THE SECOND感想とマシンガンズの躍進を見て思うこと。

THE SECOND、今更ながらものすごい大会だった。
見た後の多幸感、いいもの見たなぁ感は筆舌に尽くし難く、夜明けまで興奮で寝付けなかったくらいだ。

その中でもマシンガンズのアドリブ満載の漫才は、一部で「ツービートの再来」と称されるほどで、あんなにも「ニン」をさらけ出し、「ネタが無いのにここに立ってるメンタリティすごくないですか?」「優勝させてくれ」とあまりにも正直に語りながらも、その即興のやり取りで漫才が成り立っている様は、見てる者に衝撃を与えた。M-1で求められる、いわゆる競技漫才と呼ばれるような緻密な台本や作り込みとは正反対の漫才で、それで客席を湧かせ決勝まで進んだ姿は、ベテランの風格を見せつけられた思いだった。
同じことを恐らくもっと若い世代がやろうとしてもできないだろうし、できたとしても受け入れられないだろう。「今、結成25年目のおじさん芸人が」やっているからこそ味が出るし、長年やっているからこその阿吽の呼吸や間のとり方などもあり、すべてがうまくハマってあんなにもウケたのではないか。

オードリーのラジオをよく聴いていたが、マシンガンズはライブにもよく出てくれたり、ラジオのゲストに来てくれることもあり、「オードリーの仲良い友達」みたいな認識だった。滝沢さんのブログは文章が昭和の随筆作家のように素敵だったし、西堀さんのオールナイトニッポンR事件の時のオードリーからの生電話では、その落ち込みようや「若林お前優しいよな、なぐさめてくれてさ…」などの真面目な発言に可愛らしい人だなと思っていた。滝沢さんがゴミ清掃員として働き出し本を出版された時は、もう漫才をメインではやらないのかもしれないと、ひそかに寂しい気持ちになったのを覚えている。

SECONDで久しぶりにネタをしているマシンガンズをテレビで見た時、こんなにも楽しそうにネタをする人たちだっただろうか?とびっくりした。形式としては若い頃と変わらないようで、受ける印象はかなり変わっている。間に挟むぼやきや笑いがいい緩和剤になり、程よく情けなくて明るくて、なんというか愛嬌がある。
ブログなどで文章は見ていたけど、実は滝沢さんがネタ以外で話している姿をほぼ見たことがなかったので、こんなに大きな声で明るく笑う人だったのかと恥ずかしながら初めて認識した。ネタ中、突然思いついたように「ブスがなくすんだよなぁ!?」と昨今明らかアウトな発言(とわかっていて敢えて言ったのだなと思えたのがまたおかしかった)をし「なぁ西堀!?なぁ!西堀!西堀!!」と同意を畳み掛け、西堀さんが苦笑いする様はかなり好きなくだりだ。
西堀さんも「俺が緊張してきたよ」「こんな振りでネタに入るの俺恥ずかしいよ…」と弱々しいボヤきがいい味になっていたし、「ちょっと笑いの量が少なくなってきましたね」などと客席に対する咄嗟の反応もさすがだ。
結果、準優勝と大健闘で、まさかのビジュ爆発でも話題になり、一時期Twitterのトレンドから滝沢さんが消えず、最新検索でも2〜3分に一度は「マシンガンズ」で肯定的なつぶやきが引っかかる状況だった。そして、新しく増えたファンにもハスらずノリノリで対応し全力で乗っかっている。その柔軟性や瞬発力、明朗さにはついつい惹き付けられてしまう。
SECONDは本当に良い大会だった。松本人志さんが言っていたように「誰も損しない大会」だったと思う。1か月前には付き合いもなかったであろう演者同士が皆親しくなり、出場者同士のツーマンライブが次々決まり、自撮りおじさんムーブメントが起こり、演者も制作陣も視聴者も、皆が楽しくハッピーになる、最高の番組だったのではないか。まさかギャロップ毛利さんがマシンガンズ滝沢さんを「アニキ」と呼ぶ日が来るなんて思わなかった。トーナメントだからこそ、対戦相手とのやり取りがあって良かった面もあるかもしれない。
アンチエイジングが持て囃される昨今であるが、歳を重ねることも悪いことばかりではない。歩いてきた道はその人なりの経験となり、若い頃の尖った自意識や思い込みは徐々に薄くなり、許せることが増えていく。いい意味でも悪い意味でも諦めがつく。
SECONDの出場芸人さんたち、特にマシンガンズを見ていて思うのは、四十超えてもこんなに青春できるんだな、こんなに素直に楽しくはしゃいでいいんだな、こんなカッコイイ(見た目ではなくて)歳の取り方ができるんだな、ということで、なんというか「中年になる希望」である。円熟することは、こんなにもカッコいい。弱さをさらけ出すことは、こんなにも愛おしい。
願わくば、こんな風に歳を重ねていきたい。心から楽しそうな笑顔で仲間たちと自撮りするおじさんたちの写真を見ながらそう思うのだった。


余談。マシンガンズの配信ラジオのネガポジ、かなり面白いのでもっと早く聴いていなかったことを後悔しました。最新のランボー怒りのアフガンのくだりは呼吸困難になるくらい笑いました。皆さんもぜひ聴いてください!