【web3週報⑥】Web3に投資している海外のトップVCについて
こんにちは
Skyland Venturesの愛川です。一橋大学の3年生です。
最近web3の勉強を始めたので、その一環として(できるだけ)毎週web3の気になったプロジェクトを紹介していこうと思います。
前回の記事:
VCとは
VCはベンチャーキャピタルの略で、以下のようなビジネスモデルで運営される金融機関です。
私は10年後くらいにアメリカのVCに入ろうと思っています。それが理由で、海外のVCに興味があり、Skylandの袁さんに教えていただいて今回この3つのファンドをまとめてみました。
三社の比較
それぞれのVCについて投資領域とチケットサイズ(投資額)をまとめてみました。
Paradigmはチケットサイズが大きいことが特徴です。最近だとBlastやMonadなどのインフラ、Babylonやsymbioticなどリステーキングへの投資も行い注目を集めています。
IOSG Venturesはリサーチ力が高いことが特徴です。L2のzksync、scroll、Taiko、リステーキングのBabylon、Eigenlayer、モジュラーブロックチェーンのCelestia、Altlayerなど、大きくナラティブかつ主要なプロジェクトに投資しています。
Dragonflyは直近のMegaETHやMonadのリード投資を行いインフラ投資に注力する姿がうかがえます。また、EthenaやAevoなど、DeFiにも注力しています。日系だとCegaに投資しています。
Paradigm
まずParadigmについてです。Paradigmの特徴はファンドサイズが大きいことだと思います。
現在はa16z(アンドリーセン・ホロイッツ)の80億ドル(約1兆700億円)という数字が世界最大の規模のweb3投資額ですが、Paradigmは2021年11月には当時25億ドル(約2,800億円)規模のファンドを組成し、世界最大規模となりました。
また、研究開発にも力を入れており、Proof of Stakeのセキュリティやゼロ知識証明について研究をしています。
リターンが大きいプロジェクト
Paradigmの投資先でリターンが大きいプロジェクトを少しだけ紹介します。
Cosmos
Cosmosは異なるブロックチェーン同士を繋ごう!というプロジェクトです。
一つのブロックチェーンにトラクションが集中することには二つのデメリットがあります。人が多すぎて道が詰まってガス代(手数料)がかさむということと、分散的であろうとする思想に反していることです。
Cosmosが登場する前は、プロトコル毎にブロックチェーンを作るとそれぞれのブロックチェーン同士がつながっていないため手間がかかるというデメリットがありました。
Cosmosはブロックチェーン同士を繋ぐことによって、一つのブロックチェーンにプロトコルが集中しない世界を作っています。
Uniswap
Uniswapは、イーサリアムチェーンなどを基盤にしているDEX(分散型取引所)です。
UniswapはAMMという方法を編み出したというところに優位性があります。
あとUniswapはスマートコントラクト(ブロックチェーン上で自動的に実行されるプログラム、一般に公開されている)が美しいことで有名らしいです。
私もSolidityを勉強してその感性に早く至りたいですね。
最近の投資
Paradigmの最近の投資先を少し紹介します。
Blast
Blastは、EthereumのLayer2ソリューションです。特徴としては
自動リベース
エアドロップ
BlastポイントとBlastゴールド
上記の三点が挙げられます。
自動リベースとは、生まれた利息を自動でBlastが再投資することなどにより、Blast上で保有しているETHやUSDBが自動的に増加していく仕組みのことです。つまり利回りが高いということです。従来のL2においては利回りが存在しなかったので、利回り目当てで多くのユーザーが参入しました。
また、Blast上でのエアドロップが最近(6月26日)に始まり、それも話題になっています。
BlastポイントとBlastゴールドはBlast上のインセンティブで、ポイントの方は多く資産を預けているユーザーに与えられ、ゴールドの方は多く貢献している開発者に与えられます。
Babylon
Babylonは、環境に負荷がかかるマイニングの方法(PoW)から環境にやさしい方法(PoS)に移行するためのプロジェクトです。具体的にはPoS(Proof of Stake)チェーンにBTCを預けられるようにしています。
BabylonはParadigmだけでなく後述のIOSG Venturesも投資しています。
IOSG Ventures
Avalanche
