夜空の本屋さん(短編小説)

恥ずかしながら、将来本も書いてみたいと考えていたのでいい機会として短い本を書いてみようと思いました。

上記の題名についてはSKYが夜にだけ運営する
夜の本屋さんで気が向いた夜に一つだけ,
心が休まるお話を聞かせてくれます。(そう言う設定)

夜に読むには丁度良い短い話となっておりますのでゆったりした時間で気になったら読んでみて下さい…

星のサンドイッチ店

店主はいつも、金曜日に決まって都会の中心に

ある広場に出向いてパンを売る。

          彼のお仕事、、、

夜空に染まる一台の藍色のワゴン車がゆっくりと走る。

ミラーに吊るされたトタン製の看板には一言、

『星のサンドイッチ店』と記されており、金曜日以外の

日は遠く長い旅をしながらパンを売り回るのです。

藍色のワゴン車一台、10年前に世界を車で移動ができる

ようにと鉄道会社と建設会社が手を組み長い長い歳月を

経てどこの国へも行ける大きな赤い橋を作ったのです。

彼の作るパンは種類が少ないくせにとても好評で、

どの国の人も『ぜひ、この国に残ってパンを売り続けて

欲しい!』そう言う人も少なくなかったが、

彼は全ての誘いを難なく断ってきたのでした。

何より彼はパンを売るより、

世界を旅することの方が好きなのです。

その証拠に彼のエプロンのポケットの中にはいつも

手のひらサイズの革製のノートが入っており、

旅の記録をひたすらノートに綴っている。

15年前に小さなお店で買ったノート、

レトロな雰囲気をまとう店内には文具好きなら

泣いて喜ぶ雑貨のノートなペン、小物入ればかり

それぞれのパーツを組み合わせて作る一つのノートは

旅との相性が良く知る人ぞ知る名店として今もある。

さて、彼の作るパンはどんなものでしょうか、

いえ、実はとっても簡単なものであり3分あれば

すぐ出来てしまうのです。

最初は『星の○○食パン』でしたが、パンが売れゆく内

出来たてのパンを重ねて折り食べる客が増えたことで

いつのまにかパンはサンドイッチのように形を変え、

店の名前も『星のサンドイッチ店』に変わった。

  ワゴン車は今日も夜空に、、、
            世界を旅する。

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