未経験者が押さえるべき【事務能力】とは?
ある人材派遣会社のHPで
「事務処理能力が高い人はこんな人」
という記事を見ました。そこには
・業務の全体を把握してから取り掛かる
・優先順位を明確にしている
・過去の事例を参考にしている
・業務の定型化
・整理整頓ができている
ということが書かれていました。
たしかに!
でも、私の個人的な意見ですが、上記のような人の事務能力は相当高いのだと思います。
いろんな企業や場面でたくさんのことを経験している人なのだと思います。
このような人は即戦力となって、どんな企業からも重宝されるでしょう。
私はこれまでいくつかの企業で事務職をしてきました。
最初は先輩方に教えてもらいながら仕事を覚えていき、自分なりの工夫を加えてブラッシュアップし、転籍や転職をする時には後任に教えるということも何度も繰り返してきました。
ある職場では前任者が辞めた後に入ったので教えてもらうことができず、「こういう資料が欲しい」とだけ言われて作成し始めたことも(笑)。
16年勤務した特許事務所では10人以上の新人教育も行っていました。
(ご興味あれば私の「自己紹介」記事をご覧頂ければと思います。)
こんな感じで、私に教えてくれた人、私が教えた人、合計すると相当な数の人と関わってきたわけですが、中には業界未経験者も何人かいらっしゃいました。
そんな中で分かったことは、未経験者であっても【事務能力】が必要ということ。
そこで今回は、私が考える「未経験者が押さえるべき事務能力」について書いてみようと思います。
「誰のための作業なのか」を考える
業務全体を把握するのは、その業務をやったことがない未経験者にはかなりハードルが高いのではないでしょうか。
特許未経験者が特許事務所で働くことになった時。
特許の流れや用語を理解し、業務全体を把握できるようになるまでには結構時間がかかると思います。
ただ、流れや用語が分からない未経験者でも、「今やっていることは誰のための作業なのか」ということを理解していれば、ケアレスミスは防げると思います。
例えば事務の先輩から「顧客宛の送付状を作成する」という仕事を任されたとします。
期限管理システムで案件を検索し、「送付状作成」などのボタンを押してワードへ差込印刷をする、という作業です。期限管理システムの使い方が分かればそれほど難しい作業ではありません。
先輩から包袋を渡されたり、メールで指示があった事務所整理番号を間違いなくシステムに入力する、ただそれだけですが、事務所整理番号には「10001」と「10010」のように似たような番号がたくさん存在します。
一つでも間違うとまったく違う案件が表示されてしまいます。
それをそのまま(ノーチェックで)送ってしまったとしたら・・・。
実際は送付状を作成するように頼んだ先輩がチェックしてくださると思いますが、それも初めのうちだけです。
慣れてきたら自分一人でやっていく業務となります。
そこで考えてほしいのが、
「その送付状は誰が必要としているのか。」
送付状を作っている自分でしょうか?
送付状を作って、といった先輩でしょうか?
まぁ、それもそうです(笑)。
でも最終的に必要としているのは「顧客」です。
顧客に請求書を送ったり、特許庁や現地代理人からの書類を送付するために送付状を作っていて、最終的に顧客が手にするものです。
顧客は事務所整理番号より、顧客自身の整理番号の方を重視します。
なので、最低でも事務所整理番号と顧客整理番号の二点チェックは必須となります。
出願後の案件の場合は、これらに出願番号のチェックを入れて三点チェックをすると正確性が上がります。
(顧客整理番号も出願番号もない場合は、その他に案件が特定できる項目を探してチェックします。)
特許という職業柄、誤送信はあってはならないものです。
期限管理システムから簡単に作成できる送付状だからこそ、出力された送付状の内容のチェックはとても重要となります。
もし誤送信してしまったら、代表弁理士が顧客に謝りに行って、今後誤送信のないような対策(作業内容の見直しだったり、作業の流れを変えたり、など)を考えなければいけません。
そのために人を入れたりすることもあるかもしれません。
ただでさえ忙しいのに、さらに仕事が増えてしまうことになります。
・・・と怖いことを書きましたが、「何のために今この作業をしているのか」を考えながら業務を進めていくことでミスが減り、事務所の先輩や弁理士、顧客からも信用されることになります。
「信用第一」ですね!
自分が分かる事柄に置き換えて考える
未経験者にとって、やったことがない仕事を覚えるのは大変です。
でもそれまでに経験してきたことがあるなら、
「前の職場でやっていたこの作業に似てるな」
「〇〇でいうところの△△だな」
など、自分が分かる事柄や過去に経験してきた事と比較して、置き換えて考えてみると分かりやすく、理解しやすいと思います。
特に得意だった事柄に置き換えると、やったことがない作業もすんなり頭に入りやすいのではないでしょうか。
私の場合、FileMakerをやり始めた時、それまでエクセルを駆使して業務効率化や自動化を進めていたので、なかなか「エクセル脳」(笑)から離れることができませんでした。
FileMakerが得意な同僚にも、よく「エクセルでいうところの何に当たるのか?」を聞いていました。そして頭の中で「エクセルだったらこう」と変換、自分の中で腹落ちするまで繰り返し変換、時には図に描いてみたりもしました。
それが癖付けされるようになると、いつの間にか「エクセル脳」から「FileMaker脳」に切り替わっていました。
今では(エクセルも好きですが)「FileMakerだったら簡単なのに」と考えるほどになっています。
まとめ
急いでいるときに
「誰のための作業なのか」を考えたり
「自分の分かる事柄に置き換えて」考えたり
するのは時間がかかる作業になるかもしれません。
でも、「未経験者」なのですから、少し時間がかかってもよいと思います。
教えてくれる先輩も、むしろ「時間をかけてゆっくりやって」と思っているかもしれません(笑)。
(私の経験上、パパっとやってしまって「もうできちゃったの?」と言われることもしばしばありましたから・・・。)
それに、同じことを何度も繰り返してやっていれば、作業スピードは必ず上がります。
私が考える「事務能力」とは、「考える力」なのではないかと思います。
なんでも先輩に聞けばよい、ということではなく、先輩や上司、その先の顧客が何を必要としているのかを考える力を養っていけたらいいですね。
それは自分の財産になることだと思います。
それに、考える力が身につけば、本記事の冒頭に書いた
「事務処理能力が高い人」
にもなれると思います。
お互い頑張りましょう~!