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ずっと手元にある本

どうも、riccaです。
仕事やら秋の気圧の乱高下でメンタルゴリッゴリに削られやらで死にかけておりました。


というわけで、短いかと思いますがざっくりと。
ずっと手元に置いて読み直し、読めなくなるほどボロボロになったら買い換える本が一つだけ、存在するというお話。

ホリー・ガーデン ╱ 江國香織

かれこれ10年以上はずっと手元に置いている本です。

どんな話かと言うと、2人の女性の友情と恋のお話なんですが……まあこれがまた面倒な女達でして。
2人それぞれともう1人の男性や飼い猫の視点で書かれるので、簡単にこれも説明しちゃおう。

野島果歩
メガネ屋店員(元図書館司書)
ゆるふわおっとり系女子だが男性関係が酷くだらしない
兎にも角にもマイペース、乳製品以外の甘いものが苦手、家の中だとご飯を一人で食べられない
「過去に付き合っていた男(後述の津久井)に既婚者の振りをされ続けるほど怖がられていた」ことがトラウマとなっていて、恋愛にも臆病だし男性関係があれなのは多分これが原因

甲田静枝
高校教師(美術科・常勤)
痩せぎすスレンダーバリキャリ系女子で恋愛も友人関係も自由であることにこだわりたがる
スケジュールやルーティン通りに物事が進むことを是としている、コーヒージャンキー
果歩に過去「不倫なんて最低、ずるいじゃない」と言っておきながら自分の現在の恋人が妻帯者な事に負い目というか引け目を感じている

中野さとる
メガネ屋店員、果歩の同僚
わんこ系男子で果歩に一目惚れしてから「忠犬さと公」と渾名されるほど彼女に構う
友情?何それ系男子なので果歩と静枝の関係性もなんか歪んでるなあと思ってるが何も言わない
1本筋の通った性格なので、作中で彼がキーマンになっている場面が多々ある

芹沢
アーティスト兼パトロン、静枝の不倫相手
奥さんも子供もいるがなんだかんだで静枝と付き合っている
彼女の精神面の構築に彼の精神性が8割ほど関わっている説
でも言い分を呑ませる方法が結構力づくじゃん?って思う場面が多々

津久井
果歩の元カレ、食器メーカー勤務、独身(ここポイント)
休みの日は外に出たがり、乗り物に対して致命的に弱いが目的の為ならものともしないメンタルの持ち主
なのに彼女が思っている以上に重たい系女子だったので最低な嘘をつく

主な登場人物はこんな感じ。
ストーリーとしては、昔の恋を捨てきれなくて自分を傷つけながら生きている果歩と、正論ぶっぱした過去の自分に嘘をつくように生きている静枝の友情と成長(これは果歩だけ)の物語。

作中歌として尾形亀之助の詩が多々引用されているのも特徴で、これによって冒頭辺りの果歩はがらんどうなんだという隠喩でもあるなと。
引用が少しづつ減っているのも果歩の心の変化というのが大きい。

何より、この作品が私に齎したのは「ひとりピクニック」。
恐らく箱根あたりの神社にひとりでピクニックに行く描写が多々見られるんですが、実は私の鎌倉籠もりもこれなんですよね…。
ひとりになりたくて遠くに行く、というのが当時の私には新鮮だったんだなと。えげつない失恋した頃だったし。

個人的には果歩が捨てきれなかった恋を捨て、新しい恋を手にする場面があるんです。
そのシーンと、その後日談がとても好きです。


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