才能というもの
誰かの描いた絵を見たり、文章を読んだり、演奏を聞いたりして、この人才能あるなー、すごいなーって思うことがある。
強い磁力のようなものに引っ張られるような、大渦に引き込まれるような凄みを感じるんだけど、それが具体的に何かもうちょっとよく考えてみたら、それは作品を通じてなんとなく伝わってくる作者の背景なんじゃないかと思う。
その一遍の文章だけでは、一枚の絵だけでは、5分の演奏だけでは全然表現し尽くし足りない!みたいな思いとか、それまでに絵とか文章とか演奏に向き合った時間だとか、表現したいものを完璧に表現するためのこだわりだとか、そもそも何かを表現したいっていう底が見えない莫大な欲とか。そういうのが透けて見える作品と出会うと、大波を前にしたような怖さがある。でもそれが面白さでもあるみたいな。
そしてそれだけの思いや欲の絶対量を増やして、蓄えて、落とし込めるのが才能というものなんじゃないかと思っている。