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オカダマニラでFIRE!!!———オカダマニラでSPAC vol.2 〜オカダマニラのお値段は?


全国のオカダマニラマニアの皆様、年末をいかがお過ごしでしょうか。私はクリスマス前に今年の社畜を終了(仕事納め)いたしました。いやー自分で言うのもなんですが一年間よくカレーばっかり食べましたね。通年で振り返ってみるとテレワークとオフィスワークが半々でした。この新しい生活様式はFIREへの可能性を大いに感じますね。


さて、前回に続き、オカダマニラのSPACについて考察していきます。

1.オカダマニラの企業価値


ユニバ社のIRによると、OMI社の株式価値はなんと、

25億$(2750億円)


だそうです。それも26Capitalがそう算定しているからとの書きぶりです。
過去の経緯を知ってる人なら、

安すぎやろ(゚Д゚)?!?


と思いますよね。


でも、こんなに苦労したのにとか、こんなに素晴らしいリゾートなのにとか、土地の価値でウハウハなのに、とかいうイメージは会社や株主が膨らました幻想、妄想かもしれません。

全ては数字です。

ただ、例によって肝心なことはこのリリースには何にも書いていません。

ということで、

26Capital.comのプレゼンテーション資料を見てみることにします。(画像をクリックすると資料にとびます)

まずは6ページ目、

Transaction enterprise value of $2.6 billion (5.0x 2025 EBITDA) is significantly less than the $3.3 billion replacement cost of the property and equipment alone
26Capital Investor Conference Call Information 


本取引におけるOMIの企業価値は2025年EBITDAの5倍=2.6B$(2860億円)

さらには、

再調達価格の33B$(3600億円)を大幅に下回っている

とはっきり書かれていますね。

Source: TRLEI Management
*Based upon Note 10 of the Tiger Resort, Leisure and Entertainment Inc. 2020 audited balance sheet and reflects Total Property & Equipment less Right-of-Use Assets,

欄外にちっちゃく使用権は除くって書いてあるので土地の値段は入ってないでしょう。社長ぽい人もこうつぶやいてるし。


オカダマニラの土地は土地保有会社Eagle I Land Holdings Inc.(イーグル1)が所有しています。


このイーグル1の持株比率は、

・イーグル2 60%
・ブロンティア(Brontia Ltd.) 40%

※ブロンティアはユニバ社100%子会社

イーグル2の持株比率は、

・Copperstar Holdigs,Inc. 60%
・All Seasons Hotels & Resorts Corp. 40%

※オールシーズンはトニーボーイの会社

となってますから、2400億円と言われる土地の配分は

・フィリピン関係者 36% 860億円
・トニーボーイ 24% 580億円
・ユニバ社 40% 960億円

となってましたね。

フィリピンには土地保有規制法があり外資は40%を超えてフィリピンの土地を保有できません。

過去にこのアンチダミー法に引っかかってこのスキームを解消するパートナー探しがえらく難航してましたね、とても懐かしい…。

2.企業価値の算出方法

一般的に企業価値を算出する方法としては、インカムアプローチ、コストアプローチ、マーケットアプローチが用いられます。オカダマニラの価値はどんなもんか、わかる範囲で考察していきます。


2-1.インカムアプローチ


将来の収益やキャッシュフローから算出する方法で、DCF法、収益還元法、配当還元法などがあります。キャッシュフローを現在価値に換算してリスク=割引率(WACC)で割返して評価するアプローチです。

過去の収益がコロナ禍前のイケイケで69億PHP(144億円)程度のEBITDAでイマイチなことや、投下資本コストとリスクが高すぎてWACCが上昇してしまい人様に説明できるような算出価値にならないため採用はできないでしょう。

ちなみにWACC= Weighted Average Cost of Capital加重平均資本コストのことで、

WACC=D/D+E × rD × (1-T) + E/D+E × rE

D:負債総額
E:株式の時価総額(=株価×発行済み株式数)
rD:株主資本コスト
rE:負債コスト
T:実効税率

と、覚える気がしない計算式が出てくるのですが、要は突っ込んだ金と借りた金を平均して得られる最低限のリターンの指標を割引率として考えます。

例えば、ラスベガスサンズは9.3%ウィンリゾーツで11.3%です。NASDAQ企業平均で6.3%なので、カジノIR企業は高めとなる傾向にあるようです。

まあとにかく、パラメータ多くて計算するのめんどくさいし、計算してもいい数値がでなさそうなので却下ということです。


2-2.コストアプローチ


企業の純資産額から算出する方法で、総資産から負債を差し引いて評価するネットアセットアプローチ。簿価か時価で評価します。

ユニバ社のこのIRにもTRLEI社の総資産は3,877億円と記載があるのでここからざっくり負債1000億円(高金利分含む)を差し引いて2877億円です。この方法だと先述の2850億円と近似していてしっくりきますね。買い手は安く買いたいに決まっているので安く評価できる時にはこの手法を使うのだと思います。時価にするか簿価にするかはこれも目的次第ですよね。


2-3.マーケットアプローチ


類似企業の株価やM&A取引から類推したり、経営指標に一定の倍率を乗じるマルチプル法など限られた情報から手間をかけずに企業価値を算出するアプローチです。

一般的にEBITDAマルチプル法がよく使われるようで、評価対象の企業における価値がEBITDA(会社の収益力)の何倍かと評価することで、M&A時の検討材料として役立ちます。

