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【小説】観覧車

青空のもと、私は手を引かれてここにきた。
観覧車は好きじゃない。一周し終えたら寂しくなるから。

「怖くないから大丈夫だよ」
彼がそういう。彼は高校時代の同級生で、ふとしたことから付き合うようになった。
「怖いっていった?」
私がそういう。
「何か、ね」
笑いながらこっちをみる。
「ほら、乗ろうよ」
そういって、再び手を引く。そして、チケットを受付に渡した。
「大人二枚!」

バタンとしめられ、動き出した。
次第に青空に吸い込まれる。
「な、怖くないだろ?」
にっとしながら彼は言う。
「だ、誰が怖いっていった?」
「なんかね」
そういって、手をとる。ドクン、と掌が熱くなる。
「小さく見えるよね」

彼は笑いながら、そういった。