【財務分析週報①】M&A総研HD
こんにちは
Skyland Venturesの愛川です。一橋大学の3年生です。
気になった企業の財務分析を書いていきたいと思います。
今回はM&A総研HDについてです。
会社概要
M&A総研HDの会社概要は上記に示した通りで、2018年10月に創業し2022年6月に東証グロース市場に上場しているM&A仲介の会社です。
他のM&A仲介の会社と比較すると、DX・AI技術と営業力を強みとしています。
ファンダメンタル分析
では、M&A総研HDのファンダメンタル分析を行います。比較対象としては、同じM&A仲介業者であり、時価総額が比較的近いストライクと日本M&Aセンターを選びました。
余談ですが、ストライクは出身大学が同じ荒井さんが創業なさっていて、嬉しいです。
📈収益構造の違い📈
収益構造の違いとしては、以下の表のようになります。
日本M&AセンターHD > ストライク >= M&A総研HDの順で大きく業績が伸びたタイミングで売上高に計上できる分が大きいです。(決算の段階で計上できる金額が少し増えるため。)
📈安全性分析📈
まず、流動比率(%)(= 流動資産 / 流動負債)と当座比率(%)(= 当座資産 / 流動負債)についてです。
流動比率と当座比率はいずれも短期の安全性を見る指標で、1年以内にその会社が倒産しそうかどうかを表します。一般に、流動比率は200%、当座比率は100%を超えていれば安全です。
次に、自己資本比率(%)( = 自己資本 / 資産合計)についてです。自己資本比率は低くすると節税効果があるが低くなりすぎると倒産リスクが高まってしまう上、企業によって最適な比率が異なるため分析が難しい比率です。日本企業の平均は55%程度であるため、 それを基準として分析をします。
一言まとめ:安全性は3社とも問題ないと思います。自己資本比率が3社とも高いので、安全ではありますが若干守りの経営とも言えます。
📈収益性分析📈
自己資本利益率(ROE)(%)( = 親会社株主帰属当期純利益 / 自己資本)は株主が出資した自己資本に対してどれだけ利益が出たかを示す指標で、株主 が重視しているため企業も重視しています。伊藤レポートなどでも言及されていますが、一般に、ROE が8%あれば大半の株主が満足するとされています。
総資産利益率(ROA)(%)( = 営業利益 / 資産合計)は会社の総資産を利用してどれだけの利益を上げられたかを示す指数で、一般にROAが5%を超えていると優良企業といわれます。
一言まとめ:M&A総研が飛びぬけていますが、3社とも極めて収益性が高いです。
📈効率性分析📈
総資産回転率(回)( = 売上高 / 総資産)は総資産がどれだけ効率的に売上高を生み出したかを示す指数で、一般に1.0より大きければ効率性が高いです。総資産回転率の「回転」は「投資 → 販売 → 回収」の 1 サイクルを意味します。
公認会計士の卵の大学の友達にアドバイスを求めたところ、「総資産回転率に多少の差が出てるから、収益構造に違いがあるのではない?」と言われたので、収益構造も考慮してみます。
中間金など別途手数料が発生するかの違いはあれど、基本は仲介業務のみで儲けているようです。PMIと呼ばれるM&A案件成立後のコンサルティング業務で追加で収益が発生していてそれにより総資産回転率に差が出ている可能性を考えたのですが、それは違いました。
ですが、着手金/中間報酬の有無などの差はあり、着手金/中間報酬があると売上高と総資産の両方が増加しますが(決算の段階で計上できる金額が少し増える)、一般的に売上高の増加率の方が大きいため、総資産回転率は向上する傾向にあります。
これに基づいて考えると、本来は日本M&AセンターHD < ストライク < M&A総研HDの順に総資産回転率が小さくなるはずですが、実際の数値は逆なため、M&A総研HD・ストライクは効率的な経営を行っている可能性があります。
営業利益率(%)( = 営業利益 / 売上高)は本業からどれくらい効率的に利益を出せたかを見る指標で、5~10%が標準、11~20%程度が 優良水準、20%以上は高水準だが何らかの経営問題(ex. 人件費が低水準、保守修繕に不足がある)がある可能性があるとされています。また、営業利益率がマイナスの場合は赤字経営です。
