Intermission(ほんじつはおやすみ)~咲けば降って~

満開の桜は水をまとい重くなってうつむく、その二日間が町の熱を取り去って、枝をとりまく花房の解けてゆくのをひきとめる…四月まで、七日まで、待てと…でもワタシは今年は花に惹かれることは限られていて、むしろ翻る若葉が向こうの景色をすっかり見えなくするのをまっているーそれは遠景では、周囲の木々のなかに自分を隠しはじめる梅、桃、山桜…はなびらはそれだけでいったので、えださきで細い指先のような花軸は戸惑い、点描の絵のように木のシルエットを明るくもやもやとつないでいるー今だけ、もう明日には、折り畳みの宇宙が無数にほどけて我とはいわず山の稜線をつなぐ…みち沿いの桜並木がもうしばらくしてそれに続くだろうーああ、そうか、誰か願い、叶った、いつか、ここが桜のトンネルになるようにとーならばその時に、だれのきまぐれもおよばないようにとワタシは願おう、誰かにいわれて幼い木はそこに来た、台風も、氷雪も、誰にも守らせずにずっと、自分でそこにいた…居たのは彼ら、だから、豊かに葉、咲けばいい…