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【推し活】夏色のベールが朝焼けにほどけて
久しぶりに君の夢を見た。不意打ちみたいに、恋しくなったせいなのかもしれない。
会いに行けても暑さのため話すことが出来なくて、あっという間に終わってしまった影響なんだろうか。
一緒にいたお友達は「会いたいな」と思いながらスマホの画面を眺めてるけど、私はそれを公の場所でやるようなことは出来ない。自宅に戻って、一人になった時にやっちゃうけど。
やっぱり会いたいなと思ってしまう。出会ったときから叶うことの出来ない『永遠の片想い』だから、ただ想うしかかんがえられない。
そんな時、久しぶりに君の夢を見た。昨夜、寝る前から君のことを考えていたからだろうか。あいかわらずだったけど、いてくれるとすごく嬉しい。現実では会えないことが多いけど、夢の中ならいつでも会えると思っているから。
そんな時、子どもの頃に好きだったアイドルが歌っていた曲の歌詞を思い出した。
あなたの夢で ふと目覚めた夜明け
葡萄色の空に
またたく星くずが ゆれてた
この歌詞には続きがある。けど、私が浮かんだのはこれだけだった。
目が覚めた時、思わずノートを手にした。そして、いつもジャーナリングをするようにノートに文章を書いていた。
私が口にしている言葉は、君への想いが『永遠の片想い』であること。勝手に好きになる権利を持っているし、勝手に諦めることも出来る。この想いは本体の君には届くことはない。それでもいいと思っている。本気で好きになったら困るリスクぐらいわかってるから。
――だから、『永遠の片想い』なんだよね。
私がノートに綴っているのは、いつか消えちゃうんじゃないかと感じているから。想いも何もかも。正直言って怖い。恋愛に対して臆病だった人間が、自分の足で歩くことが出来るようになって、初めて好きになった人に出会えたから。その人に対して何だったりであるかもしれないけど、好きになったのは初めて。
自分の足で歩けなかった頃は流れに乗せられていて、恋愛経験もなければ結婚も人の流れに乗るしか出来なかった。自分については大切にしてくれないだろうと思ったから、すべて諦めていた。だけど、それは自分自身が大切に出来ていないから、現実もそうなったわけで。
今はそうではない。ちゃんと歩けている。そんな時にぎゅっと胸を掴まれる思いをしたのがきっかけで、時間が経つにつれて本当に好きになってしまった。遅ばせながらの恋なのかもしれない。
――どうか、最後の恋になりますよう願ってください。
届くことのない想いを、朝の空に祈った。