前置きが長くなりましたが、当資料の場合はこのマルチプル法を採用しています。

まず、オカダマニラのカジノ売上総利益(GGR=Gross Gaming Revenue)は、2022年ではコロナ禍前までに回復して、2025年には13.8億$(1500億円)まで見込まれることのこと。マニラエンターテインメントシティの34%を占めるようになる予測をしています。

エンターテインメントシティは、現在ソレアリゾーツ&カジノ、オカダマニラ、シティオブドリームズマニラ、そして建設中のウェストサイドシティリゾーツワールドの4つのカジノIRが認められています。
お隣のブルームリゾーツ社のソレアリゾーツではコロナ禍前のイケイケ2019年で12.5億$(1300億円)、その時のEBITDAは4.2億$(467億円)、対GGR比率(EBITDAマージン)で34%です。オカダマニラもGGRは実績あるのでこの数字を使って類推するのでしょう。実現するかはさておき。

そして、マカオにおけるカジノ企業の時価総額に対するEBITDA倍率です。MGM、ウィン、SJM、ギャラクシー、サンズと並んでますが、10〜15倍です。フリーキャッシュフロー(FCF)に対する比率は12〜18倍でEBITDAに対するFCFは8割ぐらいのようです。

GGRを予想できれば、EBITDAとFCFはなんとなく類推できます。エーダーの描くストーリーは読めましたね。実現するかはさておき。

そしてオカダマニラです。2022年ではコロナ禍前に回復して毎年うなぎのぼりに成長していき2025年にはホテルなどの非カジノ部門の売上を含めた総売上はなんと16億$(1760億円)にも達しています!
そしてその時のEBITDAは5.2億$(570億円)で、総売上に対するEBITDA比率=EBITDAマージンは32%

ここまで伸びる理由は、

・2019年時点で工事中であったためオカダマニラの稼働率は60%以下であったこと
・フィリピンの経済成長に伴いゲーミング市場が拡大すること
・オカダマニラのキャパシティから類推してエンターテインメントシティの中でも3割以上のシェアを占めること
・コロナ禍で培ったコスト抑制はEBITDAマージンを高く維持できること

とのことです。

ストーリーとしては説得力があります。実現するかはさておき。

26Capital率いるジェイソン・エーダー氏は、これらの数字を根拠にひとまず2025年の予想EBITDA×5倍を企業価値として評価しSPAC合併をする予定です。

この資料から読み取れることはオカダマニラは2800億円ぐらいの価値しかなくてカジノ作るのにお金かけすぎちゃったかな、ということ。

マカオと比べるのもアレですが、×10倍だと5000億円超えですね。そもそもEBITDAもかなりお化粧しているとは思いますが希望的観測はいつもIPOにはつきものです。SPAC上場する時にはマカオ的な数字が根拠として登場して時価総額を押し上げてくるはずです。

なぜならみんなそうしてるからです。

もちろん、合併する時点で彼らにとっては企業価値は低いほうが持分が増えますから、この辺は足元を見られたというか安く買いたい人と一刻もお金が欲しい人と双方の利害が一致したと考えるべきでしょう、、、。

以前のつたないブログではもう少しざっくりとしたマルチプル法でオカダマニラの収益を2000億円と予想していました。

EBITDAマージンもおおむね30%が目標と思ってたので、オカダマニラの数字がなんでこんなに低いんだと激おこだったぐらいでした。

ど素人の私が、MBAホルダーで本業のジェイソン・エーダーと全く同じ分析をしててしかも大体同じ数字になってるのはちょっと驚きました。
が、たんなる偶然でしょう…。

それにしても目が離せない面白い展開になったきましたね。このプレゼンテーション資料はとても興味深くてまだまだ考察できることがあるのですが、長くなってしまったので次回以降に書きたいと思います。


3.今日のオカダマニラ


本日のオカダマニラネタはinstagramより。この写真はオカダマニラのどこだかわかりますか?正解はヴィラのダイニングです。ベッドルームが4つあったり、専用のガーデンやプール、スパ、ジムが備え付けてあったり1000m2以上もある異次元の広さを誇る客室です。ジャンケットが呼んだハイローラーや富裕層が大勢で長期間滞在するための超絶ラグジュアリーな世界線。
今年もフォーブストラベルガイドアジアより2年連続で5つ星の評価をいただいたようで、コロナ禍でいろんな配慮をしなければならない中で一流の仕事をしていますね。



4.今日のFIRE


今年最後の最後のカレー食べ納めに、今月オープンしたての噂の茅場町HOPPERSに来てしまいました。9品のおかずとチキンのスリランカカレー定食。骨付きチキンの突き抜けるスパイスの薫り、炙ったイワシの香ばしさ、豆出汁カレーの風味が幾重にも重なり異次元で旨いです。スパイスカフェ最高です。
今年一年美味しいカレーに恵まれました。来年もよいカレーを。

当ブログでは全国の、特に東京の本当に美味しいカレー屋さんを感謝と応援の気持ちを込めて紹介していきます。社畜の私はカレーに救われて、癒されて毎日を生きています。あんまり難しいことは考えず、んまそう!と思ったら是非お店に足を運んでみてください。



当ブログに掲載されている事項は、特定銘柄および株式市場全般の推奨や株価動向の上昇または下落を示唆するものではありません。投資は事故責任ですね。


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skyfish
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