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意識「他界」系 その90
軽くウエーブの掛かった黒髪。憂いのある涼し気な瞳。見ているだけで心が躍るほどの美しい相貌。ぎりぎり少年と呼べる年齢だろうか。ただし、男性器の部分だけは猛々しく大人びている。少年は全裸だった。
傷付いた左腕を彼が持った。少年の猛々しい部分が移川民子の頬に触れた。少年が身体を動かすごとに、先端が民子の鼻に当たったり唇をかすめたりする。
処女ではあるが、いや処女であるからこそ民子は性に関する情報収集は人一倍熱心であった。
動けない自分と美しい全裸の美少年。
スイッチが確実に入ってしまった。身体中の全細胞が快楽を受け入れる状態にシフトチェンジしていた。少年の指が、他に損傷しているところが無いかと探ってくる。頭部を、耳を、首筋を。顔に力が入らない。溶けたチーズのように表情が崩れるのが分かる。少年の指が脇の下から腰のラインまで滑り落ちる。
「足も大丈夫だね。左手は仕方がないから、僕のをあげるね」少年はいつの間にか手にしていた短刀で自分の左手を切り取った、何の躊躇も無しに。「心配しないで、すぐに馴染むよ」それを民子の左手首に付けた。
「ほら、僕たち、一つになった」
その時、態勢を変えた少年の右膝が、民子の股間に当たった。全神経が花弁に集中し、下腹部が自分の意志とは関係なしに捩れた。真っ赤な顔で民子は声を漏らすのを堪えた。
「終わったよ」少年に言われて左腕を見た。手首から先はもちろん、傷だらけで骨も露出していたはずが、何も無かったかのように綺麗に治っていた。
「あの、ありがとう。そちらの左手は…」
「あぁ、これ? すぐ生えるから心配ないよ」
「それと、その…この態勢…ちょっと」民子は恥ずかしそうに俯いた。
「ゴメンゴメン、敏感なんだね」少年は焦らすようにゆっくりと膝を動かした。
のけぞった民子は、決壊したダムから鉄砲水が出るかの如く、快楽の声と潮とを同時に射出した。と同時に凄まじい量の情報が、脳内に侵入してきた。
「そう、君は死ぬまで僕の奴隷。いいね?」