先述のCosmosが普及した理由において、「一つのブロックチェーンにトラクションが集中する」ことが課題であったと述べました。
このことをスケーラビリティ問題と言います。
CosmosとAvalancheはスケーラビリティ問題を解決するための異なるアプローチです。
CosmosはEthereumの上に色々なプロトコルが集中しなくても良いように、ブロックチェーン同士をつなぐ仕組みを作りました。
Avalancheは速く取引を処理できるブロックチェーンの仕組みを作ったり、X-Chain, P-Chain, C-Chainという異なる目的のためのチェーンを作って、Ethereumより速いブロックチェーンを実現しました。
最新の投資先
IOSG Venturesの最近の投資先を少し紹介します。
zksync
zkSyncは、Ethereumのスケーラビリティ問題を解決するために開発されたLayer 2ソリューションです。zk-Rollup技術を採用し、ゼロ知識証明(ZK-SNARKs)を活用しています。 EthereumネットワークのスケーラビリティとTPS(1秒あたりのトランザクション数)を向上させ、取引コストを削減することを目指しています。
Taiko
Taikoは、zkSyncと同様、Ethereumのスケーラビリティ問題を解決するために開発されたLayer 2ソリューションです。(Taikoの方が最近のプロジェクト。)TaikoはEthereumとの95%以上の互換性があるため、Ethereum上のスマートコントラクトを容易に移行できることが良い点です。
余談ですがSkyland VenturesもTaikoに投資しており、最近上場しました。
Dragonfly
Dragonflyは先述したAvalancheなどに投資しています。あとPolygonとかが大きなリターンを生んでいます。
最新の投資先について
Dragonflyの最近の投資先を少し紹介します。
Monad
MonadもEthereumのスケーラビリティ問題を解決するために開発されたLayer 2ソリューションです。違いとしては、zksyncとTaikoはzk-Rollupを採用しているのに対し、MonadはZK-EVMを採用している点です。
MonadにはDragonflyだけでなく、IOSG VenturesとParadigmも投資しています。
Haseebについて
Dragonflyの代表パートナーは、Haseeb Qureshiという方です。
Haseeb >|<(@hosseeb)さん / X (twitter.com)
dragonfly(トンボ)のマークが >_< ←こういう顔文字みたいに見えて可愛いですね。
彼はとてもユニークな経歴を持っています。19歳で世界レベルのポーカープレイヤーになり、エンジニアとしてAirbnbなどで働いたのち、VCの世界に入ってきています。
余談ですが、Haseebが初めに入ったファンドはMeta Stable Capitalといい、ナヴァル・ラヴィカントがファウンダーです。私はナヴァル・ラヴィカントの大ファンなのでこの事実は私にとって初音ミクに三次元で会うような感覚で、とても興奮しました。
先日、Haseebがオフィスに来てくれました。めちゃくちゃ気さくな方で、お話しできてとてもよかったです。
あと、自己紹介に書いてあった通り、本当に水しか飲まなくて感動しました。
感想
以上が世界規模のWeb3ファンドとその投資先プロジェクトになります。
海外の他のファンドを見ていて思うのは、日本との圧倒的なファンドサイズの差です。ファンドサイズが小さいとチケットサイズも小さくなり、生まれるビジネスも小さくなると考えています。
チケットサイズとバリュエーションを大きくすることはもっと大きなビジネスを日本から作るために必要です。VCに対してもっと大きなお金が集まる世界になることを祈っています。
最後に
CRYPTOLAND HUNTERSというTelegramのコミュニティがあります。
200人以上のメンバーが参加している大きめのクリプトコミュニティです。
web3に興味がある人であれば、初心者も玄人も皆歓迎です。以下のリンクから入れます。
次の記事:
Web3週報一覧:
ありがとうございました。
参考にさせていただいたリンクです。
Dragonfly
About - haseeb qureshi
Dragonfly Overview: Portfolio, Team and News - RootData
Paradigm Overview: Portfolio, Team and News - RootData
IOSG Ventures Overview: Portfolio, Team and News - RootData
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