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エアライン各社の機材稼働率
機材稼働率とは
ここでいう機材稼働率とは、航空機1機が1日あたり何便に割り当てられているのかを示した指標である。例えるならば、ラーメン店の回転率のようなものである。一般に、高い回転率であればあるほど利益が出やすくなることは言うまでもない。
ここでは、以下の計算式に当てはめて数値を求めた。
機材稼働率 (%) = 1日あたりの運航便数 ÷ 保有機材数
なお、1日あたりの運航便数には、国際線など半日以上の時間を要するフライトも含まれているが、1日に運航されるものとして考える。また、コードシェアによる他社運航便は含まない。各社の時刻表を用いて数えたため、運航便数に誤差がある可能性はある。JALグループの運航便数は運航実績に欠航便数を加えて割り出した数値である。
※小数第3位まで求め、四捨五入して小数第2位まで示している。
※各社保有機材数は2020年春時点のデータ
※運航便数については2020年春〜夏ダイヤ
ANAグループ
※ピーチ・アビエーションは別途記載のため含まない。
1日あたりの運航便数:1,058便
保有機材数:307機
機材稼働率:345%(3.45便/日)
JALグループ
1日あたりの運航便数:824便
保有機材数:241機
機材稼働率:342%(3.42便/日)
スカイマーク(SKY)
1日あたりの運航便数:166便
保有機材数:29機
機材稼働率:572%(5.72便/日)
スターフライヤー (SFJ)
1日あたりの運航便数:72便
保有機材数:13機
機材稼働率:554%(5.54便/日)
ソラシドエア (SNJ)
1日あたりの運航便数:80便
保有機材数:14機
機材稼働率:571%(5.71便/日)
AIRDO (ADO)
1日あたりの運航便数:64便
保有機材数:14機
機材稼働率:457%(4.57便/日)
フジドリームエアラインズ (FDA)
1日あたりの運航便数:90便
保有機材数:16機
機材稼働率:563%(5.63便/日)
IBEXエアラインズ (IBX)
1日あたりの運航便数:60便
保有機材数:10機
機材稼働率:600%(6.00便/日)
ピーチ・アビエーション (APJ)
1日あたりの運航便数:196便
保有機材数:32機
機材稼働率:613%(6.13便/日)
ジェットスター・ジャパン (JJP)
1日あたりの運航便数:108便
保有機材数:24機
機材稼働率:450%(4.50便/日)
エアアジア・ジャパン (WAJ)
1日あたりの運航便数:12便
保有機材数:3機
機材稼働率:400%(4.00便/日)
春秋航空日本 (SJO)
1日あたりの運航便数:12便
保有機材数:6機
機材稼働率:200%(2.00便/日)
FSC、MCC、LCCの分類から傾向はあるか
FSC (Full Service Carrier)、MCC (Middle Cost Carrier)、LCC (Low Cost Carrier)とは、運賃や運航形態、サービス内容によって航空会社を3つに分類したランクづけである。日本国内の航空会社の分類は以下の通りである。
FSC:
・ANAグループ
・JALグループ
MCC:
・スカイマーク
・スターフライヤー
・ソラシドエア
・AIRDO
・フジドリームエアラインズ
・IBEXエアラインズ
LCC:
・ピーチ・アビエーション
・ジェットスター・ジャパン
・エアアジア・ジャパン
・春秋航空日本
エアライン各社の機材稼働率の結果から、下記のような大小関係が見られた。
FSC < MCC < LCC
FSCは一機材あたり一日3.4便フライトし、MCCは4.5~6便、LCCは2~6.1便という結果である。やはり、コスト管理に厳しいLCCになるほど、機材稼働率は高い。しかし、春秋航空日本のように、規模が小さいながら国内線・国際線の両方を飛ばしていて、他国に親会社があるようなエアラインは稼働率が低くなっている。
また、国内線のみを運航する航空会社は稼働率が高くなっている。これは一便あたりのフライト距離が短いほど、ローテーションされる期間が短くなるためであろう。
まとめ
1機あたり数百億円以上する高価な航空機を購入、またはリース契約をすると莫大な金額になる。一般に、これら機材を有効活用しなければ、各社の利益は出にくい。俗に、もとをとる以上の収益を得なければ、エアラインの企業活動は厳しいものとなる。できるだけ多くの時間(回数)で乗客や貨物を運ばなければ、減価償却も厳しくなる。
今回は、所有する機材数を全て用いて計算したが、厳密には整備中でその日に飛行していない機材もあったりする。その上で、今回の数値は概算的なものとして見ていただければ幸いである。