを極め一直線にファーへ走るとゴールの隅に突き刺さったのだった。

 どわあああっ!

 スタジアムが蠢く。決めた、決めた。普段あれだけシュートが入らないと言っていた東が高い技術でのダイレクトシュートを決めた。場内アナウンスが東の名前を呼ぶ。そしてそれに釣られて皆がシュンキと叫ぶ。その瞬間実感した。やれる。このチームはこの相手に対してもやっていけるんだと。

 それからというもの右サイドのスペースに面白いようにボールが出る。新井が走り再びクロス。タイミングはいい。が、最後の最後でパシエンシアの放ったシュートは枠外。いや、せめて枠には入れてくれよと声が出る。そして徐々にペースを取り戻してきたシドニーが攻勢に出ると一気にゴール前のまで押し切られシュート。やられたと思ったがボールは跳ね返った。GK大迫のブロック。防ぎ切ったことで一段と歓声が上がる。そしてこのまま前半を終えたことは幸運だったのか。それとも取るべきとこで取れなかったのか。先制しつつ後半に逆転された湘南戦が思い起こされる。果たしてシドニーは後半どんなサッカーを仕掛けてくるだろう。

 すると後半頭からパシエンシアに代えピエロスの投入があった。確かにパシエンシアに収まりがなかった。そしてイエローカードも貰ってしまった。が、ピエロスもファールが多い。それ以上にやたらとオフサイドに掛かる傾向がある。すると後半開始早々早速オフサイドに掛かったことでこの交代はどうなのかという疑問を感じざるを得ないのだった。

 相手のDFへはプレッシャーを掛けてはくれるものの行きすぎてファールを取られることがある。なんか危なっかしい。ここでカードを貰うようなことがあれば交代した意味がない。逆転負けをした湘南戦の記憶が蘇る。最後の最後、チャンスを潰しまくったピエロス。オフサイドになりつつも最後のパスが全然繋がってなかったことでどっち道決められなかっただろと呆れられた。追加点のイメージがないのだった。

 ところが前線でトルガイが相手ボールを絡め取る。左サイドに持ち上がり中へ入れる。ゴール前で受けたピエロス。逆サイドを向こうとターンするも対応したDF。更に回るピエロスはゴールを向きシュート。相手GKも反応できずゴールに叩き込まれて行ったのだった。

 決まった、決まった、決まった。さっきまでボロクソ言ってたことも忘れて立ち上がり雄叫びを上げる。追加点、追加点、追加点。これは大きい。本当に大きい追加点なのだった。ここに来ていよいよ勝ちというものを意識するようになるのだった。

 ここまま引き下がることのできないシドニー。徐々にサンフレッチェの陣地を侵食していき守備に追われる。食い止めてもクリアするのが精一杯。セカンドボールを拾われる。もはや繋ぐ余裕はなくゴールキックになると露骨に時間を掛けるようになる。そんな中トルガイに代わって中島が入るとフィジカルの差に局面で負けてしまい再び形勢が不利になる。GK大迫に戻され蹴り出すとサイドラインを割ってしまう。大迫はこういう押されてる場面は特にキックミスをやらかしてしまう。そしてこのスローインから左サイドを抉られ中央のバイタルエリアへ。人数の揃ったゴール前のの網の目を縫うようにパスがすり抜けシュートもすり抜ける。スルスルスルとゴールに入って行ったのだった。

 やられた。これだけ人数が揃っていても守りきれない。ただ残り時間が少ないことは救いだった。アディショナルタイム5分を凌ぎ切ることで見事ACL2の3連勝を重ねたのだった。

 勝った、勝てた。東のスーパーゴールとピエロスのゴール前での強さにより仕留めることができた。ただ、こちらの手の内がわかった次回戦では尚更苦戦する可能性も感じた。ただグループ首位。そこに沸き立つ。リーグ戦の負けを引きずることがなかったことでこの試合をキッカケにまた勝利を続けていけることを願っていくのだった。

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