(3社ともちょっと高すぎるような気がします)
一言まとめ:総資産回転率は3社ともちょっと低いです。その一方で営業利益率が過剰なほど高いです。
📈成長性分析📈
売上高成長率( =(当期の売上高 - 前期の売上高)/ 前期売上高)とは「売上高伸び率」とも呼ばれ、企業の売上がどの前期と比較してどの程度伸びているかを表す指標のことです。売上高成長率やその平均値を見ることで、現在の成長率だけでなく、今後数年にわたる成長率の見通しを分析することができます。
純利益成長率( = 税引後当期純利益 / 売上高)は、企業の純利益がどれだけ増加したかを示す指標で、前年度比で計算されます。適切な水準は業界や経済状況によって異なりますが、一般的には10%以上が良好とされ、20%以上であれば非常に高い成長率と考えられます。
2021年のM&A総研HDの純利益成長率が8000%とかあってグラフが破壊されてしまいましたが、
M&A総研を抜いたグラフはこんな感じです。2社とも2022から2023年にかけて右肩上がりの成長をしており、ストライクの純利益成長率もかなり高水準にあります。
一言まとめ:成長性は3社ともかなりいいと思います。M&A仲介市場全体の成長性が高いように感じます。
📈総合的評価📈
株価は、株式市場で取引される企業の株式の価格であり、企業の価値を反映する指標の一つとして広く用いられています。
時価総額は、上場企業の株式の総価値を表す指標で、発行済み株式数に株価を掛けて算出されます。企業の規模や市場価値を示す重要な指標であり、投資家や市場分析において頻繁に使用されます。
株式と時価総額を見ることにより、ストライクの株式総発行数が少ないことが分かります。
また、2021年にM&AセンターHDが不適切会計が発覚したため暴落していますが、現在市場からは割安の評価が出ているのでここから上がる可能性があると思います。(個人の見解)
1株当たり当期純利益(EPS)は、企業の当期純利益を発行済み株式数で割った値で、1株あたりの収益力を示す指標です。この数値が高いほど企業の収益性が高いとされ、投資家が株式の価値を判断する際の重要な指標の一つとなっています。
ストライクは発行済み株式数が少ないこともあり、一株当たりの収益力がとても高いです。
株価収益率(PER)は、株価を1株当たり当期純利益(EPS)で割った値で、株価が収益の何倍になっているかを示す指標です。
この3社は全然割っておらず、市場から期待されていることが分かります。
一言まとめ:ストライクは一株当たりの収益力がとても高く、M&A総研HDは株価/時価総額の上がり方から市場からかなり期待されていることが伺える。M&AセンターHDは今後株価が上昇する可能性がある。
📈まとめ📈
安全性まとめ:
安全性は3社とも問題ないと思います。
収益性まとめ:
M&A総研が飛びぬけていますが、3社とも極めて収益性が高いです。
効率性まとめ:
総資産回転率は3社ともちょっと低いです。その一方で営業利益率が過剰なほど高く、その中でもM&A総研がかなり高いです。
成長性まとめ:
M&A仲介市場全体の成長性が高いように感じます。
総合評価:
ストライクは一株当たりの収益力がとても高く、M&A総研HDは株価/時価総額の上がり方から市場からかなり期待されていることが伺える。M&AセンターHDは今が割安なため、今後株価が上昇する可能性がある。
最後に
※このnoteは間違っている可能性もありますので、株のご購入などを検討される場合はご自身で一次情報をご確認ください。
Twitterをやっていますので宜しければよろしくお願いいたします。
建設的な議論をお待ちしております。
Web3週報の一覧:
ありがとうございました。
参考にさせていただいたリンクです。
M&A仲介の上場会社の一覧比較(強み・業績・ビジネスモデル) | KABUMO【カブモ】 (katacoto.com)
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